【高齢者向け】
筋肉をつける食事とは?
おすすめレシピと
筋肉をつける方法
高齢者が筋肉量を増やすためには運動だけではなく食事の内容や量も重要です。たんぱく質は1食あたり20g摂取することを意識しましょう。ここでは筋肉をつける食材や食品、おすすめレシピや筋肉をつける方法をご紹介します。
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高齢者向け
筋肉をつけるための食事例
高齢者が筋肉をつけるためには、運動に加えて、栄養の摂取、特にたんぱく質を摂取することが重要です。たんぱく質はアミノ酸に分解されて、筋肉をつくる働きをします。運動は、筋肉量と筋力を改善する効果がありますが、空腹時など、体内のアミノ酸が不足した状態で運動をすると、筋肉をつくる量よりも分解する量のほうが多くなってしまい、筋肉がやせてしまいます。一方で、たんぱく質の摂取を組み合わせると、運動のみを行うよりも、筋肉量と筋力が増加します1)2)。
高齢者では、筋肉をつくるために必要なたんぱく質が、非高齢者に比べて多いことが報告されており、十分な量のたんぱく質を摂ることが大切です。高齢者のたんぱく質の摂取推奨量は、男性60g/日、女性50g/日と設定されているので、1食あたりのたんぱく質摂取の目安は20g程度です。
たんぱく質は、肉や魚、豆、卵、乳製品に豊富に含まれ、特に魚や肉に多く含まれています3)。20種類のアミノ酸から構成され、その構成は食品ごとに異なるので、さまざまな食品を組み合わせてバランス良く食べることが大切です2)4)。
食品名 | 1食の目安量 | エネルギー (kcal) |
たんぱく質 (g) |
---|---|---|---|
あじ(生) | 中1尾(120g) | 134 | 23.6 |
さけ(生) | 1切れ(80g) | 150 | 15.7 |
あさり水煮缶 | 10粒(40g) | 41 | 8.1 |
牛もも肉(生) | 100g | 212 | 20.2 |
鶏ささ身(生) | 1本(40g) | 39 | 9.6 |
鶏むね肉(皮なし・生) | 100g | 105 | 23.3 |
豚もも肉(生) | 100g | 138 | 21.5 |
鶏レバー(生) | 60g | 60 | 11.3 |
卵(生) | Mサイズ1個(50g) | 71 | 6.1 |
煮豆(ゆで大豆) | 30g | 49 | 4.4 |
木綿豆腐 | 1/3丁(100g) | 73 | 7.0 |
納豆 | 1パック(45g) | 86 | 7.4 |
豆乳 | コップ1杯(200ml) | 88 | 7.2 |
牛乳 | コップ1杯(200ml) | 122 | 6.6 |
ヨーグルト | 1カップ(80g) | 45 | 2.9 |
筋肉づくりに必要な
栄養素と食品一覧
すべてのアミノ酸に筋肉をつくる働きがあるわけでなく、必須アミノ酸がたんぱく質の材料となり、筋肉をつくる反応を活性化させる作用があります2)。必須アミノ酸とはからだの中でつくりだすことができない9種類(ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン)のアミノ酸のことです4)。なかでも、ロイシン、イソロイシン、バリンは分岐アミノ酸(BCAA)と呼ばれ、筋肉のたんぱく質中の必須アミノ酸の約35%を占めます4)。特に、ロイシンは筋肉のたんぱく質の合成を促進する働きを持っており、筋肉をつくる上で重要な栄養素と考えられています2)4)。
ロイシンは、さまざまな食品に含まれていますが、特に、肉類や乳製品、魚卵、魚類、豆類、卵に多く含まれます3)。
高齢者はプロテインを
飲んでも大丈夫?
