食物繊維のはたらきを
教えて!
2018.12.21
便秘改善だけじゃない、食物繊維の幅広いはたらき
食物繊維は、胃の中の消化酵素では分解できないため、口から摂取されると小腸を通過して大腸へと運ばれます。1) はたらき場所である「腸」にたどり着いた食物繊維は、さまざまな作用を発揮します。
まずは便秘改善に対するはたらきです。水に溶けやすい食物繊維の種類である水溶性食物繊維は、水に溶けて、便を軟らかくしてスムーズに排便できるよう助けます。一方で、水に溶けにくい種類である不溶性食物繊維は、水分を吸収して大きく膨らみ、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして便の排出を促します。2)
また食物繊維を十分に摂取すると、血圧やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を低下させ、血糖値の上昇を抑えることが認められています。3)
さらに重要な食物繊維のはたらきの一つが、腸内環境を整えることです。2)
常に勢力争いをしている腸内細菌
腸内の善玉菌を増やす食物繊維の種類とは?
食物繊維には、腸内細菌のエサになりやすく(腸内細菌に分解されやすい)、善玉菌を増やすという特徴を持つ種類があり、特に水溶性食物繊維においてこのはたらきが注目されています。このような食物繊維が腸内細菌に分解されると、短鎖脂肪酸という物質が作られ、腸内が酸性に傾きます。それによって、善玉菌が繁殖しやすく悪玉菌が繁殖しにくい腸内環境となるのです。2)
善玉菌には、腸内でビタミンを産生したり、腸の運動を活発にして病原菌などによる感染の予防や発がん性をもつ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境をつくる作用が期待されています。4)
食物繊維の摂取は、便秘解消だけでなく幅広く健康維持につながります。積極的に食事に取り入れていきましょう。
- NHK きょうの健康 「便」と「尿」の悩みをスッキリ解決する本.主婦と生活社.(2018)
- 内藤裕二、人生を変える賢い腸のつくり方.ダイヤモンド社.(2016)
- 日本人の食事摂取基準 2015年版(厚生労働省)
- 西村かおる.在宅での排便コントロール.(2018)