飲み込みに違和感があるってどういうこと?
2019.2.22
年をとると飲み込みに違和感を感じることがあります
口で噛んでやわらかい固まりになった食べ物を飲み込み、喉から食道に送り込むことを「嚥下(えんげ)」といいます。嚥下(飲み込み)は食べるしくみのなかでも重要なプロセスです1)。
高齢になると、飲み込む動作に必要な筋力や神経の働きが低下し、飲み込みに問題が起こりやすくなります。脳卒中などの病気の影響や、病気の治療に使われている薬によって、飲み込みに問題が起こることもあります1)。
口から食べることは大きな喜びにつながります。「食べこぼしが多い」「飲み込みにくい」「むせる」など飲み込みに違和感があったら、放置しないで、病院でチェックしてもらいましょう1)。
飲み込みの違和感は、様々なサインかもしれません
飲み込みに違和感を感じると、どんなことが起こるのでしょうか。
まず、食べる量が減りがちです。食べる量が減ることにより、食べ物から摂れる栄養も減ってしまいます。体が必要とする栄養が十分に摂れなくなると、低栄養になって体力や筋力が低下することがあります。栄養不足や体力の低下から免疫力が下がり、肺炎などの病気にもかかることもあります1)2)。
また、食べ物や唾液が、食道ではなく気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなります。誤嚥を起こすと、食べ物や唾液といっしょに細菌が気管に入り込み、肺炎になることもあります(「誤嚥性肺炎」といいます)1)。
低栄養や誤嚥性肺炎によって体力が低下すると、さらに食事の量が減ってしまいます。飲み込みの違和感から、このような悪循環が起こる可能性がありますので、飲み込みの状態に合わせた食事の提供を意識するとよいでしょう1)。
1.藤島 一郎、嚥下障害のことがよくわかる本.講談社.(2014)
2.栢下 淳、イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版.(2014)