高齢者は脱水にもご用心

2019.4.5

高齢者の脱水は、様々なトラブルの引き金になることも

体内の水分は、体温調節や酸素の運搬、不要になった老廃物の排泄など、体の多くの機能を支えています1)。しかし年齢を重ねると、噛んだり飲み込んだりする機能(咀嚼・嚥下機能)の低下や食欲の低下などが起こり、飲食の量が減ります2)。加えて、水分を保つのに必要な筋肉の量が減ったり、腎臓の機能が低下したりすることで、体内の水分量が少なくなります2)。また、「のどが渇いた」という感覚が鈍くなり、水分補給のタイミングが遅くなりがちです2)

これらのことから高齢者は脱水症になりやすく、さらに脱水症に気づきにくく、重症化しやすいという特徴があります2)
脱水症になると、ふらつきなどによる転倒や骨折、認知機能や消化機能の低下など、様々なトラブルの原因になり、生命に関わるようなことにもなりかねないため、注意が必要です1)2)

高齢者の脱水予防には、こまめな水分補給を

「皮膚や唇、口の中が渇く」「汗をかかない」「トイレの回数が減る」「食欲がない」「体温が高い」「だるくて疲れる」などの症状がみられたら、脱水症のサインかもしれません1)
脱水症を予防するためには、「のどが渇かなくてもこまめに水分補給する習慣をつける」ことが大切です。1日に必要な水分量の目安は、「30(mL/kg)×体重(kg)」1)

体重が50kgの人なら、1,500mLになります。「朝起きたらコップ1杯、朝食時にお茶を1杯、午前中に水をもう1杯」など、時間を決めて2~3時間おきに飲むようにするとよいでしょう1)
飲むものは、水やお茶を基本として、体調に合わせてコーヒーや紅茶、牛乳、野菜ジュース、ヨーグルトドリンクなど変化を持たせてもよいですね1)。高齢者はミネラルも不足しがちなので、水分に加え塩分も摂れるようなみそ汁やスープなどもおすすめです1)

1. 中村育子.知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018)

2. 谷口英喜.牛込恵子.高齢者介護における体液管理. Fluid Management Renaissance. 6(4)47-55(2016)