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高齢者の食事におけるエネルギー(カロリー)の重要性

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者の食事におけるエネルギー(カロリー)の重要性 高齢者の食事におけるエネルギー(カロリー)の重要性 2019.3.22 高齢者の低栄養を防ぐには、十分なエネルギー(カロリー)が必要です 高齢になり、食べたり飲み込んだりする働きが低下すると、食べられる量が減り、エネルギー(カロリー)が不足しがちになります。からだを元気に動かすために必要なエネルギー(カロリー)を、十分に摂取することが最も重要です。 高齢者に必要なエネルギー(カロリー)量は、身体活動が最も低い場合でも、70歳以上の男性で1日1,850kcal以上、女性で1日1,500kcal以上といわれています1)。エネルギー(カロリー)になりやすい炭水化物や脂質、たんぱく質などをバランスよく摂ることが大切です。 エネルギー(カロリー)補給には、炭水化物や脂質などを積極的に摂りましょう エネルギー(カロリー)を補給するためには、炭水化物(米やパン、麺、いも類)やたんぱく質(魚や肉、卵、大豆製品)、脂質(植物性や動物性の油脂、マヨネーズやドレッシングなど)を取り入れた食事を心がけましょう。 エネルギー(カロリー)不足が心配されるときは、例えば、具だくさんの豚汁や乳製品を使ったシチューなど、エネルギー(カロリー)源となる栄養を豊富に含む食品を一度に摂れるメニューを考えたり、効率よくエネルギー(カロリー)が摂れるバターやマヨネーズ、クリームチーズなど脂質の多い食品をメニューに少し加えるなどの工夫をしてもよいでしょう2)。 食事のときにあまり食べられない人は、間食として市販の栄養補助食品などを利用したエネルギー(カロリー)補給もおすすめです。 うまく飲み込みにくいときには、原因がどこにあるのか、専門家にチェックしてもらうことが重要です2)。 1. 日本人の食事摂取基準(2015年版) 2. 中村育子 知っておきたい高齢者の食と栄養 社会保険福祉協会(2018) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 高齢者がやせるのが心配…サルコペニアってなに? 栄養価 高齢者の低栄養ってなに? 栄養価 「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと? 飲み込み 前の記事...

やわらか食事介助コラム 高齢者の低栄養ってなに?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:高齢者の低栄養ってなに? 高齢者の低栄養ってなに? 2019.3.8 低栄養とは、栄養が不足した状態 「低栄養」とは、体をつくるためのたんぱく質や、体を動かすためのエネルギーなど、健康な体を保つための栄養が不足した状態をいいます1)。 高齢になると、噛んだり飲み込んだりする力(咀嚼・嚥下能力)の低下や、運動量の低下などにより食べられる量が減ることがあり2)、低栄養の状態に陥りやすくなります1)。 低栄養になると、体重が減ってやせてしまったり、体力が落ちて疲れやすくなったりします1)。 また、免疫力が低下することで、かぜやインフルエンザなどの病気にかかりやすくなり、それらの病気にかかったときに肺炎などの重い合併症を起こしやすくなります1)。さらに、筋肉の量や筋力が低下して、ものを握る力(握力)が弱くなったり、歩ける距離が短くなったりすることもあります1)。このように、低栄養は体がやせてしまうだけでなく、さまざまな健康被害を引き起こすもとになるのです。 「低栄養対策」の落とし穴 中高年の栄養についての注意として「メタボ」予防が広く知られています。生活習慣病を予防し長生きするためにも「太ってはいけない」という意識を持つ人は多いことでしょう。しかし、高齢になると、「太らない意識」が反対によくないこともあるとわかってきました1)。 高齢者では、肥満だけでなくやせすぎも死亡率を高めることがわかっています3)。そのため、高齢者では生活習慣病のコントロールとあわせて低栄養対策も必要と考え、食事量が減っている人などは、「メタボ対策」から「低栄養対策」への切り替えを考えることが大切です1)。 1. 中村育子、知っておきたい高齢者の食と栄養.社会保険福祉協会.(2018) 2. 日本人の食事摂取基準(2015年版) 3. Sasazaki S, et al, J Epidemiol. 21(6)417-430(2011) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと?...

