ここだけの話、何で便が漏れてしまうの?
2018.12.21
便失禁は腸や肛門の筋肉、神経の働きが悪くなって起こります
便失禁とは、腸や肛門の筋肉や神経にトラブルが起こり、便をがまんしたり、出したりというコントロールができなくなる状態をいいます1)2)。
便失禁には、3つのタイプがあります。
「排便したい」と思って急いでトイレに行ったにもかかわらず、間に合わずに漏れてしまう「切迫性便失禁」、自分ではまったく気づかないうちに便が漏れてしまい、後で下着の汚れに気づく「漏出性便失禁」、両方が混じった「混合性便失禁」です。
いずれのタイプも、肛門の筋肉の働きが弱くなるために、肛門をギュッと締められなくなって起こります。さらに、漏出性便失禁は、腸や肛門の働きをつかさどる神経の働きが悪くなるために、便意が感じられなくなります。
便失禁は加齢のほか、さまざまな病気が原因になることも
便失禁は、さまざまな原因によって起こります。
加齢や運動不足などによって、肛門や骨盤まわりの筋力が低下することも原因になります。腸や肛門の病気や手術、過去の出産などによって、肛門の筋肉や排便にかかわる神経がダメージを受けて起こることもあります1)2)。
ほかにも、過敏性腸症候群、脊髄の病気やけが、糖尿病、脳梗塞、認知症、多発性硬化症など、さまざまな病気によって起こることがあります。
便失禁を経験した人は、「信じられない」「恥ずかしい」「誰にも言えない」という気持ちになってしまうかもしれません。しかし、経験した人は65歳以上の約6~8%もおり2)、誰の身にも起こる可能性のある身近な“病気”といえます。治療方法もあるので、繰り返す場合は、ひとりで思い悩まず早めに医師に相談しましょう。
- NHK きょうの健康 「便」と「尿」の悩みをスッキリ解決する本.主婦と生活社.(2018)
- 便失禁診療ガイドライン2017年版. 南江堂.(2017)