離乳食後期の進め方について
(生後9~11ヶ月)
離乳食後期(生後9~11ヶ月)の進め方について初めての方にもわかりやすく解説します。離乳食中期から後期へ移行するタイミングや食べさせてもいい食材の種類、硬さ・大きさ・量などの調理のポイントをご紹介します。1日のスケジュールや献立、先輩ママの体験談も掲載中!
後期(9~11ヶ月)の
スタートはいつから?1)
食べることへの興味が広がる離乳食後期。消化機能が発達し、食べられるもの、調理法も増え、1日3回食になります。
丸のみしたり、モグモグと口を動かすけれど形があるものは飲み込めなかったりと、いつから離乳食後期に進むか迷うかもしれませんが、次のようなサインが見られたら、離乳食後期をスタートしましょう。
離乳食後期を始める目安
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絹ごし豆腐程度の硬さの食べ物をモグモグと口を動かして食べる
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1食の離乳食の量を合わせると、子ども茶碗の半分くらいは食べる
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散歩やお昼寝などの生活のリズムが整い、1日2回の離乳食が定着している
すべての食べ物をモグモグしていなくても、ある程度していればOKです。小食でも、機嫌よくモグモグ・ゴックンしていれば少しずつ離乳食後期をスタートさせてみましょう。
離乳食後期の進め方
1日2回食から3回食に増えたら、少しずつ食事の間隔を延ばし、大人の食事の時間に近づけます1)。一緒に食べることを通じて、「食べることが楽しい」という体験を積み重ねていくことが大切です1)。
進め方のポイント1)2)3)
- 初めての食材は、1種類ずつ1さじから始め、少しずつ量を増やしていく2)
- 後期からは、離乳食から栄養の半分以上を摂るようになるため、「主食」「主菜」「副菜」を意識したメニューにする1)
- 「手づかみ食べ」は、食べ物への関心を引き出すためにも積極的にやらせてあげる1)2)
- 食事時間は20~30分を目安にしつつ、赤ちゃんが遊び始めて食事に集中しなくなったら、赤ちゃんに食事を終わりにするか聞いてみてください1)
離乳食の進み方や食べる量は個人差が大きいため、目安と違うからといって悩みすぎず、おおらかな気持ちで見守ってください1)。
食材の種類を増やしつつ
不足しがちな栄養を与える
消化吸収機能が発達してくるので、アジやサンマなどの青背魚や、牛や豚の赤身肉なども少しずつ食べられるようになります1)。不足しがちな鉄分・ビタミンDのほか、筋肉や血をつくるもととなるタンパク質を豊富に含む食材を積極的に取り入れましょう1)。肉類は、脂肪分の少ないものを選ぶのがポイントです1)。
鉄分の豊富な食材 | |
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食材3) | 1食の目安量(g) |
豚レバー | 151) |
鶏レバー | 151) |
牛肩赤身肉 | 154) |
小松菜 | 304) |
納豆 | 13(1/3パック)1) |
ビタミンDの豊富な食材 | |
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食材3) | 1食の目安量(g)4) |
しらす干し | 15 (器にしらすと熱湯を入れ2~3分おいて水を切り塩抜きする)1) |
サケ | 15 |
サンマ | 15 |
卵 | 全卵1/2 |
タンパク質の豊富な食材 | |
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食材3) | 1食の目安量(g)4) |
マグロ | 15 |
アジ | 15 |
鶏むね肉 | 15 |
卵 | 全卵1/2 |
納豆 | 13(1/3パック)1) |
ヨーグルト | 80(無糖)1) |
硬さや大きさ、量の目安はどれくらい?1)
この時期の赤ちゃんは、口の中が広くなって、舌を動かすのも上手になり、食材を舌で移動させて上下の歯ぐきでつぶせるようになります。硬さの目安はバナナ程度と考えておくとよいでしょう。大きさは、野菜であれば5~7mm角くらいの粗刻みにし、慣れてきたら、千切りや薄いいちょう切りなども取り入れます。赤ちゃんの様子を見ながらちょうどよい大きさに切り分けたり、ほぐしたり、つぶしたりして食べさせることもできるので、調理するときはそれほど大きさにこだわらなくても大丈夫です。
後期からは、主食・主菜・副菜を意識することが大切で、以下の表のI~IIIの各グループから必要な量を組み合わせて、メニューに取り入れるようにします。毎食3品用意できなくても、具だくさんのうどんなど、1品で各グループの食品がまかなえるメニューがあればOKです。2~3日間くらいの長い目でみてバランスがとれるようにしましょう。
区分4) | 1回の量4) | 目安量※1)4) | 調理形態の目安 〈歯ぐきでつぶせる硬さ〉 |
