【基本】高齢者の
フレイル予防の
食事とは?
10品目とレシピ4選
フレイルとは加齢により心身の機能が低下した状態で、要介護状態の一歩手前の段階だと考えられています1)2)3)。フレイルになってしまっても早期に適切な対策を行うことで、元気な状態に戻ることも期待できます4)。ここではフレイルを判断する基準や、フレイルを予防するための食事方法・おすすめのレシピについて紹介します。
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フレイル予防に
必要な食事と10品目
フレイル予防のためには、栄養バランスのとれた食事を1日3食、規則正しく摂取することが大切です4)。高齢者は、噛む力や飲み込む力の低下、食欲の低下、食物をからだに取り入れる機能の低下などによって、低栄養状態になりやすいといわれています5)。低栄養状態はフレイルを引き起こす要因の一つです6)。そのため、日々の食事に気をつけて低栄養を予防することが重要です。
健康を維持するのに必要となる栄養素をしっかり摂取するには、「さあにぎやか(に)いただく」で表される10品目を意識して食事に取り入れてみるのがおすすめです。
フレイル対策のためには、毎日7品目以上食べることを目指してみましょう。
- ささかな
- ああぶら
- ににく
- ぎぎゅうにゅう
- ややさい
- かかいそう
- いいも
- たたまご
- だだいずせいひん
- くくだもの
フレイルとは
フレイルとは、加齢によって心身の機能が弱まっている状態のことです1)2)3)。身体機能の低下だけでなく、認知機能の衰えなど心理的機能が低下した状態や、独居などになり社会的なつながりが弱まった状態もフレイルに含まれます1)。フレイルになると、日常生活に支障をきたしたり、施設へ入所、転倒、入院したりする可能性が高まります2)。
以下のチェックリストのうち3つ以上が当てはまる場合はフレイル、1〜2つ当てはまる場合はプレ・フレイル(前虚弱)、1つも該当しない場合は剛健(健康)と判断されます7)8)。
項目 | 評価基準 |
---|---|
体重の減少 | 半年で2㎏以上の意図しない体重減少 |
筋力の低下 | 握力:男性<28kg、女性<18kg |
疲労感 | ここ2週間理由もなく疲れたような感じがする |
歩行速度の低下 | 歩く速さが1秒あたり1mを下回る |
身体活動 | ①軽い運動・体操 ②定期的な運動・スポーツ 上記の2ついずれも週1回未満の場合 |
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フレイル予防におすすめの
食事レシピ2品
小食の方にもおすすめ
「豆腐入り三色丼」
- 材料(1人分)
-
-
- ご飯
- 茶碗1杯(150g)
-
- 豚ひき肉
- 50g
-
- 木綿豆腐
- 50g(約1/6丁)
-
-
- しょうゆ
- 小さじ1と1/2
-
- みりん
- 小さじ1
-
-
- 卵
- 1/2個
-
-
- さとう
- ひとつまみ
-
- 塩
- 少々(0.1g)
-
-
- ごま油
- 小さじ1
-
- 冷凍ほうれん草
- 40g
-
-
- 塩
- 少々
-
-
- ごま油
- 小さじ1
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 538kcal
-
- たんぱく質
- 21.6g
-
- 脂質
- 24.7g
-
- 炭水化物
- 61.9g
-
- 塩分
- 1.7g
-
- 作り方
- <事前準備>
- 木綿豆腐は水切りしておく(茹でてざるにあげ、おもしをのせておくと時短になります)
- 冷凍ほうれん草を解凍しておく
-
- 豚ひき肉を炒め火が通ったら、水切りした木綿豆腐とAを入れて炒める。
- 卵とBを混ぜ、ごま油をひいたフライパンで炒める。
- 解凍したほうれん草とCを、ごま油をひいたフライパンで炒める。
ワンポイントメモ
- ホワイトソースの代わりに、長いもを使った手軽にできる和風のグラタンです。
- 和の調味料で、高齢の方にもなじみやすく、いつものグラタンよりあっさりと仕上がります。
- 乳製品を使うことで、しっかりとエネルギーやたんぱく質をアップしています。
- ねぎをたっぷり入れて炒めることで風味が増します。
- 噛む力の弱い方には、鶏肉をひき肉に、長ねぎはみじん切りにすると食べやすくなります。
一品で多品目の食材が摂れる
「シーフードと厚揚げの中華炒め」
- 材料(1人分)
-
-
- シーフードミックス
- 80g
-
- うずら卵
- 1個
-
- 厚揚げ
- 20g
-
- 冷凍ブロッコリー
- 10g
-
- 冷凍ほうれん草
- 30g
-
- にんじん
- 10g
-
-
- おろししょうが
- 小さじ1/2
-
- 鶏ガラスープの素
- 小さじ1
-
- しょうゆ
- 小さじ1/2
-
- みりん
- 小さじ1/2
-
-
- ごま油
- 小さじ1
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 244kcal
-
- たんぱく質
- 16.8g
-
- 脂質
- 17.5g
-
- 炭水化物
- 4.9g
-
- 塩分
- 1.5g
-
- 作り方
- <事前準備>
- シーフードミックス、冷凍ブロッコリー・ほうれん草を解凍しておく
- うずら卵は、1/2にカットしておく
- 厚揚げ、にんじんは短冊切りにしておく
-
- ごま油をひいたフライパンに、にんじんを入れ炒める。
- 1の火が通ったら、残りの材料とAを入れ炒める。
ワンポイントメモ
- 下調理済み品を利用することで、負担が少なく、少量多品目の食材を使用できます。
- 冷凍野菜は事前に解凍することで、調理による型崩れを防ぐことができます。
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フレイル予防におすすめの
ちょい足しおかずレシピ2品
