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実践!高齢者の水分補給が簡単にできるコツとは?

実践!高齢者の水分補給が簡単にできるコツとは? 高齢者に水分補給を促すコツ・工夫を分かりやすく解説!のどの渇きを感じづらい、トイレが近くなるなど水分をあまり摂らない高齢者向けに水分補給方法をご紹介します。水分補給におすすめの飲み物や注意したい飲み物、水分が多い食べ物などもご紹介。 1 高齢者向け水分補給のコツ 高齢者はのどの渇きを感じにくい傾向があります。さらにトイレに介助が必要だったりトイレが近くなる心配があると、自分からは積極的に水を飲みたがらなかったりもします。また飲み込む力(嚥下機能)が低下していると飲もうとしてもうまく飲めなかったりします。体内に水分を保持する機能も低下しているため、気づかない間にからだの水分が不足しがちになっています1)2)3)。水分不足にならないためにはこまめな水分補給が大切ですが、介護の現場では高齢者の水分補給についてどのように対処しているのでしょうか。 水分補給をしない理由を読み取り、働きかけをする1)2) 高齢者が水分を積極的に摂らない理由はさまざまですが、ちょっとした促しや働きかけで改善できることがあります。ポイントとしては、こまめに飲んでもらえる環境づくりです。 のどの渇きを感じにくいので飲みたがらない ⇒いつでも水分が摂れるように手近に飲み物を用意し、こまめに水分摂取を促します。入浴後など汗をかいた後の水分補給は受け入れてもらいやすいことがあります。 おなかが冷えるといやがる ⇒夏でも温かい飲み物、または常温の飲み物を用意するとよいでしょう。 食後満腹になって飲み物を飲みたがらない ⇒味噌汁などの汁物を薄味にして飲むように勧めてみましょう。ティータイムに飲み物を楽しんでもらうのもよいでしょう。 外出先で水分補給を忘れる ⇒外出前後にコップ1杯の水分を飲んでもらうようにしましょう。 食事量が少なく水分不足になりがち ⇒おやつやデザートにくだものやゼリーなど水分の多いものを食べてもらうようにしましょう。 飲み物の摂取目安や水分補給のタイミングを伝えて理解を得る 起床時 朝食時 ちょっと一息 昼食時 ティータイム 夕飯時 寝る前 コップ1杯(約200mL)×1日合計7回を目安に水分補給しましょう からだの水分バランスを保つためには、1日に1,000~1,500mLの水分補給が必要といわれています2)。特に夏季には、のどのかわきを訴えなくても定期的に水分摂取ができる工夫が必要です4)。起床時、朝食時、10時、昼食時、15時、夕食時、寝る前の合計7回にコップ1杯(約200mL)程度の飲み物を摂ることを目安としてお伝えするとよいでしょう2)。 本人の好みに合わせて飲み物を選ぶ いつも身近に、好みの種類や温度の飲み物を選んで飲むことができるような環境や雰囲気づくりを心がけましょう。好きなお菓子に添えて、お好みのお茶を勧めてみてもよいでしょう2)。 水分と同時に塩分の補給も...

