高齢者の
食事量の目安とは?
1日の食事例
おすすめレシピ3選

高齢者の1日の食事量や、高齢者に適した食事メニュー、食事量が減るとどうなるのか等、その原因や対策についてご紹介します。

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高齢者の食事量の
目安はどれくらい?

毎日の食事が適量なのかどうか、わからなくて困ることはありませんか? ここでは、エネルギー、たんぱく質、糖質、塩分量の目安や、ご飯の量、おかずの品数の目安など、1日にどのようなものをどれだけ食べる必要があるのか見ていきましょう。
1日に必要なエネルギー量は、65~74歳のふつうの活動量の男性では2,400kcal、女性では1,850kcalが目安です1)。75歳以上で自立して生活している男性では2,100kcal、女性では1,650kcalと、歳を重ねるにつれて少しずつ少なくなります1)。たんぱく質の1日あたりの推奨摂取量については、男性は65歳以上になると65gから60gへと少し(5gはハム3枚相当程度2))少なくなりますが、女性では成人以降変わらず50gです1)

1日に必要なエネルギーと
たんぱく質量2)
65〜74
身体活動レベル Ⅰ(低い) Ⅱ(ふつう) Ⅲ(高い)
座っていることが
ほとんど
座っていることが多いが、
立ち作業や通勤、買い物、
軽い運動もする
移動や立ち仕事が多い、
活発な運動習慣がある
男性 エネルギー(kcal) 2050 2400 2750
たんぱく質(g) 77〜103 90〜120 103〜138
女性 エネルギー(kcal) 1550 1850 2100
たんぱく質(g) 58〜78 69〜93 79〜105
75歳以上
身体活動レベル Ⅰ(低い)
自宅にいて
ほとんど外出しない
Ⅱ(ふつう)
自立している
男性 エネルギー(kcal) 1800 2100
たんぱく質(g) 68〜90 79〜105
女性 エネルギー(kcal) 1400 1650
たんぱく質(g) 53〜70 62〜83
65〜74
身体活動
レベル
男性 女性
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
Ⅰ(低い)
座っていることがほとんど
2050 77〜103 1550 58〜78
Ⅱ(ふつう)
座っていることが多いが、立ち作業や通勤、買い物、軽い運動もする
2400 90〜120 1850 69〜93
Ⅲ(高い)
移動や立ち仕事が多い、活発な運動習慣がある
2750 103〜138 2100 79〜105
75歳以上
身体活動
レベル
男性 女性
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
Ⅰ(低い)
自宅にいてほとんど外出しない
1800 68〜90 1400 53〜70
Ⅱ(ふつう)
自立している
2100 79〜105 1650 62〜83

しかし、1日あたりの塩分摂取の目標量(食塩相当量で男性7.5g未満、女性6.5g未満)や、食事に占める炭水化物の割合(50~65%)や脂質の割合(20~30%)の目安は、成人以降で変わりません1)
では、これらは、具体的にどのくらいの量なのでしょうか?農林水産省の提供する食事バランスガイドを利用して見てみましょう3)。ここでは、1日に必要なエネルギー量が2,200kcalである、活動量の低い69歳までの男性やふつう以上の活動量の70歳以上の男性の場合を例とします。食事バランスガイドの料理区分における摂取の目安では、主食5~7つ、副菜5~6つ、主菜3~5つ、牛乳・乳製品2つ、果物2つです3)。これを1日のメニューに当てはめたものが下の図です。

寝たきりの人、
あまり運動しない人の食事量の目安は?

座っていることがほとんどという方に必要なエネルギー量は、65歳から74歳男性で2,050kcal、女性で1,550kcalです1)。また75歳以上のほとんど外出されない方に必要なエネルギー量は、男性で1,800kcal、女性で1,400kcalです1)。1日の塩分摂取量とたんぱく質量は、活動的な方とそうでない方とで変わらず、男性60g、女性50gです1)。食事バランスガイドでは、70歳以上の男性の場合、ほとんど外出しない方では、ふつう以上の活動量の方に比べて、主食と主菜がそれぞれ1つ分少ない程度の違いとなります1)3)

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食事量が低下する
原因とリスクとは?