海藻類をしっかり摂れる
「わかめとカニカマのナムル」
- 材料(1人分)
-
-
- カットわかめ
- 1g
-
- きゅうり
- 50g
-
- カニ風味かまぼこ
- 1本
-
- いりごま
- お好みで
-
- ポン酢
- 小さじ1/2
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 17kcal
-
- たんぱく質
- 1.6g
-
- 脂質
- 0.2g
-
- 炭水化物
- 2.8g
-
- 塩分
- 0.6g
-
- 作り方
- <事前準備>
- カットわかめは水戻ししておく
- きゅうりはスライスしておく
- カニ風味かまぼこはさいておく
-
- 全ての材料を混ぜ合わせる。
ワンポイントメモ
- なかなか食卓に登場させづらい海藻類も、カットわかめを活用することで簡単に副菜の材料として使用できます。
- わかめは細かく砕いてから水戻しすることで、喉に張り付きにくくなり、飲み込む力が弱い方でも食べやすくなります。
素朴ながらも食べ応えのある一品
「じゃがバターコーン」
- 材料(1人分)
-
-
- じゃがいも
- 1個
-
- 塩
- 少々(1g)
-
- コーン(缶詰)
- 10g
-
- バター
- 10g
-
- 黒こしょう
- お好みで
-
- パセリ
- お好みで
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 166kcal
-
- たんぱく質
- 3g
-
- 脂質
- 8.3g
-
- 炭水化物
- 27.8g
-
- 塩分
- 1.2g
-
- 作り方
- <事前準備>
- じゃがいもはひとくち大の大きさにカットし、塩ゆでする
-
- 茹でて水切りしたじゃがいもは、熱いうちにバターと和える。
- 1がなじんだら、コーン、黒こしょうとパセリで味をととのえる。
ワンポイントメモ
- 肉などのメイン料理の付け合わせなどにもおすすめです。
- じゃがいもは、火の通りやすい大きさにカットすることで、電子レンジでも下調理ができます。(カット後、水にさらして水気を切り、ラップをかぶせて600Wで5分程度加熱します)
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フレイル予防に意識したい
年齢別のたんぱく質量
筋力や筋肉量の低下はフレイルにつながります。そのため筋肉の材料となるたんぱく質をしっかりと摂ることが大切です。毎日の生活に必要なたんぱく質の量は年齢や活動量によって異なります。以下の手順で、あなたの年齢、活動量に応じた必要量を確認してみましょう9)。
①生活スタイルを振り返りながら、日々の活動量を確認してみましょう9)。
- 低い
- 1日のほとんどを座って過ごしている
- 普通
- 座って過ごすことが多いが、家事や職場への移動、買い物、軽いスポーツなどを行っている
- 高い
- 移動や立ち仕事が多い。またはしっかりスポーツを行っている
②年齢、性別を選び、①で当てはまった活動量の欄を確認してみましょう。1日に摂取するたんぱく質の目標量がわかります9)。
性別\活動量 | 低い | 普通 | 高い |
---|---|---|---|
男性 | 77〜103g | 90〜120g | 103〜138g |
女性 | 58〜78g | 69〜93g | 79〜105g |
性別\活動量 | 低い | 普通 |
---|---|---|
男性 | 68〜90g | 79〜105g |
女性 | 53〜70g | 62〜83g |
- ※健康状態に不安のある人や疾患を治療中の人はかかりつけ医に相談をしましょう。
- ※男性:65〜74歳(身長165.2cm、体重65.0kg)、75歳以上(身長160.8cm、体重、59.6kg)
- ※女性:65〜74歳(身長152.0cm、体重52.1kg)、75歳以上(身長148.0cm、体重48.8kg)
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フレイル予防の食事で心がける
5つのポイント
フレイル対策では、食事・運動・社会とのつながりが重要です。ここでは、フレイル対策のための食事について5つのポイントを紹介します。
1. たんぱく質を意識して3食しっかりとりましょう
たんぱく質は肉や魚のほか、チーズなどの乳製品や豆乳などの大豆製品にも含まれています。そのため、トーストにハムとチーズをのせて食べたり、間食の際に飲むお茶を牛乳や豆乳に変えてみたりするだけでもたんぱく質の摂取量を増やすことができます4)。市販の缶詰やレトルト食品を活用することもおすすめです4)。
2. 1日2回以上主食・主菜・副菜を取り入れましょう
1日2回以上は、ご飯などの主食、肉や魚などの主菜、野菜サラダや具入り味噌汁などの副菜をそろえた食事をしましょう4)。主食・主菜・副菜がそろった弁当を購入するほか、高齢者向け配食サービスを活用するのもおすすめです4)。
3. 必要な栄養素をまんべんなく摂取しましょう
日々の食事では、栄養バランスがかたよらないよう多様な食品を盛り込んで食べることが重要です。「フレイル予防に必要な食事と10品目」で紹介した10品目のうち1日7品目を摂ることを目標にしてみましょう。
>高齢者に大切な栄養はこれ!
4. 噛みごたえのある食品を選びましょう
加齢とともに噛む力は衰えていきます10)。噛む力・食べる力の衰えを予防するためにも積極的に噛みごたえのある食品を食べましょう。普段のご飯を白米から玄米に変えるほか、根菜類やナッツなどを食事や間食に取り入れることもおすすめです。ただし、口の中に痛みや違和感が生じる場合や舌の筋力や機能が低下している場合などは、食べやすいように調理してから食べるようにしましょう。
5. 家族や友人と共食をしましょう
共食とは誰かと一緒に食事をすることです。家族や友人と一緒に食事をしてみましょう。楽しい時間を過ごすことは、食欲増進につながります4)。