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食事介助の正しい姿勢と角度とは?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:食事介助の正しい姿勢と角度とは? 食事介助の正しい姿勢と角度とは? 2019.4.19 食事の姿勢は大切です 食べ物を安全に飲み込むためには、食事のときの姿勢が非常に大切です。できるだけ危険の少ない姿勢を知って、普段から意識するようにしましょう。 家族で囲む食卓は大事なコミュニケーションの場でもありますので、 自分で座れるようであれば、椅子や車椅子に座って食べることが望ましいです。その際、背筋を伸ばして少し前かがみであごを引き気味にするとむせにくくなり、誤嚥のリスクも低くなります。前かがみの姿勢を維持するために、椅子と背中の間にクッションなどを挟むと良いでしょう。テーブルは手を置いたときにひじが90度になる程度の高さのものが望ましく、 高すぎないことがポイントです。椅子も高すぎないことが大切で、足の裏が床から浮いてしまう場合には足置きを置いて、両方の足の裏がしっかりとつくようにしましょう1)。 食事介助の角度は30度以上を心がけましょう 座った姿勢を維持することが難しい場合には、角度をつけると食べやすいので、 ベッドの背もたれを60度以上起こすと良いでしょう 1)。 しかしそれが難しい場合は無理はせず、ベッドの背もたれを30度程度起こすようにしましょう 1)2)。 また、頭の後ろなどに枕やクッションなどを入れてあごを引いた状態にすると誤嚥が起こりにくくなるでしょう。体がずれないように足元にクッションなどを置くことも有効です1)2)。 辛くない姿勢やどのくらい体を動かせるかなどは人それぞれですので、一人ひとりに合ったベストポジションを見つけることが大切です。 1.藤島 一郎、嚥下障害のことがよくわかる本.講談社(2014) 2.埼玉県歯科医師会、誤嚥性肺炎予防のための食事姿勢と口腔健康管理(2018) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者の食事介助、どんなことに気をつければいいの? 食事介助 食後の咳は要注意 飲み込み 高齢者は脱水にもご用心...

高齢者の食事介助、どんなことに気をつければいいの?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者の食事介助、どんなことに気をつければいいの? 高齢者の食事介助、どんなことに気をつければいいの? 2019.4.19 食事介助の姿勢や環境づくりは大切 高齢者と一口に言っても、「食べる力」がどの程度あるかは人によってそれぞれですので、一人一人の状態に合わせた食事の準備が必要です。飲み込みやすいように食べ物の硬さや大きさ、とろみを調整することはもちろん、食事をする姿勢などの食べる準備をしっかり整えましょう1)。 食事姿勢は、座れるようであれば座って食べることが望ましく、座れない場合には無理をせずにベッドの背もたれをできるだけ起こして、あごを引いた状態にすると誤嚥が起こりにくくなります1)。また、気がそれるテレビやラジオは食事をする前に消し、スプーンですくいやすいように工夫された食器や使い慣れた食器など食べやすい道具を準備し、食事に集中できる環境をつくることも大切です2)。 ちょっとした誤嚥に注意 肺炎で亡くなる高齢者の方は、年々増加傾向にありますが、その多くが、食べ物や唾液などが気管に入り込むことで生じる誤嚥性肺炎を起こしています1)。ちょっとした誤嚥でも重い肺炎のきっかけになるということを常に意識して、食事介助の際には少しずつ、しっかり飲み込めたことを確認しながら、一口ずつ入れることが大切です1)。 食事以外の日常生活でも、誤嚥を起こしにくくする習慣づくりが大切です。生活リズムを整えて食事の時間にはきちんと目が覚めている状態になるように普段から心がけ、口の中の細菌を減らすための口腔ケアもきちんと行いましょう2)。 1.藤島 一郎、嚥下障害のことがよくわかる本.講談社(2014) 2.栢下 淳、イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 食後の咳は要注意 飲み込み 高齢者は脱水にもご用心 栄養価 高齢者の食事におけるビタミン・ミネラルの重要性 栄養価 前の記事 記事一覧 次の記事

