コラーゲンを
食べても意味ない?
本来の働きと
からだへの影響
コラーゲンを食べても意味はないといわれていた理由と、コラーゲンを摂取することで得られるからだの変化について、近年発表されている論文を参考にわかりやすく解説します。コラーゲンを過剰摂取した場合や、コラーゲンを多く含む食べ物についてもご紹介します。
コラーゲンを食べても
本当に意味がないのか?
コラーゲンは、食べても体内で消化されてアミノ酸に分解されてしまうため、特別な機能はないものと長い間考えられていました。しかし、最近の研究から、口から摂取したコラーゲンが、からだにとって有益な機能を示すことがわかってきました1)。
例えば、コラーゲンペプチドの摂取と運動を組み合わせた試験では、筋力の増加などが報告されています2)3)。
閉経前の女性77人に12週間のトレーニング(週3日)とともに、毎日15gのコラーゲンペプチドまたはプラセボ(偽薬)をトレーニング後60分以内またはトレーニングのない日は同じ時間に摂取してもらう試験を行いました。その結果、コラーゲンペプチドの摂取とトレーニングを組み合わせて行った群は、トレーニングのみを行った群よりも、脂肪組織以外の骨や筋肉などの量(除脂肪量)と握力が有意に増加し、脂肪量が減少し、足の強度が増加しました2)。
骨折または脳卒中で回復期リハビリテーション病棟に入院した65歳以上の高齢者を対象に行った試験では、コラーゲンペプチド10gを含む栄養補助食品を摂取してリハビリテーションを行う群と、リハビリテーションのみを行う群に分けて、コラーゲンペプチドが筋肉量に与える影響について調べました。その結果、リハビリテーションのみを行った群と比較して、コラーゲンペプチドを摂取した群では、除脂肪量、骨格筋量などの変化量が有意に大きくなりました3)。
また、コラーゲンペプチドが骨の健康に与える影響についても報告されています4)。
骨減少症の閉経後女性51名を対象に行った試験では、コラーゲンペプチド5g+乳酸カルシウム3.6g (500mgの元素カルシウムに相当)+ビタミンD3 400IUを3ヶ月間摂取する群と、炭酸カルシウム1.25g (500mgの元素カルシウムに相当) +ビタミンD3 400IUを同期間摂取する群に分けて、骨代謝への影響について調べました。その結果、カルシウムとビタミンDに加えてコラーゲンペプチドを摂取した群では、骨代謝へのプラスの効果を高めました4)。
コラーゲンペプチドとは?
コラーゲンはタンパク質の一種で、私たちの体内に存在するタンパク質の約30%を占めています1)。コラーゲンを加熱すると、コラーゲンの構造が変化してゼラチンになります。ゼラチンをさらに酵素を使って分解したものがコラーゲンペプチドで、コラーゲン加水分解物や加水分解コラーゲン、コラーゲン分解物などとも呼ばれます。一般的にサプリメントなどの機能性食品に含まれている「コラーゲン」とは、このコラーゲンペプチドのことです1)。
なお、ペプチドとは、タンパク質を構成する最小単位であるアミノ酸が2個以上つながった物質のことで、アミノ酸が2個の場合はジペプチド、3個の場合はトリペプチドと呼ばれます。
>コラーゲンペプチドとは?機能や体内での働き・おすすめの摂り方
コラーゲンを摂取しても
意味がないといわれていた理由
コラーゲンの摂取が注目され始めた2000年ごろは、コラーゲンペプチドのヒト体内への吸収や、吸収されたコラーゲンペプチドの機能に関しての科学的な知見が不足していました。そのため、タンパク質の一種であるコラーゲンは、摂取してもほかのタンパク質と同様に体内では分解されてアミノ酸として吸収されると考えられており、コラーゲンを摂取することもほかのタンパク質を摂取することも同じことだと考えられていました。しかし、その後研究が進み、コラーゲンはすべてアミノ酸に分解されるのではなく、一部はコラーゲンペプチドとして、小腸で吸収され、血液中に移行して、各組織に運ばれることが知られています1)。
コラーゲンを摂りすぎるとどうなる?
コラーゲンの摂取源となる食べ物には脂質が多いものもあります。そのため、摂りすぎると脂質の過剰摂取につながる可能性があるため、食べる量には気をつけましょう5)。たんぱく質の摂取を制限されている方は、医師に相談してから摂取しましょう。
コラーゲンを多く含む食べ物
コラーゲンは、魚介類ではフカヒレやうなぎの蒲焼き、はも・さけなどの魚の皮、しらす干しなどに多く含まれます。また、肉類では牛スジや鶏軟骨、豚白モツ、鶏砂肝、鶏手羽元などに多く含まれます5)。
>コラーゲンを多く含む食べ物
食べても意味がないといわれていたコラーゲンですが、研究が進み、健康や美容に役立つ機能を持っていることがわかってきました。コラーゲンを多く含む食べ物を意識しながら、バランスの良い食事を心がけて、健やかな日々に役立てましょう。
- 監修
- 認定栄養ケア・ステーション ラシーネ練馬中村橋
- 管理栄養士 高安 ちえさん
- 管理栄養士 若林 美幸さん