「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと? 「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと? 2019.3.8 食べ物を飲み込む仕組み 食べ物を飲み込む過程では、実にさまざまな体の機能が駆使されています。 まず目や鼻などで目の前の物が食べ物であることを認識し、口へと運びます(先行期)。口の中で食べ物を咀嚼します(準備期)。咀嚼した食べ物の塊を舌を使って喉の奥に運びます(口腔期)。すると「嚥下反射」という機能によって咽頭通過し、食べ物が食道に入ります(咽頭期)。食べ物は食道から胃へと運ばれます(食道期)1)。 特に重要なのが「嚥下反射」です。この機能が働かないと、飲み込みにくくなります。年をとると全身の筋力が低下し、飲み込むときに使う喉の筋力も落ちてきます。口から食べられているから飲み込みに問題がないとは限りません。むせたり咳き込んだりすることが増えてきたときは、飲み込みに問題が出ている可能性があります2)。 その他の原因で、飲み込みにくいこともある うまく飲み込めない場合は、「嚥下反射」の問題だけでなく、飲み込む前に問題があることも考えられます。 例えば、認知機能の低下やうつ病があると、食べ物が目の前にあっても食べ物として認識できなかったり、食べることに興味や関心を示さなくなったりします。口に食べ物が入っても反応しないこともあります。 また、唇の形が変わっていたり、唇を動かす機能がうまく働かなかったりすると、唇を閉じられず、食べ物が口からこぼれることもあります。顎や舌の動きが悪くなると、うまく噛めず、食べ物を喉から食道へ送り込む準備ができなくなることがあります。飲み込みに問題がなく、喉から食道に食べ物を送り込めても、食道に障害があると、食べ物が逆流して吐き出すこともあります。また、これらの問題が絡み合っていることもあります2)。 うまく飲み込みにくいときには、原因がどこにあるのか、専門家にチェックしてもらうことが重要です2)。 1.栢下 淳、イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版.(2014) 2.藤島 一郎、嚥下障害のことがよくわかる本.講談社.(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 誤嚥性肺炎ってなに? 飲み込み 飲み込みに違和感があるってどういうこと? 飲み込み 高齢者の低栄養ってなに? 栄養価 前の記事...

高齢者と食事 | 栄養なび

栄養なびTop 高齢者と食事 口から食べることは、どれくらい大切? 高齢者と食事 口から食べることは、どれくらい大切? 動物は口から食べ物を摂取することで栄養を取り入れています。わたしたち人間も同じで、基本的には口から食べることで命を維持しています。 食べる機能が低下し、口から食べることが難しくなると、食べる量が減って、低栄養になることがあります。水を飲む量も減り、脱水症状になってしまうこともあります。食べ物が食道ではなく気管に入ってしまい、肺炎になることもあります。 低栄養や脱水症状、肺炎は体力や抵抗力を低下させ、食欲もなくなります。食べる機会が減り、栄養が補給されないと食べたり飲み込んだりする際に必要な筋肉は衰えていきますので、さらに食べる機能が低下していきます。 このような悪循環を断ち切るためには、食べる機能に合わせた食事を選び、口から安全に食べられるよう配慮することが大切です。 高齢者はどのような栄養不足に気をつけるべきか? 高齢者が栄養不足(低​栄養)になりやすい事実があり、リスクと対策について解説します。 医療(病院)・介護施設などで採用される栄養補助食品は? 医療・介護施設などで採用されている栄養補助食品について・低栄養時のリスクと対策について解説します。 栄養補助食品とは。不足しがちな栄養は? 栄養補助食品の意味から栄養補助食品を摂るタイミングまで分かりやすく解説します。 やわらか食事介助コラム 飲み込みに違和感があるってどういうこと? 全身の健康につながる高齢者の飲み込みの問題の影響や、注意したい飲み込みの症状をご紹介します。 Read More 誤嚥性肺炎ってなに? 食べ物や唾液が気管に入る「誤嚥」で起きる肺炎と、高齢者で気をつけたいポイントをご紹介します。 Read More 「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと? 高齢者は飲み込みに問題が起きていることがあるため、普段の観察で気をつけたい点をご紹介します。 Read More 一覧を見る 嚥下評価ツールEAT-10イート・テン...

