高齢者の口腔ケアが重要な理由とは
2019.9.20
口腔ケアは全身の健康につながる第一歩
口腔ケアとは、口の中を健康な状態にして、食べる・かむ・飲み込むといった機能を改善させるケアのことをいいます。具体的には、歯磨きやうがい、粘膜や舌の汚れの清掃、口腔機能を改善するための口の運動などです1)。
また、介護が必要な高齢者の場合には、口腔ケアも、食事や排せつといった介助を必要とするさまざまなケアの一つとなります。ご本人が嫌がるときなどは無理にケアをするのではなく、後回しにしてもいいかもしれません3)。
高齢者の健康状態が良くなることは介護されるご家族の負担軽減にもつながるため、介護予防の観点からも口腔ケアは重要な要素といえます。高齢者の健康のためにも、しっかりケアして口の中を良い環境に保ちたいですね1)。
特に高齢者は口腔ケアが大事
特に高齢者は、口の中に問題を抱えやすい状況にあります。私たちの口の中では、唾液によって食べかすを洗い流したり、細菌により酸性に傾いた口の中を中性に戻すような自浄作用が働いています。しかし、高齢者は老化により唾液の分泌量が減少してしまうため、この自浄作用が働きにくくなってしまいます。加えて、病気や障害を持つことも、口の中の細菌が増えやすかったり、食べ物が口の中に残りやすくなったりすることから、口内環境を悪化させてしまう原因となります。
口は、空気と食べ物の通り道です。口の中が汚れていると、歯周病の恐れだけでなく、口の中で増殖した細菌が気管に入って肺炎を起こす「誤嚥性肺炎」につながる可能性があります2)。口腔ケアによって口の中の環境が良くなると、こういった病気の予防になる上、食生活も充実すれば、体の抵抗力が高まります1)3)。口腔ケアは、全身の健康につながる第一歩といえるかもしれません。
1.社会福祉法人世田谷区社会福祉事業団特別養護老人ホーム芦花ホーム.根拠と効果がわかる介護のための口腔ケア&体操&レク.誠文堂新光社.(2015)
2.平野浩彦.口腔ケアのアクティビティ.ひかりのくに.(2006)
3.日本訪問医師会.口腔ケアらくらく実践法.創元社.(2004)