【管理栄養士監修】
ビタミンB1とは?
働き・摂取量・
食品について

ビタミンB1は水溶性ビタミンの一つで、インスタント食品や糖質を多く食べる人、よくからだを動かす人が不足しやすい栄養素と言われています。ビタミンB1の働きと不足した場合の影響、1日に必要な摂取量、ビタミンB1を豊富に含む食べ物について解説します。

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ビタミンB1とは? 働きについて

ビタミンB1は、今から100年以上も前に、日本人が米ぬかから発見したビタミンです1)。ビタミンは、からだが正しく機能するために絶対必要な栄養素です。その中で、ビタミンB1は、水に溶けやすい水溶性ビタミンに分類されます。水溶性ビタミンは、からだの中では血液などの体液に溶け込んでいます2)
また、ごはんやパン、甘いものに多く含まれる糖質をエネルギーに換える消化酵素の働きを助ける役割もあります。白米や白砂糖など精製度の高い食品や、糖質の多い食品、アルコールの摂取が多い人ではビタミンB1が不足しがちとされています1)

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ビタミンB1が不足した場合・
過剰摂取した場合の影響とは

ビタミンB1が不足すると、疲れやすくなったり、食欲不振になったりすることがあります1)4)
一方で、ビタミンB1は、必要以上に摂ってもからだに蓄積することはなく、飽和状態になると尿としてからだの外へ出ていきます3)。これまでに、食品やサプリメントからビタミンB1を過剰に摂取したときの健康被害についての報告はなく、ビタミンB1の過剰摂取を過度に心配する必要はないでしょう1)

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1日に必要なビタミンB1
どれくらい?

ビタミンB1は、栄養素をエネルギーに換える働きを助けることから、エネルギー消費量が大きい人ほど1日に必要な摂取量は多く設定されています3)

1日あたりのビタミンB1の摂取基準3)
男性 女性
推定平均
必要量
推奨量 推定平均
必要量
推奨量
18〜49歳 1.2mg 1.4mg 0.9mg 1.1mg
50〜74歳 1.1mg 1.3mg 0.9mg 1.1mg
75歳以上 1.0mg 1.2mg 0.8mg 0.9mg
妊婦(付加量)
授乳婦(付加量)
- +0.2mg

※推定平均必要量は、飽和状態に達するときのビタミンB1の量に基づいて設定されており、ビタミンB1の不足でリスクの高まる脚気対策をするための最低限の必要量ではありません。

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ビタミンB1
多く含む食べ物とは?
食品別の含有量まとめ

ビタミンB1が米ぬかから発見されたこともあり、玄米など精製度の低い穀物がビタミンB1の供給源であることはよく知られています。そのほかにも、植物性食品であれば豆類やいも類、動物性食品であれば豚肉やうなぎ・さけなどの魚類、たらこなどの魚卵に多く含まれます1)

ビタミンB1を多く含む食品3)

動物性食品

1食あたりのビタミンB₁含有量(mg

  • 0
  • 0.5
  • 1
  • 1.5
  • 2
  • 2.5
  • 豚ヒレ(焼き)100g
  • 豚ロース脂身つき(焼き)80g
  • 豚もも 皮下脂肪なし(焼き) 60g
  • うなぎ(かば焼き)80g
  • 豚ひき肉(焼き)50g
  • 豚ばら(焼き)60g
  • たらこ(生)40g
  • 子持ちカレイ(水煮)100g
  • べにざけ(焼き)80g
  • ぶり(焼き)80g

植物性食品

1食あたりのビタミンB₁含有量(mg

  • 0
  • 0.05
  • 0.1
  • 0.15
  • 0.2
  • 0.25
  • 0.3
  • 玄米めし150g
  • 発芽玄米めし150g
  • マカロニ・スパゲッティ(乾)100g
  • 絹ごし豆腐150g
  • スイートコーン(電子レンジ)100g
  • 木綿豆腐150g
  • そらまめ(ゆで)60g
  • さつまいも(蒸し)100g
  • そば(ゆで)200g
  • ながいも(生)75g

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ビタミンB1
効率よく摂取する方法とは?
食べ合わせと調理のポイント

ビタミンB1には水に溶けやすいため熱に弱い性質があります。そのため、加熱調理するときは短時間にしたり、汁ごと食べられるスープにしたりするのがおすすめです。
また、ビタミンB1はアリシンと一緒に摂ると効率よく体内に吸収されるため、玉ねぎやにんにく、ニラなどと食べ合わせるとよいでしょう。一方で、わらびなどの山菜、貝類、コイやフナなどの淡水魚は、ビタミンB1を分解する酵素を含んでいるため、一緒に食べるときは要注意です。ただ、この酵素は加熱すればビタミンB1を分解する働きを失いますから、食べ合わせるときは、これらの食品をしっかりと加熱して、せっかく摂ったビタミンB1が分解されないよう意識しましょう。

手軽にビタミンB1を摂取できる
栄養補助食品・サプリメントを活用する

栄養補助食品やサプリメントの中で、商品名にビタミンB1、ビタミンB群といったキーワードが記載されている製品は、ビタミンB1の摂取をサポートしてくれます。錠剤タイプに加え、ドリンクタイプやキャンディータイプも市販されていますから、ライフスタイルに合ったものを選ぶとよいでしょう。

どのサプリメントでもそうですが、たくさん摂ることによって、病気や症状を改善するものではないことを理解した上で、上手に利用しましょう。

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ビタミンB1を摂取できる
おすすめレシピ

「豚もも肉と豆苗のレンジ蒸し
~ニラダレを添えて~」

材料(1人分)
  • 豚もも肉
    80g
  • 豆苗
    25g
  • えのき
    15g
  • ニラ
    1本分(10g)
  • 大さじ1/2(9g)
    • ポン酢
      大さじ1/2(9g)
    • ごま油
      小さじ1/2(2g)
    • おろし生姜
      1.0cm(0.5g)
    • おろしニンニク
      0.5cm(0.2g)
栄養価(1人分)
  • エネルギー
    180kcal
  • たんぱく質
    14.8g
  • ビタミンB1
    0.8mg
  • 食塩相当量
    0.8g
作り方
  1. 豆苗は根を落とし長さを半分に切る。えのきは石づきを落とし半分に切る。
  2. 豚もも肉を広げて1をのせ、しっかりと巻く。巻き終わりを下にして耐熱皿にのせる。
  3. 2に酒を振りかけてふんわりとラップをし、電子レンジ(600W)で2分~火が通るまで加熱する。
  4. ニラをみじん切りにし、A3の肉汁を混ぜ合わせる。
  5. 3を器に盛り付け、4のタレをかける

ポイント

  • アリシンを含むニラを合わせることで、ビタミンB1が効率よく吸収できます。
  • 豚もも肉が固くなってしまわないよう、加熱し過ぎないようにしましょう。
  • タレに肉汁を加えることで、肉の旨味を余すところなく召し上がれます。