【管理栄養士監修】
ビタミンB群とは?
種類別の働きと豊富に
含む食べ物まとめ
ビタミンB群は、ビタミンB₁、ビタミンB₁₂、ナイアシン、葉酸などをはじめとするビタミンCを除く8種類の水溶性ビタミンの総称です。管理栄養士監修のもと、ビタミンB群の働きや多く含む食べ物・1日の摂取目安量について解説します。
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ビタミンB群とは?
ビタミンB群とは、水溶性ビタミンのうちビタミンCを除く、ビタミンB₁、B₂、B₆、B₁₂、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類のことです1)。ビタミンB群は、酵素の働きを補う補酵素として酵素反応に関わっています1)。糖質やたんぱく質、脂質の代謝に関わり、エネルギーを作り出す、肌や髪の健康を保つなどの働きを持ちます2)3)。
ビタミンB群が不足したり過剰摂取したりした場合は、次のような症状がみられることがあります。
ビタミンB群が不足した場合と
過剰摂取した場合の主なリスク2)4)
ビタミン | 不足した場合 | 過剰摂取した場合 |
---|---|---|
ビタミンB₁ | 疲労感、食欲不振など | ー |
ビタミンB₂ | 成長障害、口腔内外の炎症、 皮膚の炎症、目の充血 |
ー |
ビタミンB₆ | 口角や皮膚の炎症など | しびれ、脱力 |
ビタミンB₁₂ | 悪性貧血 | ー |
ナイアシン | 皮膚の炎症、下痢、しびれ、 脱力 |
消化管障害、肝機能障害 |
パントテン酸 | 成長障害、しびれ、脱力、 消化管異常、皮膚の炎症 |
ー |
葉酸 | 悪性貧血 | ー |
ビオチン | 皮膚の炎症、食欲不振、 むかつき |
ー |
ビタミンB群を摂取する際に注意すること
水溶性ビタミンであるビタミンB群は、体内には蓄積されないため、不足しないようにこまめに摂ることが大切です。
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【早見表】
ビタミンB群を多く含む食べ物
ビタミンB群は、スーパーなどで手に入る毎日の食生活に取り入れやすい食材にも豊富に含まれています。
ビタミン | 食品 |
---|---|
ビタミンB₁ | 豚肉、うなぎかば焼き、たらこ、玄米 |
ビタミンB₂ | レバー(牛、豚、鶏)、うなぎかば焼き、魚肉ハム・ソーセージ、納豆、卵、牛乳、アーモンド、お茶(玉露) |
ビタミンB₆ | まぐろ類の刺身、レバー(牛、豚、鶏)、豚ヒレ肉、かつおの刺身、いわし丸干し、鶏むね肉、ささみ、ブロッコリー、ピスタチオ、ニンニク |
ビタミンB₁₂ | あさり、しじみ、はまぐり、かきなどの貝類、レバー(牛、豚、鶏)、いわし類、さば、たらこ |
ナイアシン | たらこ、煮干し、いわし丸干し、まぐろ類、焼きさば、鶏むね肉、ささみ、豚スモークレバー、ビーフジャーキー |
パントテン酸 | レバー(牛、豚、鶏)、納豆、田作り、たらこ、卵黄、子持ちがれい、鶏むね肉、ささみ |
葉酸 | レバー(牛、豚、鶏)、お茶(玉露)、ブロッコリー、えだまめ、いり大豆、たたみいわし、卵黄 |
ビオチン | レバー(牛、豚、鶏)、卵黄、ピーナッツ、卵、いり大豆 |
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【早見表】
ビタミンB群の1日の摂取目安量
1日に必要なビタミンB群摂取量については、年齢・性別ごとに目安量や推定量が設定されています。
妊娠中・授乳中の女性に対しては、健康な胎児や乳児の成長に必要な摂取量が、付加量として設定されています。特に葉酸については、妊娠の可能性のある女性や妊娠初期の妊婦は、胎児の先天異常のリスクを低くするために、通常の食事以外のサプリメントなどでさらに400µg/日を摂取することが望ましいとされています。
水溶性ビタミンであるビタミンB群は、血液などの体液に溶け込み、余分な量は尿として排出されるため、過剰摂取の可能性は低いと考えられています1)。
ビタミンB₁ | ビタミンB₂ | ビタミンB₆ | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
推奨量 | 推奨量 | 推奨量 | ||||
12~14歳 | 1.4mg | 1.3mg | 1.6mg | 1.4mg | 1.4mg | 1.3mg |
15~17歳 | 1.5mg | 1.2mg | 1.7mg | 1.4mg | 1.5mg | 1.3mg |
18~29歳 | 1.4mg | 1.1mg | 1.6mg | 1.2mg | 1.4mg | 1.1mg |
30~49歳 | 1.4mg | 1.1mg | 1.6mg | 1.2mg | 1.4mg | 1.1mg |
50~64歳 | 1.3mg | 1.1mg | 1.5mg | 1.2mg | 1.4mg | 1.1mg |
65~74歳 | 1.3mg | 1.1mg | 1.5mg | 1.2mg | 1.4mg | 1.1mg |
75歳以上 | 1.2mg | 0.9mg | 1.3mg | 1.0mg | 1.4mg | 1.1mg |
妊婦(付加量) 授乳婦(付加量) |
+0.2mg +0.2mg |
+0.3mg +0.6mg |
+0.2mg +0.3mg |
ビタミンB₁₂ | ナイアシン* | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
