高齢者が食べてくれないときは、どうしたらいいの?
2019.9.20
高齢者の食欲不振の理由は?
厚生労働省「国民健康・栄養調査」によれば、65歳以上のおよそ6人に1人は低栄養傾向にあることがわかっています1)。低栄養からADL(日常生活動作)を低下させ、要介護状態に進むことも多いので、食欲不振で低栄養に陥ることのないよう、気をつけなければなりません2)。
高齢者が食欲を失う原因としてはまず、食べるために必要な体の機能の低下が挙げられます。かんだり飲み込んだりする力のほか、消化吸収する力、食べ物の見た目やにおい、味を感じる力が低下すると、食欲が感じられなくなる場合があるとされています2)。
ほかにも、体力が低下して好きなものを買いに出かけづらくなった、一人暮らしになって食卓が楽しくなくなった、持病の薬をたくさん飲むためそれだけで満腹になってしまうという方もいます。また、介護職の方がつくる料理を好きになれないなどストレスが背景にある場合もあります2)。
食欲不振といってもこのように、さまざまな理由が考えられます。
食欲アップにつなげる工夫
食べる機能の低下による食欲不振であれば、一度、医師や歯科医師に相談して機能をチェックしてもらい、その方の食べる力に合わせた調理方法を工夫する必要があります。胃腸の働きの低下が原因で消化不良を起こしやすくなっているのであれば、揚げ物などすぐにおなかがいっぱいになる食材がないか確認しましょう2)。
食事をおいしい、楽しいと感じるには、食卓の雰囲気づくりが重要です。誰かとおしゃべりをしながら一緒に食事を摂ると、食が進みやすくなります。地域のイベント、サービスなども上手に利用して、コミュニケーションを大切にしましょう2)。
同じ食材でも、香りづけや盛り付けを工夫すると、食欲アップにつながります。季節に合わせた食材で変化をつけるのもおすすめです。また、食事する場所を変えてみるのも気分が変わってよいものです2)。
ご本人の気持ちに寄り添い、一人ひとりの食欲不振の原因に合わせて、周りの方が協力しながら対策を考えましょう2)。
1. 平成29年国民健康・栄養調査(厚生労働省)
2. 中村育子.知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018)