やわらか食事介助コラム 飲み込みに違和感があるってどういうこと?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:飲み込みに違和感があるってどういうこと? 飲み込みに違和感があるってどういうこと? 2019.2.22 年をとると飲み込みに違和感を感じることがあります 口で噛んでやわらかい固まりになった食べ物を飲み込み、喉から食道に送り込むことを「嚥下(えんげ)」といいます。嚥下(飲み込み)は食べるしくみのなかでも重要なプロセスです1)。 高齢になると、飲み込む動作に必要な筋力や神経の働きが低下し、飲み込みに問題が起こりやすくなります。脳卒中などの病気の影響や、病気の治療に使われている薬によって、飲み込みに問題が起こることもあります1)。 口から食べることは大きな喜びにつながります。「食べこぼしが多い」「飲み込みにくい」「むせる」など飲み込みに違和感があったら、放置しないで、病院でチェックしてもらいましょう1)。 飲み込みの違和感は、様々なサインかもしれません 飲み込みに違和感を感じると、どんなことが起こるのでしょうか。 まず、食べる量が減りがちです。食べる量が減ることにより、食べ物から摂れる栄養も減ってしまいます。体が必要とする栄養が十分に摂れなくなると、低栄養になって体力や筋力が低下することがあります。栄養不足や体力の低下から免疫力が下がり、肺炎などの病気にもかかることもあります1)2)。 また、食べ物や唾液が、食道ではなく気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなります。誤嚥を起こすと、食べ物や唾液といっしょに細菌が気管に入り込み、肺炎になることもあります(「誤嚥性肺炎」といいます)1)。 低栄養や誤嚥性肺炎によって体力が低下すると、さらに食事の量が減ってしまいます。飲み込みの違和感から、このような悪循環が起こる可能性がありますので、飲み込みの状態に合わせた食事の提供を意識するとよいでしょう1)。 1.藤島 一郎、嚥下障害のことがよくわかる本.講談社.(2014) 2.栢下 淳、イチからよくわかる摂食・嚥下障害と嚥下調整食 食べにくい患者への食事アプローチ.メディカ出版.(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 誤嚥性肺炎ってなに? 飲み込み 「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと? 飲み込み 高齢者の低栄養ってなに? 栄養価 前の記事...

やわらか食事介助コラム 誤嚥性肺炎ってなに?

栄養なびTop 高齢者と食事 やわらか食事介助コラム:誤嚥性肺炎ってなに? 誤嚥性肺炎ってなに? 2019.2.22 誤嚥性肺炎とは 喉から食道に行くはずの食べ物や唾液が気管に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といいます。「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」は、この誤嚥によって起きる肺炎です。 肺炎には、誤嚥性肺炎とその他の肺炎がありますが、両方合わせると日本人の死因の第3位になります。中でも、高齢になると誤嚥性肺炎の割合が増えます。高齢者にとって誤嚥性肺炎の予防はとても重要です1)。 気管に食べ物や唾液が入ってしまったとき、通常はむせて、食べ物や唾液を気管の外に出そうとします。ところが、飲み込みに問題がある人は、気管に食べ物や唾液が入ってもむせないことがあるため、誤嚥性肺炎になりやすくなります。寝ているときに、胃に入っていた食べ物が食道に逆流して気管に入りこみ、誤嚥性肺炎を起こすこともあります1)。 誤嚥性肺炎の症状とは 肺炎の症状というと、高熱、激しい咳、苦しそうな呼吸をイメージしますが、高齢者の場合はこのような症状が出ないこともあります1)。 「食欲がない」「食後に疲れてぐったりしている」「ぼーっとしていることが多い」「失禁する」「口の中に食べ物を貯めこんで飲みこまない」「なんとなく元気がない」「ふらついて歩けない」「呼吸が速い」といった症状は、誤嚥性肺炎のサインかもしれません。病院を受診して、誤嚥性肺炎にかかっていないかチェックしてもらいましょう1)。 1.藤島 一郎、嚥下障害のことがよくわかる本.講談社.(2014) 前の記事 次の記事 記事一覧に戻る 関連トピックス 誤嚥性肺炎の予防に大切な、高齢者の食事の工夫 食事の工夫 飲み込みに違和感があるってどういうこと? 飲み込み 「うまく飲み込みにくい」ってどういうこと? 飲み込み 誤嚥性肺炎予防のために、口腔ケアをしっかりと行いましょう 栄養価 前の記事 記事一覧 次の記事