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Ⅰ | 穀類 | おかゆ | 全がゆ 90g~ 軟飯80g |
子ども用お茶碗 1/2~1/3杯 |
硬かゆから軟飯へ ステップアップ |
食パン | 20g | 8枚切り・ 耳を除き 1/2枚 |
ちぎってそのまま、 慣れたらトーストへ。 スティック状に切ると つかみやすい1) |
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うどん | 乾麺20g、 ゆで麺60g |
2/5束 | 長さは1cmから 2cmへ |
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Ⅱ | 野菜・くだもの | にんじん | 20~30g | 1/5本 (30g) |
粗刻み。根菜を薄く半月切したり薄切して型で抜いたりしたものなどを柔らかくゆでてもOK1) |
トマト | 20~30g | 1/3個 (皮と種を除く) (30g) |
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キャベツ | 20~30g | 葉3枚 (30g) |
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ほうれん草 | 20~30g | 葉6~7枚 (30g) |
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小松菜 | 20~30g | 葉先9枚 (30g) |
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ブロッコリー | 20~30g | 小房2個 (30g) |
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Ⅲ | 魚 | 白身魚 | 15g | さしみ2切れ | ほぐしから 粗ほぐしへ |
ツナ缶 (水煮) |
15g | 大さじ1.5弱 | |||
肉 | 鶏ささみ | 15g | 1/3本 | ひき肉をほかの 食品に混ぜる→ 薄切りを刻むヘ ステップアップ |
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ひき肉 | 15g | 大さじ1 | |||
レバー ペースト |
15g | 大さじ1 | |||
豆腐 | 豆腐 | 45g | 約1/7丁 | 1~2cm角に切り、 加熱する |
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卵 | 卵 | 30g | 全卵1/2個 | 卵とじ、ゆで卵を刻む、 卵焼きなど |
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乳製品 | 乳製品 | 80g | - | チーズは粗刻み |
※1回の食事あたりの目安量です。同じ区分の食材を複数与える場合は、食材1つあたりの量を減らすなどして対応します
離乳食とミルクのバランス
母乳の場合は授乳リズムに合わせて赤ちゃんの欲しがるままに、育児用ミルクの場合は1日2回程度を目安に、離乳食のあとに与えます2)4)。
フォローアップミルクは、離乳が順調に進んでいる場合は必要ありませんが4)、離乳が順調でなく鉄分が不足しているリスクが高い場合や体重の増加がみられない場合に、医師などに相談して活用を検討します4)。
1日のスケジュール
離乳食中期では1日2回の食事でしたが、離乳食後期では1日3回の食事に増やします1)2)4)。はじめは増やした回を軽食にして少しずつ3回食に慣らし、その後、家族の食事時間に合わせていきます1)2)。また、食欲に応じて離乳食の量を増やします4)。
時間 | 1日のスケジュールの目安 | |
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離乳食後期前半 | 離乳食後期後半 | |
7:00頃 | ||
9:00頃 | ||
10:00頃 | ||
12:30頃 | ||
14:00頃 | ||
18:00頃 | ||
20:30頃 |
先輩ママの体験談
Voice
離乳食を食べようとはしていたが、あまり多くの量は食べられず、吐いてしまうこともあった。周りの子よりもからだが小さく、このままでよいのか心配だったが、2歳になる前ぐらいから徐々に食べられる量が増えていった。今では周りの子よりもたくさん食べられるようになり、問題なく育っている。(現在2歳の男の子)
Voice
大人がスプーンで食べさせようとしても嫌がり、手づかみで食べられるバナナやおせんべい、スティック野菜などは食べてくれた。あまり食べることに興味を示さず、好き嫌いも多かったが、大きくなるにつれて色々なものを食べられるようになってきている。(現在5歳の女の子)
離乳食を食べさせるときのコツ
姿勢をチェック1)
