低栄養 がんの味覚障害と食事
栄養なびTop 低栄養 がんと栄養:低栄養 がんの味覚障害と食事 低栄養 がんの味覚障害と食事 2019.8.2 がんと味覚障害 抗がん剤治療中に生じる副作用の中で、非常に多いのが味覚障害です。どのような症状かあまり知られていないため、心配になる方も多いようです。また、味がわからないことは他人には伝わりにくく、本人にしかわからない悩みでもあります。 味覚障害には個人差? 味覚障害といっても、まったく味を感じない、薄い味しか感じない、といった味覚消失、味覚減退のほかに、特定の味だけがわからなくなる解離(かいり)性のもの、何も食べていないのに口の中が苦いなどの自発性異常味覚といわれるものなど様々です。 「この抗がん剤治療だと味覚障害が生じやすい」と知られているものはいくつかありますが、実際には抗がん剤の種類に加えて、その時の体調や年齢など個人差も大きいようです。また、化学療法の1クール目ではなんともなかったのに、2クール目になって味覚がわからなくなった、という方もいます。 味覚がおかしいな、わからないなと感じると、食欲が落ちてしまいがちですが、それでもおいしいと思えるもの、なんとか食べられるものを探して、食べることをあきらめないようにしたいものです。 味覚消失、味覚減退のときに 味覚に影響を与えるといわれるミネラルに「亜鉛」があり、抗がん剤の種類によっては亜鉛吸収に影響するため、「味覚障害=亜鉛不足」を気にする方が多いです。その場合は、亜鉛が多く含まれる食品やゼリー・経腸栄養剤などを上手に活用すると良いでしょう。経腸栄養剤は味が濃い(甘い)と思っている方もいるようですが、味覚障害がある時には逆に飲みやすく感じられる場合もあり、食事だけでは不足しがちな亜鉛以外の栄養も補うことができます。 味覚障害が生じているときに食べやすいもの ・さっぱりしたもの⋯果物、ゼリー、寿司 ・のどごしがいいもの⋯とろろごはん、卵かけごはん(醤油よりもめんつゆやだし醤油を使うと食べやすい) ・うま味のあるもの⋯だし茶漬け、出し巻卵、トマト加工品 ・味の濃いもの⋯牛丼やすき焼き、インスタント食品 ・亜鉛不足を補うもの⋯亜鉛を強化したゼリー・経腸栄養剤 嗅覚が敏感またはわからないときのポイント ・においの強いものは避ける ・温かいものよりも、少し冷ますことでにおいがやわらぐ 何も食べていないのに口の中が変!! 抗がん剤治療中は、口の中に何も入っていないのに嫌な味や苦味を感じることがあります。これは、抗がん剤の代謝物が唾液とともに口腔内に分泌されることが原因とされています。この時は、うがいをしたり、すっきりするガムを噛んだり、口の中をティッシュでぬぐったりするとよいようです。 食事では、味覚障害が生じている時と同様に果物などのさっぱりしたものが食べやすく、栄養補助食品ではゼリー状のものが人気です。しかし、人によっては苦い味を打ち消すために味の濃いものを好む人もいます。そのような方には、牛丼やすき焼き、インスタント食品なども人気です。 調味する時は、洋食ではバターや乳製品、和食ではみりんや料理酒を多めに使ったり、だしを濃くとると食べやすくなります。 食べ物本来の味がしない 抗がん剤治療中は、五味のいずれかの味がわからず、その食べ物本来の味がしないことがあります。醤油をかけたら味が甘くなった、甘いものを食べたのにしょっぱい、などと感じるような味覚障害では精神的負担が大きく、食事量も減少しがちです。そのような時は経腸栄養剤を摂取したり、香りを活用した食事にすることで対応することも可能です。...