「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと?

2019.3.8

食べ物を飲み込む仕組み

食べ物を飲み込む過程では、実にさまざまな体の機能が駆使されています。
まず目や鼻などで目の前の物が食べ物であることを認識し、口へと運びます(先行期)。口の中で食べ物を咀嚼します(準備期)。咀嚼した食べ物の塊を舌を使って喉の奥に運びます(口腔期)。すると「嚥下反射」という機能によって咽頭通過し、食べ物が食道に入ります(咽頭期)。食べ物は食道から胃へと運ばれます(食道期)1)

特に重要なのが「嚥下反射」です。この機能が働かないと、飲み込みにくくなります。年をとると全身の筋力が低下し、飲み込むときに使う喉の筋力も落ちてきます。口から食べられているから飲み込みに問題がないとは限りません。むせたり咳き込んだりすることが増えてきたときは、飲み込みに問題が出ている可能性があります2)

その他の原因で、飲み込みにくいこともある

うまく飲み込めない場合は、「嚥下反射」の問題だけでなく、飲み込む前に問題があることも考えられます。 例えば、認知機能の低下やうつ病があると、食べ物が目の前にあっても食べ物として認識できなかったり、食べることに興味や関心を示さなくなったりします。口に食べ物が入っても反応しないこともあります。

また、唇の形が変わっていたり、唇を動かす機能がうまく働かなかったりすると、唇を閉じられず、食べ物が口からこぼれることもあります。顎や舌の動きが悪くなると、うまく噛めず、食べ物を喉から食道へ送り込む準備ができなくなることがあります。飲み込みに問題がなく、喉から食道に食べ物を送り込めても、食道に障害があると、食べ物が逆流して吐き出すこともあります。また、これらの問題が絡み合っていることもあります2)

うまく飲み込みにくいときには、原因がどこにあるのか、専門家にチェックしてもらうことが重要です2)

1.栢下 淳、イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版.(2014)

2.藤島 一郎、嚥下障害のことがよくわかる本.講談社.(2014)