【医師監修】
コラーゲンの働きとは?
種類とからだの中での役割

からだの細胞同士をつなぎ合わせるのに欠かせないコラーゲン。さまざまな働きがあり、私たちのからだになくてはならないものです。ここではコラーゲンの種類や働き、近年の研究によりあきらかになってきたことなどを解説します。

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コラーゲンとは?
コラーゲンの種類と働き

コラーゲンとは、私たちのからだをつくる細胞をつなぎ合わせ、肌のハリや骨や血管のしなやかさ、関節の動きの滑らかさなどを維持する役割を担うタンパク質です1)。コラーゲンは動物に特有のタンパク質で、ヒトのからだの全タンパク質のうち約30%を占めています1)
現在、コラーゲンは29種類に分類され、そのうち9種類が皮膚に存在しています1)。それぞれI型、II型などと名前が付けられており、線維を形成する「線維性」や、基底膜をつくる「膜型」などのタイプがあります2)

体の中に存在するコラーゲンは、3本のポリペプチド鎖がらせんを巻いた「3重らせん構造」の不溶性の線維状タンパク質です。この構造が加熱によってほどけるとゼラチンになり、さらに酵素によって分解されると、コラーゲンペプチドになります。

コラーゲンが体内で占める割合:全身のタンパク質の約30%/骨の重量の約20%/骨の体積の約50%
代表的なコラーゲンの種類2)
種類 タイプ 特徴
I型 線維性 真皮や骨、腱、じん帯、角膜などに含まれる。脊椎動物の体内で一番多いコラーゲン。
II型 線維性 軟骨や目の硝子体の主要なコラーゲン。そのほかにも、角膜上皮、脊索、椎間板の髄核に存在する。
III型 線維性 真皮や動脈壁に多く含まれるコラーゲン。組織の弾性に関わる。
IV型 膜型 基底膜に存在している。皮膚の表皮と真皮をつなぎとめる役割を持つコラーゲン。
V型 線維性 主に血管、平滑筋、胎盤に含まれているコラーゲン。I型、III型コラーゲンの含まれている組織にも、ごく少量含まれている。真皮幹細胞を維持する重要な働きを持つ。

コラーゲンサプリメントなどのコラーゲン製品の原料として利用されているものにはタラ、サケなどの魚の皮や鱗、牛の皮や骨、豚の皮、鶏の軟骨などがあります2)。コラーゲン製品の体内への吸収性は製品の製法による影響が大きいため、原料による違いはほとんどないと考えられています1)

コラーゲンの働きの例1)
コラーゲンが体内で占める割合:全身のタンパク質の約30%/骨の重量の約20%/骨の体積の約50%
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コラーゲンの影響は?

コラーゲンはヒトの場合、体内に存在するすべてのタンパク質の約30%を占めており、そのうちの40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に存在し、血管や内臓など全身の組織にも広く分布しています1)。ここでは、コラーゲンがそれぞれの組織でどのような役割を果たしているか紹介します。

コラーゲンが肌に与える影響

コラーゲンが最も多く含まれる組織は肌(皮膚)で、その割合は体内のコラーゲンの約40%といわれています1)。多くの種類のコラーゲンが皮膚の構造や機能に重要な役割を担っています2)

なかでも、真皮中のコラーゲンのうちI型コラーゲンは約80%、Ⅲ型コラーゲンは約15%を占めています。また、コラーゲン線維を形成するには、I型およびⅢ型だけでなくV型コラーゲンも必要です。なお、Ⅲ型コラーゲンはまだ生まれる前の胎児期に多く生成されることから、「ベビーコラーゲン」と呼ばれています。これらのコラーゲンの産生を促進し、保護することが肌のハリ・弾力を維持するために重要であると考えられています。

コラーゲンペプチドの摂取によりしわの状態や皮膚の弾力性が変化する3)、皮膚の水分量が増加する4)、シミや赤みの状態が変化する5)といった報告もあります。

〈皮膚に存在する主なコラーゲン〉

  1. 1)真皮コラーゲン:真皮を構成するⅠ型・Ⅲ型・Ⅴ型コラーゲン
  2. 2)シート形成型コラーゲン:基底膜に存在し、表皮を健やかな状態に保つⅣ型コラーゲン
  3. 3)係留線維束形成型:表皮の基底膜付近に存在し、真皮と基底膜をつなぐ役割のⅦ型コラーゲン

コラーゲンが髪に与える影響

コラーゲンペプチドの摂取により、「抜け毛の減少」と「毛の丈夫さ」について自覚症状が良くなったという報告があり、コラーゲンペプチドは髪の健康の維持に関わっていると考えられています6)

コラーゲンが爪に与える影響

爪の水分が不足すると、爪の先端のほうで薄くはがれる二枚爪という状態になります7)。コラーゲンペプチドの摂取により爪の水分量が増加するといった報告があり、コラーゲンペプチドは爪の水分量を保つことで爪の健康に貢献していると考えられています8)

コラーゲンが骨に与える影響

コラーゲンは骨の強度を維持するために重要な成分の一つです。骨はカルシウムからできていると思われがちですが、その土台になっているのはコラーゲンです。コラーゲンが骨に占める割合は重量比で約20%、骨のタンパク質の90%はコラーゲンからできており、コラーゲンは骨の丈夫さやしなやかさに貢献しています1)

コラーゲンが関節に与える影響

コラーゲンは関節の軟骨の主要な成分で、軟骨を形成する上で重要な役割を担っています2)。関節の軟骨細胞に働きかけて関節の変形を阻害したり、関節のクッションの役割を担っているヒアルロン酸の産生をサポートしたりすることで、健康な軟骨の維持に関わっていることがあきらかになっています1)

コラーゲンが筋肉・腱に与える影響

コラーゲンは筋肉と骨をつなぐ腱に豊富に含まれており1)、筋肉中にも存在しています2)
運動60分前にゼラチンを摂取してから間欠的な運動をすることを3日間継続すると、コラーゲン合成を促す物質の血中濃度が上昇したという報告もあり、ゼラチンおよびコラーゲン摂取と運動を組み合わせることで体内でのコラーゲン合成が促され、けが予防や組織修復に関わっている可能性が考えられています9)10)

加齢とともに減少するコラーゲンは、からだのさまざまな組織で重要な役割を担っています1)。ずっと健やかな毎日を過ごせるようにするためにも、コラーゲンをはじめからだにとって必要な成分を効果的に摂れるとよいですね。
>【医師監修】コラーゲンの効果的な摂り方とは?

監修
医療法人康梓会Y'sサイエンスクリニック 統括院長/医学博士
大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授
日比野 佐和子先生