【管理栄養士監修】
ビタミンB12とは?
働きと多く含む食品、
不足しやすい人について

ビタミンB12は水溶性ビタミンの一つで、正常な血液細胞の形成や神経機能の維持などに必要とされる栄養素です。基本的には動物性食品に含まれており、植物性食品にはほとんど含まれていません。ビタミンB12の働きと豊富に含む食べ物、不足しやすい人、1日の目安摂取量について解説します。

1

ビタミンB12とは?
体内での働き

ビタミンB12とは、コバルトという金属元素を含むビタミンの総称です。水にはやや溶けにくいですが、水溶性ビタミンに分類されます。ビタミンB12は、酵素の働きを助ける補酵素として、アミノ酸や脂質などの代謝に関わっています1)。また、正常な赤血球をつくったり、神経機能を正常に保ったりするためにも欠かせません2)

食品中のビタミンB12は、たんぱく質と結合した状態で存在しています。胃に入ると胃酸などの働きでたんぱく質から離れ、最終的に小腸で、胃の壁の細胞がつくる別のたんぱく質と結合して吸収されます3)

2

ビタミンB12
多く含む食べ物
とは?
食品別の含有量まとめ

ビタミンB12は、主に、肉や魚介類などの動物性の食品に含まれており、植物性の食品にはほとんど含まれていません1)

ビタミンB12を多く含む食材1)

動物性食品

1食あたりのビタミンB₁₂含有量(µg

  • 0
  • 5
  • 10
  • 15
  • 20
  • 25
  • 30
  • 35
  • 40
  • しじみ・生(50g)
  • あさり缶詰・水煮(40g)
  • ほっきがい・生(50g)
  • あかがい・生(40g)
  • 牛レバー・生(40g)
  • 鶏レバー・生(40g)
  • さんま・焼き(100g)
  • まさば・焼き(70g)
  • かき・生(60g)
  • まいわし・焼き(50g)
  • さば缶詰・水煮(90g)
  • イクラ・生(20g)
  • べにざけ・焼き(80g)

植物性食品

1食あたりのビタミンB₁₂含有量(µg

  • 0
  • 5
  • 10
  • 15
  • 20
  • 25
  • 30
  • 35
  • 40
  • 焼きのり(3g)
  • 味付けのり(3g)

3

1日に必要なビタミンB12
目安量はどれくらい?

1日に必要なビタミンB12の量については、年齢・性別ごとに目安量や推奨量が設定されています。妊娠中や授乳中の場合は、胎児へのビタミンB12の蓄積や母乳からの損失を考慮し、より多くのビタミンB12を摂取することが推奨されています3)
食品からのビタミンB12の吸収率は、健康な大人でおよそ50%です。また、1食に摂取するビタミンB12が2µg程度になると、吸収のしくみが飽和状態となり、それ以上吸収されなくなります3)。一度にたくさん摂るのではなく、3食を通して少しずつ摂取することを意識するとよいでしょう。

1日あたりのビタミンB12の摂取基準3)
男性 女性
推定平均
必要量
推奨量 推定平均
必要量
推奨量
12~14歳以上 2.0μg 2.4μg 2.0μg 2.4μg
15~17歳 2.0μg 2.4μg 2.0μg 2.4μg
18~29歳 2.0μg 2.4μg 2.0μg 2.4μg
30~49歳 2.0μg 2.4μg 2.0μg 2.4μg
50~64歳 2.0μg 2.4μg 2.0μg 2.4μg
65~74歳 2.0μg 2.4μg 2.0μg 2.4μg
75歳以上 2.0μg 2.4μg 2.0μg 2.4μg
妊婦(付加量) +0.3μg +0.4μg
授乳婦(付加量) +0.7μg +0.8μg

4

ビタミンB12
不足しやすい人とは?

ビタミンB12の摂取源となる食品は動物性のものがほとんどです。そのため、肉や魚に加え卵や乳製品も摂らない方は、ビタミンB12が不足しやすいといえます。また、病気で胃を切除した方や高齢者は胃酸分泌が低下している傾向にあり、食品から摂取したビタミンB12をうまく吸収できず、不足する可能性があります2)

ビタミンB12が不足するとどうなる?
過剰摂取の心配は?

ビタミンB12が不足すると、疲労感、便秘、食欲不振、体重減少、手足の痺れなど神経系の症状、記憶力の低下などが起こることがあります。
一方、ビタミンB12は過剰に摂取しても吸収されないので、過剰摂取による健康への影響はほとんどないと考えられています1)

5

ビタミンB12を摂取できる
おすすめレシピと
調理のポイント

ビタミンB12の供給源となる食材を使った、簡単にできるレシピを紹介します。

あさりのモッチリおこわ

材料(4人分)
  • 2合
  • 切り餅
    1個(50g)
  • あさり(殻付き)
    400g
  • 生姜
    2かけ(20g)
  • 大さじ4(60g)
  • 青ねぎ
    1本(8g)
    • みりん
      大さじ2(36g)
    • しょうゆ
      大さじ1(18g)
栄養価(1人分)
  • エネルギー
    338kcal
  • たんぱく質
    6.7g
  • ビタミンB12
    20.8μg
  • 食塩相当量
    1.5g
作り方
<事前準備>
あさり:水500cc+塩大さじ1の塩水に入れてアルミホイルを被せ1時間~置き、砂抜きをしたら、殻同士をこすり合わせてよく洗っておく。
米:洗米後、水に30分程度浸漬しザルに上げておく。
  1. 酒とあさりを鍋に入れて中火にかけ、沸騰したら蓋をして時々鍋をゆすりながら口が開くまで2~3分程加熱して酒蒸しにする。
  2. 米を炊飯器の内釜に入れる。切り餅を1cm角、生姜は千切りにし炊飯器へ入れる。1の汁とAを合わせて炊飯器に入れ、水を2合の目盛まで加え通常炊飯する。
  3. 1のあさりは殻から身を取り除いておく、青ねぎはみじん切りにする。
  4. 炊上がったらあさりの身を加え全体を混ぜて器に盛り付け、青ねぎをちらす。

ポイント

  • 切り餅を使って、簡単におこわを作ることができます。
  • あさりの口が開いた後に加熱し過ぎると、身が硬くなってしまうので注意しましょう。
  • あさりのだし汁を加えることで、旨味や水溶性のビタミンB12などの栄養素を余すところなく召し上がれます。