流動食とはなにか。作り方の秘訣について。
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流動食とは食形態の一つで、噛まなくても食べられる消化の良い食事です。調理の際に使えるノウハウを紹介しております。手間も時間もかかる流動食づくり、長続きの秘訣は頑張りすぎない事なのかもしれません。
流動食とは。どのような定義なのか?
流動食と聞くとどのようなイメージを持たれますでしょうか。誰しもがカラダの状態、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力、消化・吸収できるかにより、適した栄養量・食形態などを選択した経験があると思います。
「流動食」とは食形態の一つで、一般的に残渣(ざんさ)が少なく、噛まなくても食べられる、流動態の消化の良い食事のことを言います。12。
医療・介護施設などで採用されている流動食・種類は?
上記施設の提供方法の一つとして、重湯から、分がゆ、全がゆ、常食(普通の食事)へと食形態をステップアップするやり方があります。この最初に提供される重湯、野菜スープなどの液体状の食事が「普通流動食」などと呼ばれています3。ただし、このとき提供される流動食は、水分は補給できますが栄養補給としては不十分なため、できるだけ早く普通の食事を摂れるようにすることを目指します23。
食事だけでは必要な栄養が摂取できない場合に、栄養に配慮した「濃厚流動食」などの流動食が使用されることがあります12。濃厚流動食を口から摂取することが難しい場合は、胃ろう、腸ろうなどチューブにより提供されることもあります1。
流動食を家庭で用意する方法 ~主食の作り方~
ここでは、ご家庭で流動食を作る方法をご紹介します。
主食は重湯やペースト状の米がゆ、パンがゆなどを用意します。重湯はおかゆを炊いた時の上澄み液です。ペースト状の米がゆは、舌でつぶせるくらいのやわらかさのおかゆをミキサーに入れ、お湯を加えてなめらかにかきまぜます。ペースト状のパンがゆは、食パンを牛乳でさっと煮たものをミキサーでなめらかにします4。ポイントは、ミキサーにかける前におかゆや食パンにしっかりと水分を吸わせること。調理後にだんだんとかたくなってしまうのを防ぎます。水分が多い場合は、とろみ調整食品で食べやすく仕上げます5。
流動食~おかずの作り方~
焼き魚や煮魚、肉料理、揚げ物、煮物など、普段の食事をミキサーにかけ、なめらかで食べやすい状態にします。主食と同様に、水分が多いものはとろみ調整食品でとろみを加えます。ミキサーを使うときにはいくつかポイントがあります5。
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具材別にミキサーにかける
何でも一緒くたに混ぜてしまっては食欲が失せてしまうものもあります。例えば、オムライスならチキンライスとスクランブルエッグを別々に、酢豚なら豚肉、にんじん、たけのこなど具材別にミキサーにかけます。見た目もいいですし、味もはっきりするでしょう。 -
加える水分は、煮汁や調味料を使う
ミキサーでなめらかにするためには水分を加える必要がありますが、湯やだし汁を加えると味が薄くなってしまいます。これでは、味を感じにくくなりやすい高齢者の食欲が落ちてしまいかねません。例えば、牛丼なら煮汁を、寿司なら寿司酢を、チャーハンならコンソメスープを加えるといいでしょう。 -
葉野菜は避ける
レタスやサニーレタスなどの葉野菜はミキサーにかけてしばらくするとえぐみが出てくるため、あまりおすすめできません。ただ、きゅうりの酢の物やなすの浅漬けなど、ミキサーにかけてもおいしくいただける生野菜もあります。
栄養アップのヒント
流動食づくりにミキサーは欠かせませんが、料理に水分を加えて撹拌するため、かさが増えてしまいます。よって、必要な栄養を必要量摂るにはたくさん食べなければなりませんが、嚥下機能の低下した方には難しいです5。そこで、栄養アップの工夫を加えましょう。
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高タンパク・高カロリーの食材をチョイス
タンパク質とエネルギーが不足すると低栄養を招きやすくなるので、十分に摂取することが大切です。タンパク質は、ペースト状にした白身魚や豆腐、ゼラチンなどで補えます。エネルギーは、例えばバターやマヨネーズ、生クリームやクリームチーズなど脂質の多い食品を少量加えます4。 -
朝食、昼食にタンパク質をプラス
高齢者の食事は、朝食にごはんとみそ汁だけ、昼食はそばだけといったように粗食になりがちです。低栄養を防ぐには、夜だけしっかりと食べればよいのではなく、3食必ずタンパク質を摂ることが大切です。ゆで卵、牛乳、ヨーグルト、魚の缶詰や練り製品など、手軽に食べられる食材を上手に利用しましょう4。 -
おやつを栄養補給のチャンスに
1日3回の食事に加え、10時や3時のおやつの時間を利用して栄養を摂りましょう。甘いおやつの代わりに、高タンパク・高カロリーの食材をチョイスします。例えば、ヨーグルトやチーズ、牛乳、カステラなどが手軽でおすすめです4。
献立に困ったときは、市販品に頼ることも
流動食には、ご家庭でご購入できる商品もあります。食事の代わりに、不足しがちな栄養素が含まれたものや、腎不全や肝不全、糖尿病、床ずれ(褥瘡)など病態に合わせて栄養が調整されたものなど、さまざまな種類の製品が数多く販売されています36。
手間も時間もかかる流動食作り。長続きの秘訣は頑張りすぎないこと。作るという選択肢だけではなく、たまには、栄養補助食品に頼り気長に構える事も大事かと思います。何を選んでいいか分からない場合は、栄養士等に相談をしてみましょう。
※流動食や栄養補助食品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
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