食事量が低下する原因はさまざまです。噛む力や飲み込む力が弱まると、食べにくくなり1)、視覚・味覚・嗅覚が衰えると、料理がおいしく感じにくくなり、食欲が減退してしまいます2)4)。また、運動量の減少、便秘による膨満感、ストレス、独居による孤独感といった精神的な問題、調理が面倒になる、料理の味付けが好みに合わない、加齢によって買い物に行きづらくなるために食の楽しみが失われる、経済的な理由から食費を切りつめ、食欲が減退してしまう、などといったことも食事量が低下する原因となります1)2)4)

食事量が低下するとどうなる?

食事量が減ってくると問題になるのが、栄養不足(低栄養)です。低栄養状態に気が付くためのポイントとしては、体重、食事量、そして水分摂取量などが挙げられます2)。食事量が減ったために体重が落ちたのであれば、栄養を補って体重を戻す必要があります2)。低栄養状態が続くと、筋肉量が減ったりします5)。また、食事量の減少に伴う水分不足にも注意が必要です2)。健康に過ごすためには、食事量が少なくなってきたと感じたら、どこに原因があるのかを考え、必要な栄養を摂れるような工夫を心がけましょう2)6)

目安量の食事
摂ってもらう方法と工夫

食が細くなってくると、目安量の食事を毎食とるのが大変と感じてしまいます。そんな時は、食べやすくしたり、エネルギーや栄養を足したりする、ちょっとした工夫を試してみましょう。

食材を変える
噛む力が弱くなっても、食材を工夫するといつものメニューが食べやすくなります。例えば、豚肉のしょうが焼きは、肉をしゃぶしゃぶ用の薄切りバラ肉にしたり、しょうが汁に漬け込んで肉が柔らかくしたりすることで食べやすくなります2)。さらに、片栗粉をまぶして炒めると、飲み込みやすいなめらかな食感になります2)
また、シチューなど調理で加水する場合は、水の代わりに牛乳やスキムミルク、豆乳などを加えると、簡単にたんぱく質の摂取量が増やせます6)
食材を追加する
炭水化物に偏りがちな朝食や昼食に、たんぱく質を加えましょう。朝食には、パンのみでなく、チーズ、ヨーグルト、卵、牛乳を、昼食の麺類には肉や卵を加えれば、不足しがちなたんぱく質が補えてよいですよ。魚の缶詰や練り物製品なども簡単に食べられるのでおすすめです2)
メニューを工夫する
毎日たくさんの品数を用意するのは大変ですね。そんなときは、具沢山の汁物や丼物など、エネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が一度に取れるメニューにするのもよいですね2)
味付けを変える
おいしくないと食は進まないもの。高齢者は味覚が低下してくるため、味を感じにくくなります。おいしく感じられないのは、塩分控えめの薄味だからかもしれません。医師から塩分摂取を控えるように指示されていない場合は、好みの味付けでおいしく食べること優先するとよいでしょう2)
また、バターやマヨネーズなどの脂質の多い食品を料理に少量加えると、不足しがちなエネルギーが摂りやすくなります2)
調理法を変える
焼くとパサつきがちな魚は、蒸してたっぷりのソースやたれを絡めると食べやすくなります。また、たんぱく質は火を通しすぎると固くなるので、通しすぎないこともポイントです2)
食事回数を変える
1回の食事の量が多いと、見るだけでうんざりしてしまうこともあります。そんなときは、1日3食にこだわらず、上手に補食を取り入れ、必要な栄養を確保するようにしましょう2)。その場合、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを使った軽食や洋菓子を選んでみてもよいでしょう2)6)。例えば、チーズ、ヨーグルトや、カステラなどがおすすめです。季節のくだものもビタミン・ミネラルの補給に最適です2)
運動量を見直す、運動量を増やす
食欲がないとき、体調に問題がないのであれば、食前に散歩などの軽い運動をするのもおすすめです3)
65歳以上の方の場合、毎日合計40分以上は体を動かすようにしましょう。運動すると気分転換やストレス解消にもつながります7)

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高齢者におすすめの
食事レシピ3選

高齢者におすすめの食事メニューをご紹介します。材料・摂取カロリーや栄養素、簡単な調理法を参考にしてください。