離乳食はいつから?
初期・中期・後期・完了期の進め方
離乳食はいつから始めたらよいのでしょうか?月齢別の離乳食の進め方、離乳食を与える目安や適正量、献立のポイントや注意点を全てわかりやすく解説します。離乳食を始めることに不安を感じている保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
赤ちゃんが成長すると、母乳や育児用ミルクなどの乳汁だけではエネルギーや栄養素が不足するようになります。「飲む」乳汁から「噛んで食べる」幼児食へ移行するためには食べ物に少しずつ慣れることが必要です。その過程を「離乳」といい、なめらかにすりつぶした食べ物を与えて離乳を開始します。成長に応じてエネルギーや栄養を補うために離乳の期間に赤ちゃんに与えられる食事が「離乳食」です。
離乳食の目的は、まず食べることに慣れ、食べる意欲を育むことです1)2)3)。
ここでは月齢別の離乳食の進め方、離乳食を与える時期の目安や適正量、献立のポイントや注意点をわかりやすく解説します。離乳食を始めることに不安を感じている保護者の方はぜひ参考にしてください。
いつから始める?
離乳食を始めるサイン
離乳食を始める目安は5~6ヶ月頃とされています。
この頃に赤ちゃんが発する以下のサインも離乳食を開始する目安です。
- 首がしっかりすわっている
- 寝返りがうてる
- 5秒以上座れる
- 食べ物に興味を示す
- スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる
このようなサインが見られたら、赤ちゃんのご機嫌が良く、保護者の方もゆとりがあるときに離乳をスタートするとよいでしょう3)。
離乳食を始めるサインの例
-
首の座りがしっかり
してきて5秒ぐらい
座ることができる -
大人が食べるものに
興味を示す -
スプーンなどを口に
入れても舌で押し出す
ことが少なくなる
4ヶ月でも始めてよい?
5ヶ月過ぎたけどサインが
出ない場合は?
離乳開始のサインが出ていない場合、赤ちゃんは離乳食を受け入れる準備ができていません2)。
スプーンなどを口に入れると舌で押し出す哺乳反射(原始反射の一種)が消えるのは、生後5~7ヶ月頃とされています1)。
よって、離乳食は生後5ヶ月から、遅くとも6ヶ月のうちに始めるのが適当でしょう。ただし、子どもの発育及び発達には個人差があるので、月齢はあくまでも目安です。発達や、母乳量と体重の増え方、皮膚の状態、機嫌や睡眠などを観察して、心配なことがあれば、小児科や保健センターの管理栄養士、保健師などに相談するとよいでしょう1)2)3)。
離乳食の始め方と
進め方のポイント
初めての離乳食は、1日1回、昼前後の授乳の時間を選び、授乳の前に食べさせるようにしましょう。
最初はアレルギー性の低いおかゆから始めます。なめらかにすりつぶした状態に仕上げたおかゆを1さじから始め、2~3日に1さじのペースで増やしていきます。
おかゆを3~4さじ食べられるようになったら、野菜かくだもののペーストを、1種類1さじから始めて、徐々に加えます。
食べさせる時間は、保護者の方の都合や赤ちゃんの食欲、機嫌によって、落ち着いて食べられるときを選んでかまいません。
離乳食を食べさせた後には母乳や育児用ミルクを赤ちゃんが欲しがるだけあげるようにします。
最初は、離乳食を飲み込むこと、舌触りや味に慣れさせることが大事なので、食べられる量が少なくても無理はしないようにします。
野菜やくだものにも慣れて量が増えたら、豆腐、白身魚、卵黄などから1種類を1さじから始め、次第に量を増やします。そして、いろいろな種類の食品を同時に食べられるように進めていきます4)。
初日 | 1週間 | 2週間 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | |||
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10倍がゆ |
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野菜 ペースト |
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白身魚 豆腐 卵黄 |
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離乳食の進め方のポイント
- 赤ちゃんのペースに合わせて、食べさせる大人もゆったりした気持ちで楽しく進めましょう。
- 離乳食を口の外に押し出すのは反射作用によるもの。最初は舌の奥のほうに入れると次第に上手に飲み込めるようになります。赤ちゃんが完全に飲み込んでから次の一口を入れるようにしましょう。
- 嫌がる場合は無理しないようにしましょう。離乳食の硬さ、味付け、温度、スプーンの大きさや形、与えるペースなどを見直してみましょう。
- 自分で食べることに興味を持ち始めたら、手に持って食べやすいものを用意するなど、赤ちゃんの自主性を尊重しましょう。