高齢者が脱水症になりやすい原因とは?脱水症サインと対処法

高齢者が脱水症になりやすい原因とは?脱水症サインと対処法 高齢者が脱水症になりやすい理由として、体内の水分低下、のどの渇きに気づきにくい、夜中のトイレを避けるため水分補給をしないなどさまざまな理由があります。また本人が脱水症だと自覚できないこともあります。ここでは脱水症の原因と脱水症サインと対処法を紹介します。 1 脱水症とは?意外と知らない脱水症の危険性 脱水症とは、水分や電解質のからだに入る量と、出る量のバランスが崩れ、体液が減少した状態です1)2)3)。高齢者は慢性的な脱水症に陥りやすく、さまざまな弊害が起こります。めまいやふらつきによる転倒などが起こることも1)2)。また、消化機能低下による、食欲不振、消化不良などが生じる可能性もあります1)2)。おかしいなと思ったときは、積極的に水分と塩分、経口補水液で水分補給をしましょう1)3)。 2 高齢者が脱水になりやすい4つの原因 高齢者はいろいろな要因が重なり、脱水になりやすい脱水弱者といえます1)3)4)。その身体的・心理的な要因についてご紹介します。 体内の水分量が減っている 成人の体液量は体重の約60%ですが、高齢者では約50%と少なくなっています。体液は、筋肉に一番多く含まれますが、高齢になると筋肉量が減り、からだに水分を蓄えにくくなります。また、脂肪は水分を蓄えにくいため、筋肉が少なく脂肪の多い人は脱水に注意が必要です1)2)3)。 のどの渇きに気づきにくい 高齢になると、脱水状態になっても、口の渇きを感じにくくなります。のどが渇いていないからと水分を摂らないと水分不足になってしまいます1)2)3)4)。 夜中のトイレを避けるため水分補給を十分に行わない 夜中に何回もトイレに行くのが嫌だからと、夕方から就寝前に水分を控える高齢者も多いようです4)。 運動能力や認知機能の低下 運動能力の低下によって水分を摂る行動が妨げられ、脱水症の原因になることもあります3)。また、認知機能の低下によって、天候や気温に合わせた衣服や寝具の調節や外出を控えることが難しくなったり、水分摂取の必要性を覚えられなかったりすることなども脱水症の要因となります3)。 3 脱水症のサイン・特徴と対処法 高齢者の脱水症状のサイン 脱水症になると、次のような状態になることがあります。 口、唇、舌が乾いている1)2)3)4) わきの下や皮膚が乾いている2)3)4) 皮膚をつまんで元に戻るのに3秒以上かかる1)2)3) 爪を押して離したときに、白色からピンク色に回復するのに3秒以上かかる1)2) 外気で冷えていない場合でも、手先や足先が冷たい2) 倦怠感、だるそう、横になりがち1)3)4) トイレの回数が減る1)2)4) 脱水症のレベルと対処法 脱水症の重症度は、健康時の体重に対して3~5%の体液が失われた状態を軽度、6~9%を中等度、10%以上を重度と判定されます1)2)。軽度から中程度の脱水症への対処法は、経口補水液を飲むのが原則です1)。嚥下障害がある場合は、ゼリータイプの経口補水液がおすすめです1)。経口補水液の1日あたりの摂取量の目安は500~1000mLです。一度に大量に摂取せず、少しずつ摂取するようにしましょう1)。 4...

【5分でわかる】高齢者の熱中症対策!原因・対処法について

【5分でわかる】高齢者の熱中症対策!原因・対処法について 高齢者の熱中症は、本人も気づきにくいため注意が必要です。エアコンをつけなかったり、水分補給を拒否したりする方がいるなど、対策が上手くいかないことも少なくありません。ここでは高齢者向けの熱中症対策と原因をわかりやすく解説します。熱中症対策を正しく把握し、高齢者の熱中症対策をしましょう。 1 高齢者向けの熱中症対策7項目 熱中症で救急搬送される人のうち、実に約半数は65歳以上の高齢者です。安全だと思いがちな自宅で発症することが多い高齢者の熱中症対策のポイントをまとめました。 「気温・湿度」を測って現在の温度を知る 部屋に温湿度計を置き、こまめにチェックしましょう。室温は28度以下、湿度は50~60%くらいに保ちます1)2)。ただし、室温が28度でも湿度が80%以上ある場合は注意2)。暑いと感じたときには熱中症を発生している可能性もあります。早めの行動を心がけましょう。 「水分補給」はこまめに行う 高齢者は、若い人より脱水症状を起こしやすく、回復しにくい特徴があります1)。夏は汗をかく機会が増えるので、のどが乾いていなくてもこまめに水分を摂りましょう。冷たい飲み物が苦手な方は、温かい飲み物でも大丈夫です2)。水を飲み込むことが難しい場合は、市販の水分補給用のゼリーなども上手に利用してください。 >水分補給の工夫についてはこちらへ 「室内の気温を適温」にすることを意識する 「室温を28度に保つこと」と「エアコンの設定温度を28度にすること」は違います。部屋の階や日当たりによって室温は変わるので、温湿計でこまめにチェックし、それに応じてエアコンの設定温度を変えるようにしましょう1)。 「外出時」の熱中症対策ポイント 外出時の服装は、白のゆったりとした服がおすすめです。白は太陽の熱を吸収しにくく、ゆったりとした服は皮膚からの熱を逃しやすいためです。日傘は、日陰をつくる黒色がおすすめです。木陰で風が気持ちよい場所ではなるべく肌を出し、皮膚から熱を逃しましょう1)。夏場のマスク着用は、熱中症のリスクを高めます。感染症対策が必要な場合、屋外で他人と2メートル以上の距離が保てるときはマスクを外しましょう。マスクを着ける必要がある場合は、こまめに水分を摂り、周囲の人から離れた場所でマスクを外し休憩する時間を適宜設けましょう3)。 「お風呂」も注意 お風呂に入ると汗をかいて水分が失われます。入浴前後に忘れずに水分を摂りましょう。また、湯温は40度以下のぬるめに設定し、長湯をしないように注意しましょう1)。 「就寝時」も注意が必要 就寝中に熱中症になる高齢者も少なくありません1)。就寝前や起床後の水分摂取に加え、枕元に飲料を置いておくと安心です。また、就寝時のエアコンの使用を「からだによくない」と考える方もいますが、それは使い方次第です。室温を28〜29度に保つように連続的にエアコンを使用することで熱中症対策に加え睡眠の質も上げることができます4)。 「周りの人」が注意すること 高齢者のお世話をする人は、1体調、2具合、3環境の3点に気を配りましょう1)。 体調元気はあるか、食欲はあるか、発熱はないか 具合体重、血圧、心拍数、体温の変化 環境部屋の温度・湿度は適正か、風通しや換気は十分か、日当たりが強すぎないか 2 熱中症対策でよくある問題と解決策 熱中症対策をしたくても高齢者がその気になってくれないといったことはありませんか? ここではそんなお悩みを解決するヒントをお伝えします。 なぜ高齢者は暑いのに「寒い」というの? 皮膚には「温かい」と感じる温点が分布していますが、温点の数は年齢とともに減っていきます。このため、個人差はありますが、60歳を過ぎる頃から暑さを感じにくくなるのです。高齢者本人が「これくらいの暑さは大丈夫」と言っても、温度や湿度が高い場合は周囲の人が室温を適正に保ちましょう。その際、風が直接当たらないようにするのがポイントです1)。 エアコンをつけてくれない、なぜ嫌うの? エアコンによるからだの冷えや、節電への高い意識からエアコンを嫌う高齢者も少なくありません1)2)。これらに加え、年齢を増すにつれ皮膚の温度感覚が低下し暑さを感じにくくなるのもエアコンを嫌う理由の一つです1)。「部屋の温度計が28度をこえたらエアコンをつけましょう」といったルールを決めるといいかもしれません。...