やわらか食事介助コラム 食後の咳には要注意

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:食後の咳には要注意 食後の咳には要注意 2019.4.5 「むせ」は誤嚥のサイン 通常は食べ物や唾液は喉から食道に送られます。食道に行くはずの食べ物や唾液が気管に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥によって食べ物や唾液が気管に入ると、反射的に激しい咳が出てきます。これが「むせ」といわれる現象です1)。 「むせ」ることによって、気管に入った食べ物や唾液を気管の外に出すことができます。食事中や食べた後すぐに咳をしている場合は、誤嚥している可能性があります1)。 「むせ」ない誤嚥もある 飲み込みに問題があると、食べ物や唾液が気管に入ってもむせないことがあります。これを「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」といいます。不顕性誤嚥があると誤嚥性肺炎につながる可能性が高くなります1)。 また、誤嚥があると痰の量が増えます。食事中や食後に「むせ」ていなくても、痰がからみやすくなっていたら、誤嚥している可能性があります1)。 誤嚥は食べている時間以外にも起きます。特に横になっている時は胃から逆流してきた食べ物が気管に入りやすくなります。寝ている時に咳をしている場合は、胃からの逆流によって誤嚥している可能性があります1)。 このように、食後や寝ている時に咳をしている場合、飲み込みに問題があって、誤嚥が起きているサインかもしれないので、一度、かかりつけ医に相談してみましょう1)。 1.藤島 一郎.嚥下障害のことがよくわかる本.講談社.(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者は脱水にもご用心 栄養価 高齢者の食事におけるビタミン・ミネラルの重要性 栄養価 高齢者の食事におけるたんぱく質の重要性 栄養価 前の記事 記事一覧 次の記事

高齢者の食事におけるビタミン・ミネラルの重要性

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者の食事におけるビタミン・ミネラルの重要性 高齢者の食事におけるビタミン・ミネラルの重要性 2019.4.5 高齢者にもビタミン・ミネラルは大切な栄養素 ビタミンには、ほかの栄養素の働きを助ける働きがあり、ミネラルには、体のさまざまな機能を維持・調整する働きがあります1)。どちらも体をスムーズに動かすために欠かせない栄養素ですが、体内では作ることができないため、食事によって摂取する必要があります1)。 ビタミンやミネラルには多くの種類があるため、様々な食品を取り入れた食事をすることが大切です1)。ビタミンやミネラルが不足すると、「欠乏症」として様々なトラブルが起こります1)。 例えば、ビタミンB6やビタミンC、鉄などが不足すると貧血になりやすく、ビタミンDやカルシウムなどが不足すると、高齢者に多い骨粗鬆症になりやすくなります1)2)。 一方で、ビタミンの中でも脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすく、摂りすぎると過剰症を起こす可能性も。ふつうに食事から摂る分にはまず問題ありませんが2)、サプリメントなどの健康食品で摂りすぎないように注意が必要です1)。 ビタミン・ミネラルを多く含む食品を摂りましょう ビタミンやミネラルを多く含む食品として、緑黄色野菜や淡色野菜、果物などが挙げられます1)。乳製品や小魚・海藻類、豆・大豆製品なども積極的に摂ることが大切です1)。 例えば、具だくさんの豚汁やシチューなどの煮込み料理では、一度にさまざまな野菜を多く摂ることができます1)。野菜を炒めてとろみをつけたあんかけご飯にしたり、ゆでた野菜をゼリー寄せにしたりしても、食べやすいでしょう3)。 野菜サラダにチーズや小魚、桜えびなどをプラスしたり1)、おやつに果物を入れたゼリーやヨーグルトなどを食べたりするのもおすすめです3)。 毎日の食事に、少しの意識と工夫を加えることで、いつまでも元気な体を保てるといいですね。 1. 中村育子.知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018) 2. 日本人の食事摂取基準(2015年版) 3. 藤島一郎.嚥下障害のことがよくわかる本.講談社.(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者の食事におけるたんぱく質の重要性 栄養価 高齢者の食事におけるエネルギーの重要性 栄養価 高齢者がやせるのが心配…サルコペニアってなに?...