離乳食の進め方
早見表・スケジュール
赤ちゃんの成長に合わせた離乳食の進め方を一覧できる早見表をご紹介します。以下はあくまで目安なのでこの通りにいかなくても成長曲線のカーブに沿っているなら心配ありません。赤ちゃんのペースに合わせて焦らず無理なく進めましょう3)。
離乳初期 (生後5~6ヶ月頃) |
離乳中期 (生後7~8ヶ月頃) |
離乳後期 (生後9~11ヶ月頃) |
離乳完了期 (生後12~18ヶ月頃) |
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摂食機能の 目安 |
食べることに慣れ、飲み込むこと(ゴックン)を覚える。 |
歯が生え始め、豆腐の硬さ程度のものを舌と上あごでつぶせる。 |
食べ物を前歯で噛み切って歯ぐきでモグモグ食べるように。自分で食べたくなったり、触りたくなったりする。 |
歯を使うようになり、かじったり噛んだりが上手に。手づかみ食べが中心。スプーンやフォークも使いたくなる。 |
1日の スケジュールと 食べ方の目安 |
1日1回 母乳や育児用ミルクは欲しがるだけあげる。 |
1日2回 母乳は欲しがるだけ、育児用ミルクは1日3回程度あげる。 |
1日3回 母乳は欲しがるだけ、育児用ミルクは1日2回程度あげる。 |
1日3回+ 食事の合間に補食(おやつ)を加えて。お菓子よりくだものやいも類を。 |
食材の硬さ・ 形態 |
なめらかにすりつぶしたペースト状 |
舌でつぶせる硬さ |
歯ぐきでつぶせる硬さ(食べ頃のバナナぐらい) |
歯ぐきや歯でつぶせる硬さ |
エネルギーとなる炭水化物 (米・パン・ めん類・いも) |
つぶしがゆから始める |
全がゆ |
全がゆ90g〜 |
軟飯90g〜 |
からだの調子を 整えるビタミン・ ミネラル (野菜・くだもの) |
すりつぶした野菜なども試してみる |
20〜30g |
30〜40g |
40〜50g |
からだを作るたんぱく質 (魚・肉・豆腐・ 卵・乳製品) |
慣れてきたらつぶした豆腐・白身魚・卵黄などを試してみる |
魚または肉なら10~15g |
魚または肉なら15g |
魚または肉なら15~20g |
初期・中期・後期・
完了期までの進め方
それぞれの段階でどのような離乳食を用意すればよいのでしょうか。離乳食の形態の目安をご紹介します。
離乳初期 (生後5~6ヶ月頃) |
離乳中期 (生後7~8ヶ月頃) |
離乳後期 (生後9~11ヶ月頃) |
離乳完了期 (生後12~18ヶ月頃) |
|
---|---|---|---|---|
炭水化物 (ごはん) |
10倍がゆ |
7倍がゆ |
5倍がゆ90g~ |
軟飯90g~ |
野菜・ くだもの (にんじん) |
前半:裏ごし |
前半:細かくつぶす |
前半:5㎜角 |
前半:1㎜角 |
たんぱく質 (白身魚) |
前半:× |
前半:すりつぶしてのばす |
前半:5㎜程度 |
前半:1㎝程度にほぐす |
以下に各段階でおすすめの食材や仕上がりの硬さ・形態、進め方のポイントをご紹介します。
離乳初期(5~6ヶ月ごろ)3)4)5)
- 食材
- おかゆ(10倍がゆ)、食パン(耳を除く)、うどん、野菜・くだもの、豆腐、白身魚、卵黄
- 食材の硬さ・形態
- なめらかにすりつぶした状態、ポタージュ状~ヨーグルト状
- ポイント
- 1日1回1さじから増やしていく。母乳や育児用ミルクは好きなだけ飲ませる。
離乳初期の進め方に
ついて(生後5~6か月頃)
離乳中期(7~8ヶ月ごろ)3)4)5)
- 食材
- おかゆ(7倍がゆ)、食パン(耳を除く)、うどん、野菜・くだもの、豆腐、魚、肉、乳製品、卵
- 食材の硬さ・形態
- 舌と上あごでつぶせる硬さ、絹ごし豆腐状
- ポイント
- 1日2回。穀類、野菜・くだもの、たんぱく質と食品を幅広く揃える。母乳は好きなだけ、育児用ミルクは1日3回程度飲ませる。
離乳後期(9~11ヶ月ごろ)3)4)5)
- 食材
- おかゆ(5倍がゆ)、食パン(耳を除く)、うどん、野菜・くだもの、豆腐、魚、肉、乳製品、卵
- 食材の硬さ・形態
- 歯ぐきでつぶせる硬さ、バナナ程度の硬さ
- ポイント
- 1日3回にする。「手づかみ食べ」が始まるので、野菜スティックを練習用に。母乳は好きなだけ、育児用ミルクは1日2回程度飲ませる。
離乳完了期(1歳~1歳6ヶ月ごろ)3)4)5)
- 食材
- 軟飯~やわらかいごはん、食パン、うどん、野菜・くだもの、豆腐、魚、肉、乳製品、全卵
- 食材の硬さ・形態
- 歯ぐきや歯で噛みつぶせる硬さ、肉だんごのような硬さ
- ポイント
- 1日3回+補食1~2回。生活リズムを整える。母乳は好きなだけ、育児用ミルクは食欲や成長に応じて飲ませる。
Point
以上、離乳食の始め方、月齢別の進め方のポイントについて解説しました。市販のベビーフードなどもスマートに利用しながら、まずは食べることに慣れさせることが大切です。焦らずゆったりとした雰囲気で、赤ちゃんのペースに合わせながら楽しく進めていきましょう。