お通じが悪くて、便秘になっても大丈夫?
2018.12.21
高齢になるほど多くなる便秘。放っておくと危険なの?
気持ちのよいお通じは、健康のバロメーターといわれます。でも、高齢になって「お通じの回数が減った」「便が硬くなって排便に苦労する」「コロコロしたウサギの糞のような便しか出ない」「便が残っているような気がする」といった、便秘の悩みをかかえている人は多いのではないでしょうか1)2)。
厚生労働省の調査によると、便秘の症状を訴える人の割合は、全人口では千人あたり男性が約 24人、女性が約46人と圧倒的に女性が多いのですが、65歳以上では男性約65人、女性約80人、80歳以上では男女ともに約108人と、高齢になるほど増えていき、男女差も縮まることがわかっています3)。
便秘の背景には、生活習慣病や大腸がんなどの病気が隠れていることがあります4)。 まれに、石のように硬くなってしまった便が原因で、腸の壁に穴が開く「宿便性大腸穿孔」という危険な状態に陥ることもあります5) 6)。 「たかが便秘」と軽く見られがちですが、命にかかわらないとはいいきれません。
食物繊維量の減少や腸の衰えが高齢者の便秘の原因になる
高齢者はなぜ便秘になりやすいのでしょうか?
- 運動量や食べる量、食物繊維を摂る量が減り、腸の動きが鈍くなる
- 肛門のまわりの筋力が衰えて、便の出口がゆるまなくなる
- 直腸(腸のうち最も肛門に近い部分)が鈍感になって便意を感じなくなる
- 飲んでいるお薬の副作用
- 大腸がん、糖尿病や神経疾患などの病気の影響
などが原因として考えられます4) 5)。
便秘の改善策は原因によってさまざま。気持ちよく排便できず困っていたり、病気やお薬による便秘が疑われる人は、一度かかりつけ医に相談してみましょう。
高齢になると…
- 西村かおる.在宅での排便コントロール(2018)
- 慢性便秘症診療ガイドライン2017. 南江堂.(2017)
- 平成28年度国民生活基礎調査(厚生労働省)
- 水上勉、慢性便秘症を治す本.法研.(2018)
- NHK きょうの健康 「便」と「尿」の悩みをスッキリ解決する本.主婦と生活社.(2018)
- 平能 康充, 渡辺 透, 原田 猛, 山脇 優, 神林 清作, 佐藤 博文、 宿便性大腸穿孔の2例. 日本臨床外科学会雑誌. 61(9) 2401-2404(2000)