高齢者が
脱水症に
なりやすい
原因とは?
脱水症サインと対処法
高齢者が脱水症になりやすい理由として、体内の水分低下、のどの渇きに気づきにくい、夜中のトイレを避けるため水分補給をしないなどさまざまな理由があります。また本人が脱水症だと自覚できないこともあります。ここでは脱水症の原因と脱水症サインと対処法を紹介します。
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脱水症とは?
意外と知らない
脱水症の危険性
脱水症とは、水分や電解質のからだに入る量と、出る量のバランスが崩れ、体液が減少した状態です1)2)3)。
高齢者は慢性的な脱水症に陥りやすく、さまざまな弊害が起こります。めまいやふらつきによる転倒などが起こることも1)2)。また、消化機能低下による、食欲不振、消化不良などが生じる可能性もあります1)2)。
おかしいなと思ったときは、積極的に水分と塩分、経口補水液で水分補給をしましょう1)3)。
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高齢者が脱水になりやすい
4つの原因
高齢者はいろいろな要因が重なり、脱水になりやすい脱水弱者といえます1)3)4)。その身体的・心理的な要因についてご紹介します。
体内の水分量が減っている
成人の体液量は体重の約60%ですが、高齢者では約50%と少なくなっています。体液は、筋肉に一番多く含まれますが、高齢になると筋肉量が減り、からだに水分を蓄えにくくなります。また、脂肪は水分を蓄えにくいため、筋肉が少なく脂肪の多い人は脱水に注意が必要です1)2)3)。
のどの渇きに気づきにくい
高齢になると、脱水状態になっても、口の渇きを感じにくくなります。のどが渇いていないからと水分を摂らないと水分不足になってしまいます1)2)3)4)。
夜中のトイレを避けるため
水分補給を十分に行わない
夜中に何回もトイレに行くのが嫌だからと、夕方から就寝前に水分を控える高齢者も多いようです4)。
運動能力や認知機能の低下
運動能力の低下によって水分を摂る行動が妨げられ、脱水症の原因になることもあります3)。また、認知機能の低下によって、天候や気温に合わせた衣服や寝具の調節や外出を控えることが難しくなったり、水分摂取の必要性を覚えられなかったりすることなども脱水症の要因となります3)。
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脱水症の
サイン・特徴と対処法
高齢者の脱水症状のサイン
脱水症になると、次のような状態になることがあります。
- 口、唇、舌が乾いている1)2)3)4)
- わきの下や皮膚が乾いている2)3)4)
- 皮膚をつまんで元に戻るのに3秒以上かかる1)2)3)
- 爪を押して離したときに、白色からピンク色に回復するのに3秒以上かかる1)2)
- 外気で冷えていない場合でも、手先や足先が冷たい2)
- 倦怠感、だるそう、横になりがち1)3)4)
- トイレの回数が減る1)2)4)
脱水症のレベルと対処法
脱水症の重症度は、健康時の体重に対して3~5%の体液が失われた状態を軽度、6~9%を中等度、10%以上を重度と判定されます1)2)。
軽度から中程度の脱水症への対処法は、経口補水液を飲むのが原則です1)。嚥下障害がある場合は、ゼリータイプの経口補水液がおすすめです1)。経口補水液の1日あたりの摂取量の目安は500~1000mLです。一度に大量に摂取せず、少しずつ摂取するようにしましょう1)。
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今日からできる
脱水症対策!
脱水になりやすい高齢者。どのように、どのくらい水分を摂ればよいのでしょう?簡単に取り入れやすい脱水症対策をご紹介します。
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自身に合った「水分補給」
- 1日に必要な水分量
- 1日に1,000~1,500mL程度の水分を摂ることが必要とされています3)5)。そのうち1日500mLを目安に、塩分を含んだスポーツドリンクや経口補水液を組み込みましょう3)。また、起床時と毎食時と10時と15時と就寝前の計7回に、コップ1杯(200mL)の水分を摂取することを心がけましょう3)。のどが渇いていなくてもこまめに飲むことがポイントです4)。
- 定期的な水分補給の声かけ
- 認知症の方は、自分で積極的に水分を補給することが難しいため、介助者が補水を促しましょう3)。また、手軽に飲めるように、飲み物を多めに用意して、手元に準備しておくのもおすすめです3)4)。
- 水分の多い食べ物を摂取して水分補給をする
- 汁物で食事の水分量を増やしてみるのもよいでしょう3)4)。牛乳、ヨーグルト、甘酒、果物などを、間食のメニューにすると、水分も栄養も補給できます4)。
>高齢者 水分補給 工夫について
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適温に合わせた
「室内の気温・湿度管理」暑さで大量に発汗すると、脱水症の原因となります1)。夏には、屋外の炎天下を避け、居室の温度は28度以下、湿度は50~60%を保つように心がけましょう3)。また、高齢者の体内水分量は夏よりも冬に少ないことが知られています3)。1年を通して脱水に気を配りましょう3)。
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高齢者の水分補給について
よくある質問
高齢者の水分補給についてよくある疑問にお答えします。
- 外出しないため汗をかかないのですが、水分補給は必要なの?
- 『エアコンの効いた部屋で1日中過ごして汗もかかないから、水分を無理に摂らなくても大丈夫』と思っていませんか。実は汗をかいたと感じていなくても、人間の皮膚や肺からは1日約900mLもの水分が常に失われています3)7)。つまり、汗をかいていなくても、毎日1,000~1,500mLの水分補給は必要なのです3)5)。汗をかいたら、さらに追加の水分摂取を意識しましょう6)。