【初心者向け】
ムース食とは?
特徴作り方
おすすめ保存方法

ムース食とは、嚥下が困難な方など、嚥下がしやすい食事形態のことです。ここでは初心者に向けたムース食の作り方や特徴、ソフト食やミキサー食との違いやムース食の作り置き方法・保存方法についてご紹介します。

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ムース食とは?

ムース食は、嚥下が困難な方が安全においしく食べられるように工夫して調理した食事形態の一つです。嚥下機能の低下が進んで咀嚼ができない場合でも食べられ、少量ならば丸飲みもできるのが特徴です1)2)。なめらかにした食べ物をゼラチンやゲル化剤などを使って本来の形に成形するため調理に少し手間がかかるというデメリットもありますが1)、ミキサーにかけただけの食事のような味気なさがなく、見た目の良さが食べたい気持ちをアップしてくれるのがメリットです。

ムース食を活用する場合には、医師や管理栄養士など専門家に相談し、嚥下機能が低下に合わせた食事姿勢や一口の量などにも配慮するとよいでしょう。

ソフト食やミキサー食との違い

ソフト食は、食べ物の形状を残しつつ、舌で押しつぶせる程度のやわらかさにした食事を指します。一方、ミキサー食は、ミキサーにかけてとろとろにした食べ物を、スプーンですくって食べる食事です。どちらも嚥下が困難な方のためのものですが、ムース食はこれらに比べてより飲み込みやすく、嚥下機能がより低下した方向けの食事です1)2)

ムース食とその他の食事の違い1)3)4)
食事の例 飲み込みやすさのレベル
(0が最も飲み込みやすく5は普通の食事)
ソフト食
やわらか食
三分粥、五分粥、全粥
やわらかいハンバーグの煮込み、あんかけにした大根や瓜の煮物など
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ミキサー食
ペースト食
ピューレ食
粒のある粥
パンがゆ、かき卵スープ、とろろ汁、バナナなど
2-2
ペースト状のおもゆ
くず湯、白身魚ペースト、野菜ピューレなど
2-1
ムース食
ゼリー食
おもゆゼリー
白身魚ゼリー寄せ、海老ムース、ほうれん草ゼリー、かぼちゃプリン、など
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ムース食の作り方と作る時の
2つのポイント

ムース食は、しっかりとつぶした食材をゼラチンやゲル化剤で固めて作ります。ムース食を作る際の2つのポイントを紹介します。

1.食材をしっかりとすりつぶす

すり鉢や裏ごし器、フードプロセッサーやミキサーを使い、食材をなめらかになるまでつぶします。パサパサしていてすりつぶしにくい場合は、食材に合わせてだし汁や牛乳などの水分を加えるとなめらかに仕上がります1)5)

2.個人の嚥下レベルに合わせて食材を固める

作る方が、食べるご本人にとって嚥下しやすい食べ物とそうでない食べ物を理解してあげることも大切です。
一般に、サラサラした液体やパサパサしたもの、かたいものや繊維の多いものなどは、嚥下しにくいといわれています。サラサラしたものはとろみをつける、パサパサしたものは水分やマヨネーズなどの油分を加えまとまりやすくするといった工夫が必要です。かたいもの、繊維の多いものなどは、場合によっては食事から取り除くことも安全な食を提供する上で重要です2)

ムース食で作る
「ステーキ」

材料(2人分)
〈ステーキのムース〉
    • 牛ステーキ
      75g
    • ステーキソース
      小さじ1/2
    • 150ml
    • ゲル化剤※1
      2.5g(小さじ1弱)
      材料の重さの1.5%
    • 大さじ1
    • とろみ剤
      小さじ1/2
    • ステーキソース
      大さじ1
〈トマトのムース〉
  • トマトジュース
    100ml
  • ゲル化剤※1
    1.5g(小さじ1/2)
    材料の重さの1.5%
〈ほうれん草のムース〉
  • ほうれん草(ゆで)
    50g
  • だし汁
    50g
  • ゲル化剤※1
    1.5g(小さじ1/2)
    材料の重さの1.5%
  • 1:ミキサーによる強い撹拌(かくはん)によってゲル化するタイプ
    2:80℃以上の加熱後、70℃以下に冷めるとゲル化するタイプ
  • なお、ゲル化剤は、製品によって添加量や扱い方が異なります。
    製品の取り扱い方法をよく読んでお使いください。
栄養価(ステーキのムースのみ1人分)
  • エネルギー
    137kcal
  • たんぱく質
    6.5g
  • 塩分
    0.65g
作り方
〈ステーキのムース〉
  1. Aをすべてミキサーカップに入れて、1分以上撹拌(かくはん)する。なめらかで均一になったら、小鍋に移して焦げ付かないように、注意して混ぜながら中火でひと煮立ちさせる。
  2. Aをすべてミキサーカップに入れて、1分以上撹拌(かくはん)する。なめらかで均一になったら、小鍋に移して焦げ付かないように、注意して混ぜながら中火でひと煮立ちさせる。
  3. Bを混ぜ合わせてソースを作る。塩分が強いととろみがつきにくいため、水にとろみ剤を混ぜてから、ステーキソースを加えると良い。
  4. 2のステーキを器に盛り付けて、3のソースをかける。
〈トマトのムース〉
  1. トマトジュースにゲル化剤を混ぜてミキサーで30秒撹拌したら3分ほどおく。
  2. 再び30秒ほどミキサーで攪拌してゼリー状にし、器に盛り付ける。
〈ほうれん草のムース〉
  1. ゆでたホウレンソウにだし汁を加えて、ミキサーで30秒ほど撹拌したらゲル化剤もまぜて3分ほどおいて材料となじませる。
  2. 再び30秒ほどミキサーで攪拌してゼリー状にし、器に盛り付ける。

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ムース食の作り置きと
おすすめの保存方法

ムース食は、作りやすい量をまとめて作り、1食ずつ小分けにして保存用の袋やコンテナに入れて冷凍すると便利です。ゼラチンや冷凍に適さないゲル化剤で固めたものを冷凍すると、解凍したときに水が出て食感が変わってしまうため、冷凍に適したゲル化剤を使うか、ゲル化剤を加える前の状態で冷凍しておいて食べる直前に加えるようにしましょう。

また、お粥のゼリーを小分けして冷凍しておけば、おかずのゼリーへとアレンジすることもできます。冷凍のお粥のゼリーと、他の家族が食べる通常のおかずをそれぞれ同じ量ミキサーカップに入れて撹拌(かくはん)し、加熱して70℃以下に冷ますと、簡単で美味しいおかずのゼリーが完成します。お粥を使うため、水を使って作るゼリーと比べてエネルギーもアップするため、おすすめです。

ムース食は、難しく手間がかかると思われる方も多いかもしれませんが、調理器具を上手に使ったり、作り置きなどを活用したりして、無理なく続けられるとよいでしょう。缶詰や惣菜など、市販の食材も活用し、頑張りすぎないことも大切です。