ADL(日常生活活動)とは?基礎知識と低下した場合にできること

ADL(日常生活活動)とは?基礎知識と低下した場合にできること ADLは生活を送るために行う活動の能力のことであり、日常生活活動(動作)とも呼ばれています。ADLの基礎知識と評価方法、維持するためのポイントについてわかりやすく解説します。 目次 ADLとはどういう意味? 基本的ADLとは 手段的ADLとは ADLが低下している場合に見られる影響 ADLの評価方法 基本的ADLと手段的ADLの評価方法 ADLの低下は対策できる?毎日の生活で意識するべきポイントは? 1 ADLとはどういう意味? ADLとは、Activities of Daily Livingの略で、生活を送るために行う活動の能力のことです1)2)。歩行や階段の上り下りといった移動動作および食事や服の着脱、排泄、整容など身の回りの動作を行う能力を基本的ADLといいます。また、基本的ADLの次の段階として手段的ADLがあり、買い物や洗濯など、より複雑な日常生活上の動作を指します2)3)。ADLは、介護を必要とする度合いを知るために評価されることもあり、ADLの低下は要支援や要介護状態につながります1)。 ADL 手段的ADL 基本的ADLより複雑で高度なADL例)家事、電話をかける、買い物 基本的ADL 生活で必要な移動動作および身の回りの動作例)身支度、食事、移動 基本的ADLとは 基本的ADLとは、日常生活で必要な移動動作や、身の回りの動作を行う能力のことです。階段昇降、入浴、トイレの使用、食事、着衣、排泄などが含まれます2)。 基本的ADL 身支度 食事 服の着脱 トイレ 入浴 移動...

