【図解】
サルコペニアとは?
フレイルとの違いは?
特徴や対策方法
「サルコペニア」とは、加齢などが原因で筋肉量が減少したり筋力が低下したりすることをいいます。サルコペニアが進むと転倒や要介護状態になる可能性があります。サルコペニアの特徴や原因、相談場所や健康を維持するための対策についてわかりやすく解説します。
1
サルコペニアとは?
サルコペニアは、「筋肉」と「喪失」を意味するギリシャ語を組み合わせた造語です。加齢が主な要因で、65歳以上の高齢者の1〜29%に該当するといわれています1)。具体的にはどのような状態を指すのでしょうか?
サルコペニア、フレイル、ロコモ
それぞれの違いとは?
サルコペニアは、筋肉が減り、からだの機能が低下した状態を指します。握力が低下しているか(男性26㎏未満、女性18㎏未満)、または歩く速度が低下していて(0.8m/秒以下)、検査で筋肉量が基準より減少していることが認められると、サルコペニアと診断されます1)。
サルコペニアと並んで「フレイル」という言葉を聞かれることもあるでしょう。フレイルとは、加齢に伴う予備能力の低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態を指します。サルコペニアよりも広い範囲を含む概念で、身体的な問題のほか、認知機能の衰えなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題などから成り、要介護状態の前段階と位置づけられています2)3)。フレイルの人はサルコペニアを合併することも多く、サルコペニアがフレイルの引き金にもなりかねません1)。
ほかに「ロコモ」という概念も提唱されています。ロコモは「ロコモティブシンドローム」の略で、運動器(骨・関節・筋肉・神経など運動するために必要なからだのしくみ)の障害のために移動機能の低下をきたした状態をいいます4)。サルコペニアはロコモの要因の一つです5)。
サルコペニア、フレイル、ロコモはどれも高齢者の健康を考えるうえで重要視されている概念です。サルコペニアに気をつけることは、フレイル、ロコモ対策のためにも大切です5)。
2
サルコペニアかも?
自分は大丈夫かな?と思ったら、下記を試してみましょう。
指輪っかテスト1)6)
ふくらはぎの一番太い部分を両手の親指と人差し指で作った輪っかで囲んでみてください。輪っかとふくらはぎとの隙間ができる場合はサルコペニアの可能性があります。
>指輪っかテストの方法についてはこちら
片足立ちテスト6)7)
両手を腰にあて、片脚を5㎝ほど上げて60秒ほどキープしてみましょう。キープできる時間が15秒未満の場合は要注意です。転ばないよう近くにすぐつかまれるものを用意して行ってください。
歩行速度のテスト1)
6m以上のスペースを確保し、0mから6mまで歩いてみましょう。途中の1mから5mまでの4mの歩行に要した時間を測定してみてください。0.8m/秒以下の場合、サルコペニアの可能性があります。
サルコペニアの相談場所とは?
サルコペニアかも?と思ったら、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。サルコペニアやロコモ、フレイルを専門に診療する外来を設けている医療機関もあります。
3
サルコペニアになる
原因と悪循環の流れ
サルコペニアの原因は加齢だけではありません。低栄養や活動不足などにも注意が必要です1)。低栄養でサルコペニアになると、活力や筋力、身体機能が低下します。それによって活動量も減り、さらなる食欲低下をもたらす悪循環が生まれてしまいます8)。サルコペニア対策は、この悪循環を断ち切ることにつながります5)。
サルコペニアに
なりやすい人とは?
サルコペニアになりやすい人には以下のような傾向があります6)。普段の生活を振り返り、当てはまるものはありませんか?
4
今からできる
サルコペニア対策2選
サルコペニアの対策では、食事対策と運動対策をあわせて実施することが大事です1)。
食事バランスと筋力アップに
つながる食事を
サルコペニアの食事対策には、たんぱく質を十分に摂ることが大切です1)。たんぱく質の供給源になる肉、魚、卵、大豆を使った料理を毎日の食事にバランスよく取り入れましょう9)。健康を意識し肉を敬遠する方もいますが、高齢者にとっては肉に含まれる脂質や動物性たんぱく質も重要な栄養素です10)。
>高齢者の食事について
一日5分!
サルコペニア対策に適した運動
サルコペニアの運動対策では、日常的に運動するのが有効です1)。ここでは日替わりトレーニングメニューを紹介します6)。1日5分、始めてみませんか? 心地よく疲れる程度に行うのがポイントです。
ハーフスクワット6)
両足を肩幅に開いて立ち、ゆっくりと膝を曲げ伸ばしします。曲げるときは膝が直角になるまで、伸ばすときは伸ばしきらないようにします。
アームレッグクロスレイズ6)
四つ這いになり、左右反対の腕と脚を持ち上げます。手足が床につかないように下ろしたり上げたりを繰り返します。
ニートゥチェスト6)
床に座り、両脚を浮かせた状態で膝を曲げ伸ばします。
足上げ6)
仰向けになり、かかとを床につけずにゆっくりと上げ下げします。横向きでも同様に行います。
プッシュアップ6)
四つ這いになり、ゆっくり腕立て伏せをします。最後は肘を伸ばしきらないようにしましょう。両手の間隔を、肩幅や肩幅の2倍など、適宜変えて行うのもおすすめです。
ブリッジ6)
仰向けに寝て膝を立て、お尻を上げ下げします。意識的に腰に力を入れ、お尻が床につかないようにします。
もも上げ・つま先立ち6)
まっすぐに立ち、足が床につかないよう片膝を大きく上げ下げします。次に、かかとを床につけないように上げ下げします。バランスが心配であれば、椅子につかまりながら行います。
ウォーキングなどの有酸素運動も行いましょう。2日に1回、1日30〜60分が目安です。軽く息が弾むくらいの強度で、10分×3回、15分×2回など、10分以上を複数回に分けてもOKです。1週間で150分を目安に継続しましょう。