栄養補助食品とは?
ケース別の活用法と
栄養機能食品との違い
栄養補助食品とは、1日に必要な栄養素を食事だけでは補うことが難しい場合に、その栄養素を補助することを目的とした食品です。不足しがちなビタミンやミネラル、タンパク質などを、栄養補助食品を摂取することで補います。種類や栄養補助食品の活用法をご紹介します。
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栄養補助食品とは
「栄養補助食品」とは、食事のみでは必要量を摂取することが難しい栄養素を補うことを目的とした食品です。特に法律などによって制度化されたり定義されたりしている用語ではありません1)。「サプリメント」などと同様に、「いわゆる健康食品」の呼ばれ方の一つです1)。
1日に必要な栄養をきちんと食事から摂れている方にとっては、栄養補助食品は必要ありませんが、普段の食事では栄養不足が続く場合は、栄養補助食品を利用するとよいでしょう。高齢者は、咀嚼能力が衰えたり、食が細くなったり、さまざまな理由で栄養が不足することがあるので、栄養士などの専門家に相談の上、高齢者向けの栄養補助食品(介護食品)を取り入れることもおすすめです2)3)。
栄養補助食品の種類
液体に溶かして一緒に飲んだりする粉末状、錠剤やカプセル(サプリメント)、ゼリー、飲料、お菓子などのさまざまな種類の栄養補助食品が市販されています1)。
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栄養機能食品と
栄養補助食品の違いは?
「食品」は、身体構造や機能に影響を与える効能効果を表示することは法律上認められていません1)3)4)5)。したがって、栄養補助食品などの「いわゆる健康食品」はその機能性を表示できません。しかし、健康食品のうち「保健機能食品」とよばれる「特定保健用食品(トクホ)」、「機能性表示食品」そして「栄養機能食品」の3種類は、例外的に特定の保健機能や栄養機能を表示することが認められています1)3)4)。「栄養機能食品」は「栄養補助食品」とよく似た名称ですが、この保健機能食品の一つなので、機能性を表示できる点が大きな違いです1)3)4)5)。
保健機能食品は、国が定めた安全性や有効性の基準に従ってその機能性が表示されていますが、栄養補助食品は機能性を表示することができません3)5)。そのため、栄養補助食品を選ぶ際には、製品の品質を確認できる個別成分の含有量などの情報や問い合わせ先の情報が表示されているか確認しましょう4)。
健康食品 | 医薬品 | ||||
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「いわゆる 健康食品」 |
保健機能食品 | ||||
栄養補助食品 | 栄養機能食品 | 特定保健用食品 | 機能性表示食品 | 医薬品 | |
許認可 | なし | 自己認証国への届出なし | 国が個別に審査し消費者庁長官が許可 | 自己認証販売前に国(消費者庁長官)へ届出が必要 | 厚生労働大臣が承認 |
定義 | 栄養成分を補給する食品 | 1日に必要な栄養成分の不足を補給するために利用できる食品 | 国が機能や安全性を個別に審査を行い、食品ごとに消費者庁が許可した、科学的根拠に基づいた機能を表示した食品 | 事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品 | 日本薬局方に収められ、人や動物の疾病の診断、治療や予防に用いられるもの、身体機能や構造に影響を及ぼすもの |
特徴 | 国が定義や制度化している食品ではない。 保健機能食品のような機能性を表示できない。 |
科学的根拠が確認されている成分を一定の基準量含んでいる食品。ビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類が栄養機能食品として表示可能。 例:カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素ですマークなし |
疾病リスクの低減に資することを含む、「健康の増進や維持に役立つ」ことや、ある条件を持つ人に「適する」こと(血圧が高めなど)を表示。 例:コレステロールの吸収を抑える 許可マークが表示 |
疾病リスクの低減に関わることを除く、「健康の増進や維持に役立つ」ことや、ある条件を持つ人に「適する」こと(血圧が高めなど)を表示。栄養成分は対象外。 例:この商品には機能性関与成分○○が含まれます。○○には△△の機能があることが報告されていますマークなし |
製品の品質、安全性や効果の確保、専門家の指導・管理による利用といった制度が確立されている。 |
栄養機能食品
