高齢者の低栄養ってなに?

2019.3.8

低栄養とは、栄養が不足した状態

「低栄養」とは、体をつくるためのたんぱく質や、体を動かすためのエネルギーなど、健康な体を保つための栄養が不足した状態をいいます1)
高齢になると、噛んだり飲み込んだりする力(咀嚼・嚥下能力)の低下や、運動量の低下などにより食べられる量が減ることがあり2)、低栄養の状態に陥りやすくなります1)
低栄養になると、体重が減ってやせてしまったり、体力が落ちて疲れやすくなったりします1)

また、免疫力が低下することで、かぜやインフルエンザなどの病気にかかりやすくなり、それらの病気にかかったときに肺炎などの重い合併症を起こしやすくなります1)。さらに、筋肉の量や筋力が低下して、ものを握る力(握力)が弱くなったり、歩ける距離が短くなったりすることもあります1)。このように、低栄養は体がやせてしまうだけでなく、さまざまな健康被害を引き起こすもとになるのです。

「低栄養対策」の落とし穴

中高年の栄養についての注意として「メタボ」予防が広く知られています。生活習慣病を予防し長生きするためにも「太ってはいけない」という意識を持つ人は多いことでしょう。しかし、高齢になると、「太らない意識」が反対によくないこともあるとわかってきました1)。 高齢者では、肥満だけでなくやせすぎも死亡率を高めることがわかっています3)。そのため、高齢者では生活習慣病のコントロールとあわせて低栄養対策も必要と考え、食事量が減っている人などは、「メタボ対策」から「低栄養対策」への切り替えを考えることが大切です1)

1. 中村育子、知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018)

2. 日本人の食事摂取基準(2015年版)

3. Sasazaki S, et al, J Epidemiol. 21(6)417-430(2011)