低栄養とは?低栄養の定義や原因は?
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低栄養となってしまう高齢者が増加傾向にあります。ここでは低栄養の定義、原因、症状、対策などについて説明。ご家族の低栄養に気づくにはどんな症状に気をつければよいのか、低栄養と診断されてしまったらどうしたらいいのか、などの疑問にお答えしています。
低栄養とは?
「低栄養」とは栄養障害の一つで、カラダを維持するために必要な栄養素が欠乏している状態です。食欲が低下してゆっくりと進むこともあれば、短期間で低栄養の状態になってしまうこともあります1。
高齢者が低栄養になる原因は?
低栄養となる原因の一つとして、食事量が減り栄養が十分に摂取できていないことがあります2。高齢になると消化や吸収の機能が低下し、噛む力や飲み込む力も弱まります。味やにおいを感じにくくなることもあり、食欲が落ちやすくなります。また、一人暮らしなどの理由で栄養バランスのとれた食事が用意できない、やわらかくて食べやすいものばかりを選んでしまい栄養が偏りがちになるなど、複数の要因により、低栄養になる高齢者が増加する傾向にあります134。
高齢者が低栄養になるとどんな状態になるの?特徴的な症状は?
低栄養になると、筋肉量が減少し筋力が低下する「サルコペニア」と呼ばれる状態になりやすくなります。サルコペニアになると、転んで骨折したりするなど、リスクが高まることが知られています5。栄養が不足した体内では、カラダを維持するために、まず肝臓や骨格筋に蓄えていた糖質が使われます。しかし、その蓄えは1日分ほどしかないため、すぐに脂質やタンパク質が使われていき、筋肉量が減っていきます。さらにすすむと、内臓のタンパク質が消費されるため内臓の機能が下がります。筋力低下で噛む力も弱くなり、誤嚥を起こしやすくなります。また、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなるほか、床ずれ(褥瘡)なども治りにくくなることがあります13。
このように、高齢者の低栄養はリスクが高いため、そうなる前から、栄養を十分に摂れているか気を配ることが重要です13。
高齢者が低栄養と診断されたらどうしたらよい?
低栄養と診断された場合は、できる限り早く栄養療法を開始する必要があります。口から食事を摂れている方であれば、食事摂取量を増やすことや、栄養食などの補食がすすめられます。噛む力や飲み込む力の衰えにより口からの食事で栄養が摂れていない場合は、経管栄養が考慮されます3。
栄養を追加で摂るだけでなく、口からものを食べられるよう噛む力や飲み込む力を保つ訓練を行って、低栄養への対策をすることも重要です4。また高齢者では、特にサルコペニアの対策に気を配る必要があるため、栄養療法に加えて運動療法も行うことがすすめられています。タンパク質を十分に摂りながら運動を習慣づけることが、筋肉量を保つために重要です35。
低栄養になる前に対策をすることが大切
大切なのは、低栄養になる前の対策です。日頃から食事の頻度を減らさず、栄養バランスの良い食事を摂ることや、食事から十分に栄養を摂れない状態になっていないか気をつけ、変化に気づいたときには早めにかかりつけの栄養士等に相談するようにしましょう2。
変化に気づくために、体重などを定期的に測って記録するのもおすすめです。ただし高齢者の場合、腎臓の機能が弱ることでからだの水分が増え、むくみ(浮腫)が出ることがあるので注意しましょう。むくみがあると体重が増えるため、低栄養を見過ごしがちです24。単に脂肪がついている場合と異なり、むくみの場合は10秒以上強く指で押すと凹みができるので、目安にするとよいでしょう4。
※栄養補助食品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
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中村正史、そもそも「低栄養」ってどういう状態なの?. Nutrition Care 12(6)514-515(2019) ↩︎
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小林明子、低栄養状態はどのように予防するの?. Nutrition Care 12(6)536-538 (2019) ↩︎
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日本静脈経腸栄養学会、静脈経腸栄養ガイドライン第3版. 照林社.(2013) ↩︎
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平成27-29年度厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「介護保険施設における利用者の口腔・栄養管理の充実に関する調査研究」研究班編、要介護高齢者の口腔・栄養管理のガイドライン2017(2017) ↩︎
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サルコペニア診療ガイドライン作成委員会編、サルコペニア診療ガイドライン2017年版(2017) ↩︎
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