栄養機能食品とは、科学的に効果が認められている栄養成分を一定の基準量含む食品です3)4)9)。商品に含有する栄養成分量について、その栄養成分の1日当たりの摂取目安量と栄養素等表示基準値に占める割合、栄養成分の機能、注意喚起事項が表示されていることが特徴です9)。事業者の自己認証により、国が定めた栄養機能を表示できることが、栄養補助食品と異なる点です1)3)5)6)9)。
特定保健用食品
特定保健用食品とは、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品で、栄養補助食品と異なり、食品ごとに国がその有効性と安全性を個別に審査し、消費者庁長官が許可します。また、特定保健用食品は、健康の増進・維持といった保健目的と専用のマークを表示できることも栄養補助食品と異なる点です1)6)10)。
機能性表示食品
機能性表示食品とは、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です4)。機能性や安全性に関しての科学的根拠を消費者庁長官へ販売前に届出が必要で3)4)11)、この点が栄養補助食品との違いの一つです1)。また、制度として摂取対象を限定しない栄養補助食品と異なり1)、機能性表示食品は、未成年や妊娠中などの人を含まない健康な成人のみが対象です11)。さらに、機能性表示食品は、生鮮食品を含むすべての食品が対象となりますが11)、栄養成分は機能性表示食品制度の対象外となっています6)。
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【ケース別】
栄養補助食品の活用例
毎日バランスよく食事ができていれば、栄養不足を心配することはないでしょう4)。1日に摂る食事量の目安は、農林水産省の「食事バランスガイド」12)などが参考になります4)。しかし、毎日の食事が十分にとれない場合には、上手に栄養補助食品を利用することも選択肢の一つです。ただし、栄養補助食品に頼りすぎて偏食にならないように気をつけましょう。
食欲不振、食事を抜くことによる
エネルギー不足
1日に必要な栄養素を3食にバランスよく配分して摂ることが理想ですが、忙しい毎日では、朝食を抜いてしまったり、昼食をとる時間がなかったりすることもあるかもしれません。そんなときには、エネルギーと栄養素を補給する栄養補助食品を活用するとよいでしょう。素早く摂取できる少量でビタミン・ミネラルを強化した飲料水タイプやゼリータイプがおすすめです。
また、食欲がないときや、高齢などで飲み込む力が衰えた人のエネルギー不足(低栄養)には、ゼリー状のものが食べやすいでしょう13)。少量で高カロリーのゼリータイプの栄養補助食品はおすすめです。
少食や偏食で不足しがちな栄養を補う
やわらかく食べやすいものばかりを摂っていると、栄養が偏ることもあります2)。特にタンパク質が不足し、カルシウムや、鉄などのミネラル類やビタミン類、そして食物繊維も不足する傾向にあります2)。そんなときは、カロリーや栄養素を補う栄養補助食品を間食や補食として上手に利用してみてください2)。飲み込みづらい方には、ゼリー状のものがおすすめです13)。
野菜は、1日350g以上の摂取が目標ですが、毎日十分な野菜を食べるのは難しい方もいることでしょう14)。野菜に多く含まれる食物繊維15)の不足には、食事や飲料水に混ぜて手軽に摂取できる粉末タイプなどが便利です。
スポーツや運動後の水分・栄養補給
トレーニング時には炭水化物と電解質を含む飲料を摂るとパフォーマンスがアップしやすいといわれています16)。同時に摂取できる飲料やゼリー飲料タイプの栄養補助食品がおすすめです。また、筋肉疲労にはタンパク質、糖質、ビタミンB群の補給をしましょう15)。
間食や隙間時間に栄養を補う
高齢者は栄養不足に陥りやすいので、栄養補助食品を間食や補食で活用するとよいでしょう2)。高齢者に不足しがちなタンパク質やカルシウム、ミネラル類やビタミン類、食物繊維2)を豊富に含む、少量で高カロリーの食べやすいゼリータイプの栄養補助食品がおすすめです。
非常食にも
高カロリー高栄養の栄養補助食品は、調理せずに食べられる食品として非常食にも適しています。賞味期限の長いものを選んで、好みの味のものを備蓄しましょう17)。
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バランスのよい食事と一緒に
栄養補助食品を
バランスのよい食事とは、主食、主菜、副菜をまんべんなくとる食事です3)12)。生きるために不可欠な、炭水化物、脂質、タンパク質、ミネラル(無機質)、ビタミンからなる5大栄養素が不足しないように摂取することも重要です。とはいえ、十分に食べることが難しい場合や忙しい毎日で、栄養が不足してしまうこともあるでしょう。そんなときには、手軽に摂れる栄養補助食品を上手に取り入れてみませんか?
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