【医師監修】
コラーゲンと
アミノ酸の関係とは?

コラーゲンはタンパク質の1つで、アミノ酸からできています。ここでは、コラーゲンとアミノ酸の関係、コラーゲンの働きをわかりやすく説明します。また、コラーゲンを効率よく摂るポイントと注意点もご紹介します。

#1

コラーゲンとアミノ酸の関係

コラーゲンとは、皮膚や骨、軟骨、血管などに存在しているタンパク質で、ヒトのからだの全タンパク質のうち約30%を占めています1)
コラーゲンを構成するアミノ酸の約1/3は非必須アミノ酸のグリシンで、そのほかにはプロリンやアラニン、ヒドロキシプロリンなどが含まれています。このアミノ酸の組成はコラーゲンに特徴的なものです2)

摂取されたコラーゲンは、からだの中でアミノ酸やコラーゲンペプチド(アミノ酸が数個つながったもの)に分解され、血流にのってからだの隅々まで運ばれます。そして、アミノ酸はコラーゲンなどのタンパク質をつくる材料となり、コラーゲンペプチドはコラーゲンをつくる働きを促進すると考えられています3)

コラーゲンの消化吸収とコラーゲン合成2)3)
コラーゲンの消化吸収とコラーゲン合成についてのイラスト

アミノ酸とは?

アミノ酸とは、コラーゲンなどのタンパク質を構成する20種類の有機化合物で、一つでも欠けるとタンパク質をつくることができません1)。ヒトや動物が体内で合成できない9種類(ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン、バリン、ヒスチジン)は必須アミノ酸と呼ばれ、食事からの摂取が必要です4)。からだの中で糖質や脂質から合成することのできる11種類(チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン)は、食事からの摂取が不要なため非必須アミノ酸と呼ばれます4)

#2

肌や爪のためにコラーゲンを
摂取しても意味なし?

コラーゲンは口から摂取しても、体内でアミノ酸に分解されるためほかのタンパク質を食べることと変わらないと長い間考えられてきました2)。しかし、近年の研究により、コラーゲンはすべてアミノ酸に分解されるのではなく、一部はペプチドの形で吸収されることがわかってきました2)
コラーゲンペプチドを摂取するとジペプチド(プロリン-ヒドロキシプロリンなど)やトリペプチド(アラニン-ヒドロキシプロリン-グリシンなど)といったオリゴペプチドが血中に高い濃度で出現することが報告されており、これまでに少なくとも7種類のオリゴペプチドが同定されています6)7)8)。これらのオリゴペプチドによってコラーゲンは様々な機能を示すと考えられています8)
例えば、コラーゲンペプチドの摂取により、肌の水分量が増加する、弾力性が変化する、爪の水分量が増加するという報告があり、コラーゲンは肌や爪の健康維持に関わっていると考えられています2)3)4)5)
>【医師監修】コラーゲンの働きとは?種類とからだの中での役割
>コラーゲンを食べても意味ない?本来の働きとからだへの影響

#3

コラーゲンとアミノ酸、
どちらを摂取すればいい?

摂取されたコラーゲンの一部はペプチドの形で吸収されます。コラーゲン由来のペプチドの中には、ほかのタンパク質にはほとんど存在しないものもあります3)。そのため、美容や健康のためにコラーゲンを摂取したい場合は、コラーゲンを含む食品やコラーゲンペプチドを含むサプリメントなどを取り入れることが大切です。

一方で、コラーゲンに含まれるアミノ酸の種類は偏っているので、ほかのタンパク質からアミノ酸を摂取することも重要です2)。アミノ酸は、通常の食事をしていれば、不足することはない栄養素です1)。しかし、運動量の多い人はタンパク質の必要量も増えるため、タンパク質の材料であるアミノ酸も多く求められます。肉や魚などのタンパク質を含む食品や、必要に応じてサプリメントを取り入れてアミノ酸を摂取するとよいでしょう9)
毎日のバランスの良い食事を心がけた上で、ご自身の目的や摂りたい成分に合わせてコラーゲン製品やアミノ酸製品を選んでみましょう。

#4

コラーゲンを摂取するときの
ポイントと注意点3)

体内でコラーゲンを合成するには、アミノ酸のほか、ビタミンCや鉄分といった栄養素が必要となります。コラーゲンを摂取する際は、一緒にビタミンCや鉄分を摂るように意識してみるとよいでしょう。
コラーゲンを多く含む食べ物としては、鶏皮や牛スジ、鶏軟骨などがあげられます。ただ、これらの食品は、脂質も多く含まれているのが特徴です。食品からコラーゲンを摂る場合は、脂質の摂りすぎやカロリーオーバーに注意しましょう。サプリメントには脂質がほとんど含まれないため、必要に応じて活用するとよいでしょう。
>【管理栄養士監修】コラーゲンを増やす食べ物とは?

毎日の健康のために、コラーゲンの摂取を意識しつつ、バランスの良い食事を心がけましょう。コラーゲンは、ビタミンCと鉄分を一緒に摂ったり、必要に応じてサプリメントも活用したりすることで効率的に摂取するとよいでしょう3)
>【医師監修】コラーゲンの効果的な摂り方とは?

監修
医療法人康梓会Y'sサイエンスクリニック 統括院長/医学博士
大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授
日比野 佐和子先生