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誤嚥性肺炎予防のために、口腔ケアをしっかりと行いましょう

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:誤嚥性肺炎予防のために、口腔ケアをしっかりと行いましょう 誤嚥性肺炎予防のために、口腔ケアをしっかりと行いましょう 2019.7.19 誤嚥性肺炎を引き起こす「不顕性誤嚥」とは? 誤嚥というと、食事中に咳こんだりむせたりする光景が思い浮かぶでしょうか。このような目に見える反応がないまま、本人さえ気づかないうちに飲食物や唾液が気管に入ってしまう誤嚥を「不顕性誤嚥」といいます1)。実は、多くの誤嚥性肺炎が不顕性誤嚥によって発症しています2)。 口の中を清潔に保ち、飲み込む力を高める口腔ケア 不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎の予防には口の中を清潔に保つケアが欠かせません。口の中の細菌が気管に入りこまないようにするために、日々の歯磨きやうがいは基本です。加えて、虫歯がなくても定期的に医者に行き、歯石の除去や入れ歯の清掃など、専門的なクリーニングをしてもらいましょう3)4)。口腔ケアを続けた結果、口の中の細菌が減り、肺炎の発症率が下がったという報告もあります3)。 口腔ケアにおいては、口の中の保湿も大切です。唾液分泌が減少し口が渇くと、口の中を清潔に保つ力が下がり、細菌が増えやすくなります。口の中を水で湿らせたり、湿潤ジェルを塗るなどの方法4)で保湿しましょう。 また、不顕性の誤嚥そのものを予防するには、かむ力・飲み込む力を高めるケアが効果的です。飲み込むことは、かむことに連動した機能なので、かんで食べることも大切です。かんで唾液を出し、飲み込む準備ができる普通のご飯は、飲み込む力を高めます。歯がなくても、入れ歯を使ってかんで食べましょう4)。食べることは生きること。食べる楽しみを支えてくれる口腔ケアをしっかり行っていきたいですね。 1. 三鬼 逹人. 呼吸器ケア. 16(2)194-195(2018) 2. 日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会 編、医療・介護関連肺炎診療ガイドライン(2011). 3. 米山 武義 ほか. 口腔ケアと誤嚥性肺炎予防.老年歯学. 16(1)3-13(2001) 4. 岸本 裕充 ほか....

やわらか食事介助コラム 高齢者の口腔ケアが重要な理由とは

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者の口腔ケアが重要な理由とは 高齢者の口腔ケアが重要な理由とは 2019.9.20 口腔ケアは全身の健康につながる第一歩 口腔ケアとは、口の中を健康な状態にして、食べる・かむ・飲み込むといった機能を改善させるケアのことをいいます。具体的には、歯磨きやうがい、粘膜や舌の汚れの清掃、口腔機能を改善するための口の運動などです1)。 また、介護が必要な高齢者の場合には、口腔ケアも、食事や排せつといった介助を必要とするさまざまなケアの一つとなります。ご本人が嫌がるときなどは無理にケアをするのではなく、後回しにしてもいいかもしれません3)。 高齢者の健康状態が良くなることは介護されるご家族の負担軽減にもつながるため、介護予防の観点からも口腔ケアは重要な要素といえます。高齢者の健康のためにも、しっかりケアして口の中を良い環境に保ちたいですね1)。 特に高齢者は口腔ケアが大事 特に高齢者は、口の中に問題を抱えやすい状況にあります。私たちの口の中では、唾液によって食べかすを洗い流したり、細菌により酸性に傾いた口の中を中性に戻すような自浄作用が働いています。しかし、高齢者は老化により唾液の分泌量が減少してしまうため、この自浄作用が働きにくくなってしまいます。加えて、病気や障害を持つことも、口の中の細菌が増えやすかったり、食べ物が口の中に残りやすくなったりすることから、口内環境を悪化させてしまう原因となります。 口は、空気と食べ物の通り道です。口の中が汚れていると、歯周病の恐れだけでなく、口の中で増殖した細菌が気管に入って肺炎を起こす「誤嚥性肺炎」につながる可能性があります2)。口腔ケアによって口の中の環境が良くなると、こういった病気の予防になる上、食生活も充実すれば、体の抵抗力が高まります1)3)。口腔ケアは、全身の健康につながる第一歩といえるかもしれません。 1.社会福祉法人世田谷区社会福祉事業団特別養護老人ホーム芦花ホーム.根拠と効果がわかる介護のための口腔ケア&体操&レク.誠文堂新光社.(2015) 2.平野浩彦.口腔ケアのアクティビティ.ひかりのくに.(2006) 3.日本訪問医師会.口腔ケアらくらく実践法.創元社.(2004) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア 口腔ケア 高齢者の食事介助、どんなことに気をつければいいの? 食事介助 高齢者に食べてほしい!楽しい食事の雰囲気づくりとは 食事介助 前の記事 記事一覧 次の記事

