【1日40分?】
高齢者向け
運動不足の解消法!
運動目安やリスクとは
高齢者の運動不足が続く場合、健康リスクが高まります。ここでは高齢者の1日の運動目安や今すぐに出来る運動や座りながらできる運動を解説。また高齢の家族がいる家庭の方が行っている工夫や体験談などをご紹介。
運動不足を解消し、健康を維持しましょう。
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高齢者の1日の運動目安は?
健診などで異常がない健康な65歳以上の方なら、毎日40分間、からだを動かすことが奨められています1)。からだを動かすといってもハードな運動をする必要はありません。運動不足気味だなと感じる方は、じっと座っている時間を減らすなど、今より少しでも多くからだを動かすことを心がけることが大切です。
からだを動かすことに慣れてきたら、次は運動習慣を持てるようにすることを目指しましょう。その場合は、30分以上の運動を週に2日以上が目安です。ただし、健診で指導を受けたり、すでに医療機関を受診したりしている場合は、事前に医師などの専門家に相談してください1)。
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高齢者向け
運動不足の解消法とは
「運動」と構えず毎日をアクティブに過ごすと捉え、まずはいつもより10分多くからだを動かすことを意識するのがポイントです2)。家の近くに運動する場所がないという方も、実は体を動かすところは身の回りにたくさんあります。いつもの家事をキビキビとやるだけでも、活動量はアップします2)。
また、日常のお出かけも運動不足の解消にはもってこいです。ウォーキングなどのイベント、ボランティアやサークル活動などの地域活動、ウインドウショッピングを楽しみながらの散歩など、楽しみながら取り組めるものがあるといいですね3)。
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座りながらできる
おすすめの運動4選4)
足首の曲げ伸ばし
両足を伸ばして床に座り、両手は床につきます。つま先を前に伸ばしたり自分の方に向けたりを繰り返します。
腰ひねり
床に座り、片方の足を前に伸ばします。もう片方の足はひざを立て、伸ばした足のひざの外側におきます。立てたひざを反対側の腕で抱えながら、上体をひねります。
内もも伸ばし
床に座り、足を開いてひざを曲げ、足の裏を合わせます。両手で足首を押さえながら上体をかがめ、胸を足首に近づけます。
お尻歩き
床に足を伸ばして座ります。両腕を前後に振りながら、左右のお尻を動かして歩くように前に進みます。
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室外でできる
おすすめの運動2選4)
ウォーキング
背筋を伸ばし、かかとから着地、つま先をけって進むことを意識しながら、いつもより歩幅を広げて歩きます。一日の歩数の目安は男性で6,700歩、女性で5,900歩です3)。
玄関の手すりを使った肩まわりや股関節のストレッチ
玄関の手すりをつかみ、いろいろな方向に引っ張ることで、肩回りをストレッチします。また、足を前後に大きく開き、股関節まわりを伸ばします。
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室内でできる
おすすめの運動2選4)
出入り口を使った胸そらし・背中伸ばし
出入り口の柱を使い、上半身を気持ちいいように伸ばします。
トイレでスクワット
トイレから出る前に、手を太ももに置き、立ったり座ったりを5~10回繰り返します。
高齢者家族をもつ人の体験談
毎朝近所の公園で、高齢者を中心とした幅広い年代層が集まりラジオ体操をしています。早起きの母にはもってこいだと思い、一緒に参加しています。ラジオ体操で体を動かすことで、朝ごはんを気持ちよく食べられるようになったように感じます。集まった人たちと挨拶や会話を交わしたり、マッサージをし合ったりすることで仲間意識も生まれ、気持ちの面でもプラスに作用しているようです。
(80代の母と同居中の50代娘)
自分のペースで気軽にできる運動として、水泳をしています。水泳を始めてからはいきいきとした様子で、時間があればプールへ行っているようです。最近はプールで知り合った仲間と別の運動を始めていて、良い循環になっていると感じます。
(1人暮らしの70歳代の母を持つ40代娘)
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運動不足が続くとどうなる?
からだへの影響は?
たかが運動不足と思うかもしれませんが、運動不足が続くと健康に大きな影響を及ぼします。2007年に日本人成人を対象に死亡リスクを調べた研究では、運動不足が喫煙や高血圧に次いで死亡のリスク要因であることがわかりました(図1)5)。
フレイルに注意
運動不足になると、あまり食欲がわかないために食事量が減ってしまい、慢性的な低栄養になってしまう可能性があります。からだを動かす習慣がなく、さらにからだを作るために必要な栄養素が十分でないと、筋肉量が減ってしまい、からだの機能が低下したサルコペニアになってしまうでしょう。するとますますからだを動かすことがおっくうになり、フレイル(加齢で心身が弱った状態)に至って、要介護になるリスクが高まります6)。
>低栄養状態とは?
>フレイルとは?
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運動不足になってしまう原因とは?
高齢者が運動不足になってしまう原因として、社会的関わりが少なくなり、家で過ごす時間が多くなることが要因として挙げられます3)。現役を退くと社会的な役割が減り、生きる目標が見えにくくなってしまうのかもしれません。地域の活動に積極的に参加するなど、生きがいを持って取り組めることを見いだせるとよいでしょう。