食事からたんぱく質を十分に摂れない場合は、手軽に効率よくたんぱく質を摂取できるサプリメントやプロテインを利用するという方法もあります。
腎機能の低下した高齢の方は、摂取するたんぱく質の量を制限する必要がある場合がありますので、医師に相談の上、プロテインやサプリメントを摂取するようにしましょう2)。
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高齢者向けの
高たんぱく質な
おすすめレシピ
1品でエネルギー・たんぱく質・
脂質がバランス良く摂れる!
「長いもソースの
チキンドリア」
- 材料(2人分)
-
- 長いも(直径5cm×10cm)
- 150g
-
- 牛乳
- 150ml
-
- 味噌
- 大さじ1
-
- 鶏肉
- 150g
-
- 酒
- 小さじ2
-
- 長ねぎ(1本)
- 100g
-
- サラダ油
- 小さじ2
-
- めんつゆ(3倍濃縮)
- 小さじ1
-
- ご飯
- 250g
-
- ピザ用チーズ
- 40g
-
- 刻み青ねぎ
- 適量
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 542kcal
-
- たんぱく質
- 28.4g
-
- 塩分
- 2.2g
-
-
- エネルギー
- 20%
- たんぱく質
- 26%
- 脂質
- 54%
- 作り方
-
- 長いもソースを作る。長いもをすりおろしてボウルに入れ、牛乳で溶いた味噌を加えて、全体を混ぜる。
- 鶏肉は、2cm角に切って酒小さじ2を振り5分置く。長ねぎは斜め薄切りにする。
- フライパンにサラダ油を熱し、2を入れ、火が通るまで炒めたら、めんつゆを加え、香ばしい香りがしたら火を止める。
- 3にご飯を加え、全体を混ぜたら、長いもソースを加えてさらに混ぜる。
- グラタン皿に4を盛り付け、ピザ用チーズをのせて、オーブントースターでこんがりと焦げ目がつくまで加熱する。仕上げに刻み青ネギを散らす。
ワンポイントメモ
- ホワイトソースの代わりに、長いもを使った手軽にできる和風のグラタンです。
- 和の調味料で、高齢の方にもなじみやすく、いつものグラタンよりあっさりと仕上がります。
- 乳製品を使うことで、しっかりとエネルギーやたんぱく質をアップしています。
- ねぎをたっぷり入れて炒めることで風味が増します。
- 噛む力の弱い方には、鶏肉をひき肉に、長ねぎはみじん切りにすると食べやすくなります。
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高齢者の
たんぱく質の摂り方とは
高齢者は、若者や高齢ではない成人に比べると、たんぱく質から筋肉をつくる働きが弱まっている場合があることなどから、同じ量の筋肉をつけるには、より多くのたんぱく質を必要とします2)5)。効果的にしっかりとたんぱく質を摂るようにしましょう。
毎食たんぱく質摂取を意識して
バランス良く食べる
高齢者の食生活では、朝昼晩の3食にできるだけたんぱく質が含まれるよう主食、主菜、副菜を組み合わせて食べることを意識するといいでしょう6)。また、エネルギーが不足すると筋肉量が減ってしまうため、筋肉を維持するにたんぱく質だけでなくエネルギー源の摂取も大切です5)。いろいろな食品を組み合わせて、バランス良く食べましょう6)。
運動直後に
たんぱく質を摂取することを推奨
若者と高齢者を対象とした試験で、運動終了直後にたんぱく質を摂取した場合、食事から得られたたんぱく質が筋肉へ運ばれる量と取り込まれる量が上昇することが報告されています7)。運動後はなるべく早くたんぱく質を摂取するのがおすすめです7)。
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高齢者が筋肉をつける方法
高齢者には、週3回、1日30分以上の運動がすすめられています1)。また、1日5分間日替わりのトレーニングで筋力アップを図るのもおすすめです8)。前日や前々日とは違う種類のトレーニングを、1日に2~3種類行います。動作はゆっくりと行い、1往復で10秒が目安です。心地よい疲労感が残る程度の回数を行いましょう8)。トレーニングの種類としては、ハーフスクワットや足上げ、もも上げなどがおすすめです8)。
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