認知症の方の食事介助の注意点は?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:認知症の方の食事介助の注意点は? 認知症の方の食事介助の注意点は? 2019.5.24 認知症の進行は「飲み込みにくい」につながりやすい 食べることは一見単純な作業にも思えますが、実は「食べ物を認知する」、「口に入れる」、「噛み砕く」、「食べ物を喉に送り込む」という複数の過程で成り立っています1)。この一連の流れを摂食嚥下といい、認知症が進行すると摂食嚥下の障害が次第に出始め、介助が必要になってきます2)。 認知症の方には、個々に合わせた介助が必要です 認知症による食べる能力の低下には個人差が大きいので、その人に合わせた介助をすることが重要です。自分で食べ物をすくえる人には、利き手に箸やスプーンを持って、反対の手に食器を持つように介助したり、食べ物に集中できるように一皿ずつ提供するなど、患者さんの「食べる力」を発揮できるように介助することが大切です3)。また、自力で食べられる方の中には次々と食べ物を運んでしまう場合もあります。その際は、ひと口ごとに声をかける、ムース状の食事にするなどして誤嚥を防ぎましょう2)。 食べるためには介助が必要であるにも関わらず口を開けてくれない方には、まずスプーンですくった食べ物を下唇に触れさせ、なめてもらうことで食べ物だと認知してもらいましょう。また、介助者の手を振り払ってしまう方には、本人の手に介助者の手を優しく添えて誘導すると良いでしょう3)。 認知症の方の中には、食べ物を丸飲みしたり、逆になかなか飲み込まなかったりと、口の中に入れた後もうまく食べられない場合があります。そういったときには、食べ物の柔らかさやとろみなどが原因で食べにくいからかもしれません1)3)。ご本人の状態を見ながら工夫してみると良いでしょう。 1.中村育子. 知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018) 2.藤島一郎. 嚥下障害のことがよくわかる本. 講談社.(2014) 3. 藤谷順子ほか. 改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事. 主婦と生活社.(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 認知症の方に食べてもらうには? 食事介助 食事介助の正しい姿勢と角度とは? 食事介助 食事介助とその準備で注意すべきこと...

やわらか食事介助コラム 高齢者が食べてくれないときは、どうしたらいいの?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者が食べてくれないときは、どうしたらいいの? 高齢者が食べてくれないときは、どうしたらいいの? 2019.9.20 高齢者の食欲不振の理由は? 厚生労働省「国民健康・栄養調査」によれば、65歳以上のおよそ6人に1人は低栄養傾向にあることがわかっています1)。低栄養からADL(日常生活動作)を低下させ、要介護状態に進むことも多いので、食欲不振で低栄養に陥ることのないよう、気をつけなければなりません2)。 高齢者が食欲を失う原因としてはまず、食べるために必要な体の機能の低下が挙げられます。かんだり飲み込んだりする力のほか、消化吸収する力、食べ物の見た目やにおい、味を感じる力が低下すると、食欲が感じられなくなる場合があるとされています2)。 ほかにも、体力が低下して好きなものを買いに出かけづらくなった、一人暮らしになって食卓が楽しくなくなった、持病の薬をたくさん飲むためそれだけで満腹になってしまうという方もいます。また、介護職の方がつくる料理を好きになれないなどストレスが背景にある場合もあります2)。 食欲不振といってもこのように、さまざまな理由が考えられます。 食欲アップにつなげる工夫 食べる機能の低下による食欲不振であれば、一度、医師や歯科医師に相談して機能をチェックしてもらい、その方の食べる力に合わせた調理方法を工夫する必要があります。胃腸の働きの低下が原因で消化不良を起こしやすくなっているのであれば、揚げ物などすぐにおなかがいっぱいになる食材がないか確認しましょう2)。 食事をおいしい、楽しいと感じるには、食卓の雰囲気づくりが重要です。誰かとおしゃべりをしながら一緒に食事を摂ると、食が進みやすくなります。地域のイベント、サービスなども上手に利用して、コミュニケーションを大切にしましょう2)。 同じ食材でも、香りづけや盛り付けを工夫すると、食欲アップにつながります。季節に合わせた食材で変化をつけるのもおすすめです。また、食事する場所を変えてみるのも気分が変わってよいものです2)。ご本人の気持ちに寄り添い、一人ひとりの食欲不振の原因に合わせて、周りの方が協力しながら対策を考えましょう2)。 1. 平成29年国民健康・栄養調査(厚生労働省) 2. 中村育子.知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者の食事介助、どんなことに気をつければいいの? 食事介助 認知症の方の食事介助の注意点は? 食事介助 高齢者の低栄養ってなに? 栄養価 前の記事 記事一覧...