やわらか食事介助コラム 高齢者は脱水にもご用心

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者は脱水にもご用心 高齢者は脱水にもご用心 2019.4.5 高齢者の脱水は、様々なトラブルの引き金になることも 体内の水分は、体温調節や酸素の運搬、不要になった老廃物の排泄など、体の多くの機能を支えています1)。しかし年齢を重ねると、噛んだり飲み込んだりする機能(咀嚼・嚥下機能)の低下や食欲の低下などが起こり、飲食の量が減ります2)。加えて、水分を保つのに必要な筋肉の量が減ったり、腎臓の機能が低下したりすることで、体内の水分量が少なくなります2)。また、「のどが渇いた」という感覚が鈍くなり、水分補給のタイミングが遅くなりがちです2)。 これらのことから高齢者は脱水症になりやすく、さらに脱水症に気づきにくく、重症化しやすいという特徴があります2)。 脱水症になると、ふらつきなどによる転倒や骨折、認知機能や消化機能の低下など、様々なトラブルの原因になり、生命に関わるようなことにもなりかねないため、注意が必要です1)2)。 高齢者の脱水予防には、こまめな水分補給を 「皮膚や唇、口の中が渇く」「汗をかかない」「トイレの回数が減る」「食欲がない」「体温が高い」「だるくて疲れる」などの症状がみられたら、脱水症のサインかもしれません1)。 脱水症を予防するためには、「のどが渇かなくてもこまめに水分補給する習慣をつける」ことが大切です。1日に必要な水分量の目安は、「30(mL/kg)×体重(kg)」1)。 体重が50kgの人なら、1,500mLになります。「朝起きたらコップ1杯、朝食時にお茶を1杯、午前中に水をもう1杯」など、時間を決めて2~3時間おきに飲むようにするとよいでしょう1)。 飲むものは、水やお茶を基本として、体調に合わせてコーヒーや紅茶、牛乳、野菜ジュース、ヨーグルトドリンクなど変化を持たせてもよいですね1)。高齢者はミネラルも不足しがちなので、水分に加え塩分も摂れるようなみそ汁やスープなどもおすすめです1)。 1. 中村育子.知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018) 2. 谷口英喜.牛込恵子.高齢者介護における体液管理. Fluid Management Renaissance. 6(4)47-55(2016) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者の食事におけるビタミン・ミネラルの重要性 栄養価 高齢者の食事におけるたんぱく質の重要性 栄養価...

高齢者がやせるのが心配…サルコペニアってなに?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者がやせるのが心配…サルコペニアってなに? 高齢者がやせるのが心配…サルコペニアってなに? 2019.3.22 筋力が低下して、歩く速度が遅くなってきたら… サルコペニアかも? 「サルコペニア」とは、高齢期に見られる筋肉の量(骨格筋量)の減少と、筋力もしくは身体機能(歩行速度など)が低下した状態をいいます1)。高齢になると、噛んだり飲み込んだりする力(咀嚼・嚥下能力)の低下や、運動量の低下、病気などにより食事の量が減ることがあり、体重が減ってやせることで筋肉量が低下し、サルコペニアの状態になりやすくなります1)2)。「地域在住の65歳以上の1~29%の人がサルコペニアに該当し、施設入所高齢者では、14~33%がサルコペニアにあたる」という報告もあり1)、注意が必要です。 サルコペニアの状態になると、筋力の低下により体を動かしにくくなり、エネルギーを消費しなくなるためおなかがすかなくなります。そのせいでさらに食事量が減り、ますます動けなくなるという悪循環に陥り、要介護の状態を招く原因にもなります2)。 サルコペニアが気になるときは「指輪っかテスト」でチェック 日常生活の中で、「階段の上り下りをするときに手すりにつかまって体重を支えないと疲れる」「青信号のうちに横断歩道を渡り切れない」「ビンやペットボトルのふたがあけにくい」などの状態が見られるようになったら、筋力の低下が考えられます2)。下のイラストを参考に、「指輪っかテスト」でサルコペニアの心配があるかどうかをセルフチェックしてみましょう1)2)。 いつまでも元気に動き、生活を楽しむためにも、できるだけ食事からの摂取エネルギー量を減らさないこと、たんぱく質を積極的に摂り栄養バランスの良い食事を摂ること、適度な運動をするなど生活の中でなるべく体を動かすようにすること、生活習慣病の治療をきちんと続けることなどを心がけましょう1)。 1.サルコペニア診療ガイドライン2017年版(日本サルコペニア・フレイル学会・日本老年医学会・国立長寿医療研究センター) 2.中村育子 知っておきたい高齢者の食と栄養 社会保険福祉協会(2018) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者の低栄養ってなに? 栄養価 「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと? 飲み込み 誤嚥性肺炎ってなに? 飲み込み 前の記事 記事一覧 次の記事