咀嚼とは?重要な役割と今すぐできる口腔トレーニング

咀嚼そしゃくとは?重要な役割と今すぐできる口腔トレーニング 咀嚼とは、口腔内で食べ物をしっかり噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて、飲み込みやすいかたまり(食塊しょっかい )にすることです。咀嚼機能の維持は生活習慣病やフレイルの対策につながると考えられています。ここでは咀嚼の必要性と理想の回数、食事中の咀嚼チェック、高齢者向けの口腔トレーニングを紹介します。 目次 咀嚼とは? なぜ咀嚼が大事なの?生活習慣病やフレイルとの関係 理想的な咀嚼の回数はどれくらい? あなたは大丈夫?咀嚼チェック 今すぐできる!口腔トレーニングで噛む力を鍛えよう 1 咀嚼とは? 咀嚼とは、口に入れた食べ物を噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて、飲み込みやすいかたまり(食塊)にすることです。当たり前のように行っているかもしれませんが、顔の筋肉や舌の筋肉など、多くの器官が関わる複雑な運動です1)。しっかり咀嚼することで、唾液が分泌されやすくなるため、食べ物を飲み込む動作(嚥下えんげ )や消化、栄養の吸収を助けます。また、あごや舌の動きが活発になるため、噛むだけでなく話す機能の維持にも役立ちます。咀嚼は脳への刺激にもなっていて、脳の血流量を増やしたり、認知機能を向上させたりするためにも大切です2)3)。 咀嚼の役割 唾液の分泌を促す 消化吸収を助ける 脳を刺激する 話す機能を維持する 嚥下を助ける 適切な口腔ケアは、高齢者の寝たきりなどのきっかけとなることがある「誤嚥性肺炎」の対策にもつながることから、口腔ケアは全身の健康維持、ひいては社会生活の充実にまで関係する、重要な役割をもつケアと言えるのです。 口腔ケアの基本となるのは、毎日のうがいや歯みがきを始めとしたセルフケアです2)。しかし、特に生活に手助けが必要な高齢の方などでは、自分の力だけで十分なケアを行ったり、口腔内の衛生状態を良好に保つことが難しいため、ご家族や介護職者によるサポートが重要になります4)。 2 なぜ咀嚼が大事なの?生活習慣病やフレイルとの関係 子どもの頃に「よく噛んでゆっくり食べなさい」と言われた経験がある方もいるかもしれません。よく噛んで食べることの大切さを私たちは感覚的に知っていますが、最近では、その健康への意義が科学的に示されるようになってきました。例えば早食いの人は、肥満傾向にあることや成人してから肥満度が高まる傾向にあることがわかっています4)。 また、高齢になり歯を失ってしまうと、硬い食品を避けてしまいがちです。その結果、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養摂取バランスが崩れやすくなります5)。偏った食生活に運動不足などが重なると体力や気力が弱まる「フレイル」を引き起こす可能性が高まります6)。 3 理想的な咀嚼の回数はどれくらい? 咀嚼回数は、食品の硬さや個人の噛む力などによって変わってきますが、一口あたり30回程度噛んで味わう食べ方がよいといわれています1)7)。 あなたは大丈夫?咀嚼チェック 正しく咀嚼できているか、以下のチェック項目で確認してみましょう。...

【初心者向け】ムース食とは?特徴や作り方・おすすめ保存方法

【初心者向け】ムース食とは?特徴や作り方・おすすめ保存方法 ムース食とは、嚥下が困難な方など、嚥下がしやすい食事形態のことです。ここでは初心者に向けたムース食の作り方や特徴、ソフト食やミキサー食との違いやムース食の作り置き方法・保存方法についてご紹介します。 目次 ムース食とは? ソフト食やミキサー食との違い ムース食とその他の食事の違い ムース食の作り方と作る時の2つのポイント [レシピ]ムース食で作る「ステーキ」 ムース食の作り置きとおすすめの保存方法 1 ムース食とは? ムース食は、嚥下が困難な方が安全においしく食べられるように工夫して調理した食事形態の一つです。嚥下機能の低下が進んで咀嚼ができない場合でも食べられ、少量ならば丸飲みもできるのが特徴です1)2)。なめらかにした食べ物をゼラチンやゲル化剤などを使って本来の形に成形するため調理に少し手間がかかるというデメリットもありますが1)、ミキサーにかけただけの食事のような味気なさがなく、見た目の良さが食べたい気持ちをアップしてくれるのがメリットです。 ムース食を活用する場合には、医師や管理栄養士など専門家に相談し、嚥下機能が低下に合わせた食事姿勢や一口の量などにも配慮するとよいでしょう。 ソフト食やミキサー食との違い ソフト食は、食べ物の形状を残しつつ、舌で押しつぶせる程度のやわらかさにした食事を指します。一方、ミキサー食は、ミキサーにかけてとろとろにした食べ物を、スプーンですくって食べる食事です。どちらも嚥下が困難な方のためのものですが、ムース食はこれらに比べてより飲み込みやすく、嚥下機能がより低下した方向けの食事です1)2)。 ムース食とその他の食事の違い1)3)4) 食事の例 飲み込みやすさのレベル(0が最も飲み込みやすく5は普通の食事) ソフト食やわらか食 三分粥、五分粥、全粥やわらかいハンバーグの煮込み、あんかけにした大根や瓜の煮物など 3 ミキサー食ペースト食ピューレ食 粒のある粥パンがゆ、かき卵スープ、とろろ汁、バナナなど 2-2 ペースト状のおもゆくず湯、白身魚ペースト、野菜ピューレなど 2-1 ムース食ゼリー食 おもゆゼリー白身魚ゼリー寄せ、海老ムース、ほうれん草ゼリー、かぼちゃプリン、など 1 2...