からだに合った椅子に座らせ、食事に集中できる環境を整えることが大切です。ひじがテーブルに乗る高さに座面を調節し、ハイチェアの場合は、足がぶらぶらしないように足のせ板に足がつくようにします。からだの幅に合っている椅子を選び、中で動いてしまうようならクッションなどで調節するとよいでしょう。
手づかみ食べに挑戦1)
この時期から始まる「つかみ食べ」。まずは、加熱した野菜や、軽くトーストした食パンをスティック状にするなど、握ってもつぶれにくいものからスタートします。上手になってきたら、おやきや小麦粉をまぶして表面をカリッと焼いた魚のムニエル、肉団子など、いろいろな形やサイズのものにチャレンジしてください。ポイっと投げてしまったり、ぐちゃぐちゃになったりということも多いので、多めに準備しておくのがおすすめです。自分の意志で食べることを尊重し、満足するまで手づかみで食べさせてから、スプーンで食べるメニューを食べさせるとよいでしょう。
風味豊かに調理1)
この時期の赤ちゃんは味覚が発達してくるので、しょうゆを1滴たらしたり、青のり、すりごま、削り節などで風味をアップさせたりすると食が進むかもしれません。離乳食後期は、少量の油やごく少量の調味料(しょうゆなら1~2滴)が使えるようになるので、今までの煮る・ゆでる・蒸すに加えて焼く・炒めるという調理法が加わり、調理の幅が広がります。ただし、焼くだけでは野菜などは柔らかくならないので、炒めてから水分を加えて蒸し煮にする「炒め煮」がおすすめです。
日々成長している赤ちゃんは、今日食べなかったメニューもほかの日には食べるかもしれません。切り方を変えたり、型抜きを使ったり、見た目が変わると手を伸ばすこともあります。
おなかを空かせる1)
なかなか食べてくれない場合、昼間の活動量が少なく、おなかが空いていないということもあります。たっぷり遊んで、おなかが空いたところで食べさせてみましょう。また、汁物の場合は、水分で先におなかがいっぱいになってしまうこともあるので、具を先に食べさせてみてください。
1日の献立例(朝・昼・夜)
離乳食後期の具体的な献立例をご紹介します。食材の量も参考にしてください。
朝食
レンジでパンキッシュ
- 材料(1人分)
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- 食パン6枚切り(耳は除く):1/2枚
- 溶き卵:1/2個
- 牛乳:小さじ2
- 粉チーズ:少々
- ほうれん草(葉先を軟らかくゆでて刻む):3g
にんじんの煮物
- 材料(1人分)
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- にんじん:15g
- だし汁:90cc
バナナヨーグルト
- 材料(1人分)
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- リンゴ(電子レンジで軟らかく加熱したもの):20g
- ヨーグルト:50g
昼食
カツオソテー
- 材料(1人分)
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- カツオたたき(1切れ半程度):15g
- 小麦粉:少々
- サラダ油:少々
かぼちゃのスティック煮
- 材料(1人分)
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- かぼちゃ(皮を除いてスティック状に切る):20g
- だし汁:50g
トマト
- 材料(1人分)
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- トマト(湯剝きしたもの):20g
ごはん
- 材料(1人分)
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- 全粥~軟飯:90g~80g
- 青のり:少々
夕食
豆腐ハンバーグ
- 材料(1人分)
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- 豆腐:30g
- 牛赤身ひき肉:30g
- 乾燥芽ひじき(水で戻して茹で、水気を切る):0.5g
- 片栗粉:小さじ2/3
- 油:少々
キャベツの胡麻和え
- 材料(1人分)
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- キャベツ(2センチ角に切ってだしで軟らかく煮る):15g
- だし汁:50cc
- すりごま:少々
- 砂糖:少々
- しょうゆ:少々
ごはん
- 材料(1人分)
-
- 全粥~軟飯:90g~80g
野菜スープ
- 材料(1人分)
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- オクラ(小口切り):5g
- ミニトマト(湯剝きして1/4に切る):15g
- 洋風だし汁:50cc
Point
離乳食の進み方は赤ちゃんによって違います。周りと比べて焦ったりせず、赤ちゃんのペースに合わせて進めましょう。