高齢者に食べてほしい!楽しい食事の雰囲気づくりとは

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者に食べてほしい!楽しい食事の雰囲気づくりとは 高齢者に食べてほしい!楽しい食事の雰囲気づくりとは 2019.9.20 高齢者の気持ちに寄り添う おいしい食事をお腹いっぱい食べることは、いうまでもなく人生における喜びの一つです。しかし、食べる力が低下した高齢者の方では、食事の時間を苦痛に感じてしまう場合もあります。嚥下訓練などを通して食べる能力を向上させることも大事ですが、「食事の時間は楽しい」と感じてもらえるような雰囲気をつくることも、とても大切です1)。 明るい食卓で楽しい食事への期待を高める ベッドで過ごすことが多い方では、昼と夜の区別がつきにくくなりがちです。食事の際にはカーテンを開けて自然光を取り入れ、しっかりと目覚めた状態で食卓についてもらいましょう。食卓は、ランチョンマットを敷いたり、盛り付けを工夫するなどして、見た目も工夫すると良いでしょう。その際、介助者も一緒に席について、料理の説明をするなど明るく声をかけると、ご本人も食事への期待感が高まり、食欲が湧きやすくなります1)。 もし、食欲低下に心理的なストレスが影響を与えているようであれば、まずはその気持ちに寄り添いましょう。家族が減るなどの家族形態の変化は、大きなストレスとなります。また、介助者の爪の伸び具合が気になって介助者のつくる料理を食べる気がしないなど、介助者自身は気づかないようなことにストレスを感じている場合もあります2)。高齢者の普段の振る舞いをよく観察してストレスの原因を考え、食事中だけでなく日常生活でも気遣いを忘れずに接するようにしましょう3)。 1. 藤谷順子ほか. 改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事. 主婦と生活社.(2014) 2. 中村育子.知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018) 3.栢下 淳.イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版.(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者が食べてくれないときは、どうしたらいいの? 食事介助 認知症の方の食事介助の注意点は? 食事介助 認知症の方に食べてもらうには? 食事介助...

認知症の方への食事の提供の工夫

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:認知症の方への食事の提供の工夫 認知症の方への食事の提供の工夫 2019.5.24 認知症の方の自尊心を傷つけない配慮を 認知症の方は、食べたかどうかを忘れたり、食事に集中せずに何度も中断してしまうことがあります。食事介助が進まず、つい感情的になってしまうこともあるかと思いますが、それではその方の自尊心を傷つけてしまいますし、認知症は病気ですので、叱ることで症状が好転するわけではありません。食べてくれない原因を冷静に考えて、できる対策から実践していくと良いでしょう1)2)。 まずは、食事に集中できる環境になっているかを確認しましょう1)。テレビなど気が散るものをつけないことはもちろんですが、認知症の方がこれまで培ってきた習慣なども考慮して、ご本人にとって食べやすい環境になっているかを今一度考えてみましょう。たとえば認知症の方の場合、介助しやすい食器などを新調するよりも、使い慣れた食器での食事を好まれることも多いようです1)。 また、好物を並べたり、市販のお弁当を出してみたり、目先を変えることで食べてくれる場合もあります。食事の量や品数、配膳の仕方も食べる意欲に影響しますので、様子を見ながら調整すると良いでしょう2)。 気分転換が認知症の方の食欲につながることも 一日中家にいるためにお腹が空かないことも考えられますので、そういった場合には日中散歩に連れ出すことで食欲が湧いてくるかもしれません1)。ときにはデイサービスなど介護保険サービスを利用して、ほかの高齢者の方と一緒に過ごすことも良い気分転換になり、食欲が増えるかもしれません。地域のサービスをうまく活用すると良いでしょう2)。 また食事の内容も、単調な味付けや温度のもので飽きてしまっている可能性がありますので、違う味付けにしたり、冷たいアイスクリームなど普段と異なる刺激があると食べてくれるかもしれません2)3)。 1. 栢下 淳. イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版.(2014) 2. 藤谷順子ほか. 改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事. 主婦と生活社.(2014) 3. 中村育子. 知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 食事介助の正しい姿勢と角度とは?...