【減塩食を続けるコツとは?】
適正な食塩量と
実践的な減塩方法
高血圧などの生活習慣病の予防や対策として、減塩食を取り入れることがあります。減塩は、食塩の多い食品を控えたり、減塩のしょうゆや味噌を使って食材の本来の味を楽しんだりするなど、小さなことから始められます。ここでは、減塩食を無理なく続けられるコツなどをご紹介します。
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今日から習慣化!
減塩を続けるコツ
血圧が高めなどの理由で、医師や栄養士・保健師などから減塩を指導されることがあるかもしれません。今までは好きなものを自由に食べていた方が、急に塩分が極端に少ない薄味の食事に変えると、おいしくないと感じてしまって食欲が低下し、エネルギーや栄養素を十分に摂取できないといったことも起こりがちです。毎日の食事にちょっとした工夫を取り入れて、栄養バランスを保ちながら減塩に取り組むことが大切です。
適切な食塩量
2020年の厚生労働省の食事摂取基準では、食塩摂取を1日6g未満に抑えるのが望ましいとされています1)。しかし、日本人の1日の食塩摂取量の平均値は男性11.0g、女性9.3gと2)、6g未満への減塩の目標はたやすくありません。1日3食とした場合「1食につき摂取できる食塩量は2gまで」と考えるとなかなか難しいように感じますが、1日の合計が6gになればよいと捉えれば、工夫しだいで好きなメニューを食べることもできます。
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減塩食を取り入れるときの
ポイント
減塩を上手に続けるためには、「食材・食品を選ぶ」「調理する」「食べる」といったステップに分けて、それぞれの減塩ポイントを少しずつクリアしていき、徐々に習慣にしていくことが大切です。
「食材を選ぶとき」に
減塩を意識するポイント
新鮮な食材を選び、その食材の味を生かすために調味料を最小限に使用することが基本です。外食や弁当の場合は、表示で食塩量を確認してから選ぶ習慣をつけましょう。
食材を購入するときの工夫
- ウインナー・ハム・ちくわ・かまぼこなど加工食品は少量でも食塩量が多いため、食べる量や頻度を控える。
- ドレッシングは、ノンオイルタイプのほうがそうでないタイプよりも食塩量が多い傾向があるため、事前に表示をよく確認する。
- 漬物・佃煮・珍味などを常備菜としてストックしないようにする。
外食のときの工夫
- ごはんかパンを選べるセットメニューの場合は、パンには多くの塩分を含むものもあるため、ごはんを選ぶ。
「調理するとき」に
減塩を意識するポイント
減塩食を調理するときは、酸味やだしの風味、薬味の香り、スパイスの辛味などをうまく利用して、薄味をカバーするのがポイントです。
調理方法や献立の工夫
- 汁物は、具沢山にして汁の量を少なくする。
- 「煮込み」よりも「照り焼き」のような、食材の周りに味をつける調理方法を選ぶと使用する調味料が少なくてすむ。
- カットわかめなど水でもどして使う食材は、しっかりもどして塩抜きする。
- 食材は、小さく切ると食塩を含んだ汁気を吸いやすくなるため、大きくカットする。
- 1食分すべて減塩にするのではなく、1品はしっかりと味をつけ、全体的にぼやけた味にならないようにする。
味付けの工夫
- 減塩しょうゆや減塩味噌を使用する場合は、減塩食材だからと使いすぎてしまう傾向があるため、きちんと計量して使う。
- だしをしっかり効かせるようにする。
- 酢、レモンなどの酸味は塩味を際立たせるため、上手に利用する。
- カレー粉や七味、コショウなどのスパイスを使って、味にメリハリを加える。
- ねぎ、にんにく、しそなどの薬味を効かせる。
- 加工品を食材として調理に使う場合は、調味料の使用を控えめにする。
「食べるとき」に
減塩を意識するポイント
食べるときに、減塩の観点で一番気をつけたいのは麺類です。例えば、カップラーメンをスープまで飲み干した場合の食塩量は1食あたり平均5.5gといわれています3)。目標は1日6g未満ですから、カップラーメンだけでほぼ1日分の食塩を摂取してしまうことになります。中華そばやうどん、味噌汁やスープも同様に食塩量が多いため、注意が必要です。
食塩量が多いものを食べるときは、「残す」ことを意識すると減塩ができます。また、調味料のつけ方や選び方を変えることも重要です。
麺類を食べるときの工夫
- ラーメンやうどん、そばは、スープやつゆを残す。麺にスープが絡んだり染み込んだりするため、スープを残した場合でも、スープに含まれる食塩の一部は摂取することになります。
- 焼きそばなど、つゆを残せず減塩できない麺料理は、食べすぎないようにする。
- つけ麺の場合は、器につゆを入れすぎない。
調味料を使うときの工夫
- しょうゆやソースは、かけるよりも、小皿などに入れて少しつけるようにする。
- 寿司にしょうゆをつける場合は、ご飯につけず、ネタにつけるようにする。
- 天ぷらの天つゆは少なめにつける。大根おろしが絡んだつゆは食塩摂取量が増えるので注意する。
- サラダは、ドレッシングをかけすぎないようする。
- レモンなどの柑橘類を積極的に使うことで、調味料の使用量を減らす。
そのほかの工夫
- タレにとろみがある炒め物は、レンゲやスプーンではなく箸で食べると、タレが皿に残りやすく減塩につながる。
- 丼物などのタレやあんがしみ込んだご飯は、残すようにする。
- 食卓に、卓上の調味料類を置かない。
- 外食の場合、全体的に食塩量が多いため、ついてくる味噌汁や漬物は残す。
- 市販の弁当についている調味料は使用しないか、半量を残す。
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カリウムはナトリウムの
排泄を促す作用を持つ!
カリウムには、食塩の成分であるナトリウムを尿として排泄する作用を促す働きがあります。日本人は食塩の摂取量が多いため、カリウムを豊富に摂取することが望ましいとされています。ただし、腎臓の機能が弱っている人など、摂取を控えたほうがよい場合もあるため、カリウムの摂取について不安や疑問があるときは医師や管理栄養士など専門家によく相談するようにしましょう1)。
カリウムを多く含む食材一覧
カリウムは、野菜、海藻類、いも類、果物などに含まれます4)5)。野菜を使った料理は毎食食べるように意識し、1日あたり小鉢で5、6杯を目標に食べることを目指しましょう5)。生のままで食べるよりも加熱したほうが、かさが小さくなり、たくさん食べられるようになります。また、果物は、1日1回食べることを心がけましょう。