推奨量 | 推奨量 | |||
12~14歳 | 2.4µg | 2.4µg | 15mgNE | 14mgNE |
15~17歳 | 2.4µg | 2.4µg | 17mgNE | 13mgNE |
18~29歳 | 2.4µg | 2.4µg | 15mgNE | 11mgNE |
30~49歳 | 2.4µg | 2.4µg | 15mgNE | 12mgNE |
50~64歳 | 2.4µg | 2.4µg | 14mgNE | 11mgNE |
65~74歳 | 2.4µg | 2.4µg | 14mgNE | 11mgNE |
75歳以上 | 2.4µg | 2.4µg | 13mgNE | 10mgNE |
妊婦(付加量) 授乳婦(付加量) |
+0.4µg +0.8µg |
+0mgNE +3mgNE |
パントテン酸 | 葉酸 | ビオチン | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
推奨量 | 推奨量 | 推奨量 | ||||
12~14歳 | 7mg | 6mg | 240µg | 240µg | 50µg | 50µg |
15~17歳 | 7mg | 6mg | 240µg | 240µg | 50µg | 50µg |
18~29歳 | 5mg | 5mg | 240µg | 240µg | 50µg | 50µg |
30~49歳 | 5mg | 5mg | 240µg | 240µg | 50µg | 50µg |
50~64歳 | 6mg | 5mg | 240µg | 240µg | 50µg | 50µg |
65~74歳 | 6mg | 5mg | 240µg | 240µg | 50µg | 50µg |
75歳以上 | 6mg | 5mg | 240µg | 240µg | 50µg | 50µg |
妊婦 授乳婦 |
5mg 6mg |
+240µg※1,※2 +100µg※2 |
50µg 50µg |
- ※1 妊娠中期および後期のみ。妊娠を計画している女性、妊娠の可能性のある女性および妊娠初期の妊婦は、胎児の先天異常のリスクを低くするために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸を400µg/日摂取することが望ましい。
- ※2 付加量
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【種類別】
ビタミンB群の働きと多く含む食べ物
ビタミンB群のそれぞれについて、働きと多く含む食べ物をご紹介します。
ビタミンB₁の働きと食べ物
ビタミンB₁は、ごはんやパン、甘いものに多く含まれる糖質をエネルギーに換えるときに働く補酵素です6)。疲労回復、食欲増進、神経機能を正常に維持する働きを持ちます3)。ビタミンB₁は、動物性食品では、豚肉やうなぎなど、植物性食品であれば、米ぬかや豆類、イモ類などに多く含まれます6)。
>ビタミンB1とは?
ビタミンB₂の働きと食べ物
ビタミンB₂は、糖質や脂質、たんぱく質の代謝に関わる補酵素としての働きを担っています2)4)7)。皮膚や髪の健康の保持、成長の促進や過酸化脂質の分解といった役割を持ちます3)。動物性食品では、レバーやうなぎ、牛乳、卵など、植物性食品では、納豆や玉露、アーモンドなどに多く含まれます6)。
>ビタミンB2とは?
ビタミンB₆の働きと食べ物
ビタミンB₆は、たんぱく質や脂質、糖質の代謝において補酵素として働きます6)。皮膚や髪を健康に保つ働きがあり、神経伝達物質の合成にも関わっています3)。ビタミンB₆は、動物性食品ではまぐろやかつお、豚ヒレなど、植物性食品では、バナナ、玄米、イモ類などに多く含まれます6)。
ビタミンB₁₂の働きと食べ物
ビタミンB₁₂は、補酵素として、たんぱく質や脂質などの代謝に関わっています6)。主に血をつくったり神経機能を維持したりする上で重要な働きを持ちます3)。ビタミンB₁₂は、しじみやあさりなど貝類、牛レバーなどの動物性食品に多く含まれており、植物性食品にはほとんど含まれていません6)。
>ビタミンB12とは?
ナイアシンの働きと食べ物
ナイアシンは、糖質、脂質、たんぱく質の代謝や、アルコールの分解に関わります3)。動物性食品では、たらこや鶏むね肉、赤身魚や青魚などに多く含まれます6)。植物性食品では、玄米や落花生、スイートコーンなどに多く含まれます6)。
パントテン酸の働きと食べ物
パントテン酸は糖質や脂質の代謝に関わる補酵素です6)。ストレス緩和やHDL(善玉)コレステロールの生成を助ける働きがあります3)6)。動物性食品ではレバー、魚卵、鶏むね肉やささみなど、植物性食品では、納豆や玄米などに多く含まれます6)。
葉酸の働きと食べ物
葉酸はDNAやRNAの合成、アミノ酸の代謝、たんぱく質の合成などに関わり、細胞が増えるときに重要な役割を担っています6)。血をつくる上でも重要な働きを持ちます3)。ほうれん草から発見されたため、「葉」と名前がついていますが、レバーに多く含まれます6)。
また、母親が胎児の受胎前後から妊娠初期までに、葉酸を摂取すると、胎児の先天異常のリスクが低くなるため4)6)、妊娠を希望する女性や妊娠の可能性がある女性には大切な栄養素です。
ビオチンの働きと食べ物
ビオチンは、分岐鎖アミノ酸や脂肪酸の合成、エネルギー代謝などに関わり6)、皮膚や髪を健康に保つ働きを持ちます3)。動物性食品ではレバーや卵、魚、魚卵に多く含まれ、植物性食品では豆やブロッコリーに多く含まれます6)。