高齢者に食べてほしい!楽しい食事の雰囲気づくりとは
2019.9.20
高齢者の気持ちに寄り添う
おいしい食事をお腹いっぱい食べることは、いうまでもなく人生における喜びの一つです。しかし、食べる力が低下した高齢者の方では、食事の時間を苦痛に感じてしまう場合もあります。嚥下訓練などを通して食べる能力を向上させることも大事ですが、「食事の時間は楽しい」と感じてもらえるような雰囲気をつくることも、とても大切です1)。
明るい食卓で楽しい食事への期待を高める
ベッドで過ごすことが多い方では、昼と夜の区別がつきにくくなりがちです。食事の際にはカーテンを開けて自然光を取り入れ、しっかりと目覚めた状態で食卓についてもらいましょう。食卓は、ランチョンマットを敷いたり、盛り付けを工夫するなどして、見た目も工夫すると良いでしょう。その際、介助者も一緒に席について、料理の説明をするなど明るく声をかけると、ご本人も食事への期待感が高まり、食欲が湧きやすくなります1)。
もし、食欲低下に心理的なストレスが影響を与えているようであれば、まずはその気持ちに寄り添いましょう。家族が減るなどの家族形態の変化は、大きなストレスとなります。また、介助者の爪の伸び具合が気になって介助者のつくる料理を食べる気がしないなど、介助者自身は気づかないようなことにストレスを感じている場合もあります2)。高齢者の普段の振る舞いをよく観察してストレスの原因を考え、食事中だけでなく日常生活でも気遣いを忘れずに接するようにしましょう3)。
1. 藤谷順子ほか. 改訂版 図解かみにくい、飲み込みにくい人の食事. 主婦と生活社.(2014)
2. 中村育子.知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018)
3.栢下 淳.イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版.(2014)