ビタミンCの働き
多く含む食べ物
1日に必要な
摂取目安量とは

ビタミンCは皮膚などを構成するコラーゲンをつくるために必要な栄養素です。ここでは、ビタミンCの働きや多く含む食べ物、過剰摂取や不足した時の状態、ビタミンCを摂取するタイミングなどをご紹介します。

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ビタミンCとは?
ビタミンCの主な役割と働き

ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれる水溶性ビタミンの一種です1)。水溶性ビタミンとは、水に溶ける性質を持つビタミンのことで、ビタミンCのほか、ビタミンB群が該当します2)。水溶性ビタミンは血液などの体液に溶け込み、余分な量は尿として排出されるため、体内で過剰になることはまれです2)。また、ビタミンCは、からだの中でつくることができないため、食べ物や飲み物から摂取する必要があります3)

ビタミンCの抗酸化作用について

ビタミンCは、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があります1)2)。活性酸素は、細胞伝達物質や免疫機能として体内で重要な役割を担いますが、過剰になると細胞を傷害し、酸化ストレスを生じ、老化や生活習慣病、免疫機能の低下などの要因になると考えられています2)。私たちのからだには、酵素によって活性酸素の障害から生体を守る働きが備わっていますが、体内で作られる酵素の量は加齢によって減少してしまいます2)。ビタミンCなどの抗酸化物質は、酵素によって処理しきれない活性酸素の働きを抑える作用があります2)

ビタミンCと鉄分の関係

ビタミンCは、鉄の吸収を高める作用もあります。食物から摂取する鉄には、レバーや赤肉、赤身の魚に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や卵、牛乳に多く含まれる無機鉄の「非ヘム鉄」があります2)4)。ビタミンCは食事から摂取した非ヘム鉄の吸収を高めるため4)、鉄分を摂りたいときは一緒にビタミンCも摂取することが大切です2)

ビタミンCとコラーゲンの関係

ビタミンCは、皮膚や血管、腱、軟骨などの材料であるコラーゲンをつくるために必須の栄養素です1)2)。そのため、欠乏するとコラーゲンが合成できず血管がもろくなり、出血しやすくなることがあります3)。また、コラーゲン合成を通じて皮膚のバリア機能にも関与していると考えられています5)

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1日に必要な
ビタミンCの摂取量4)

ビタミンCの1日あたりの推定平均必要量や推奨量は、年齢や性別ごとに設定されています。推定平均必要量とは、半数の人が必要量を満たす量です。推奨量は、推定平均必要量の値を補助する目的で設定されており、ほとんどの方が充足している量を示します。また、推定平均量と推奨量を設定するために十分な科学的根拠が得られない場合は、目安量が設定されます。乳児の1日に必要なビタミンCの摂取量は、科学的根拠が不足しているため、目安量で示されています。なお、目安量は一定の栄養状態を維持するために十分な量であると考えられています。

妊娠中や授乳中の方は、胎児の発育に必要な量や母乳から失う量を考慮して、より多くのビタミンCを摂取することが推奨されています。そのため、非妊娠時、非授乳時のそれぞれの値に付加すべき量として、付加量が設定されています。また、たばこを吸う方は、吸わない方よりも多くのビタミンCを必要とすることが知られています。禁煙を第一に考えつつ、ビタミンCをしっかり摂取するとよいでしょう。

1日あたりのビタミンCの摂取基準4)
男性 女性
推定平均
必要量
推奨量 目安量 推定平均
必要量
推奨量 目安量
0~5月 - - 40mg - - 40mg
6~11月 - - 40mg - - 40mg
1~2歳 35mg 40mg - 35mg 40mg -
3~5歳 40mg 50mg - 40mg 50mg -
6~7歳 50mg 60mg - 50mg 60mg -
8~9歳 60mg 70mg - 60mg 70mg -
12~14歳 85mg 100mg - 85mg 100mg -
15~17歳 85mg 100mg - 85mg 100mg -
18~29歳 85mg 100mg - 85mg 100mg -
30~49歳 85mg 100mg - 85mg 100mg -
50~64歳 85mg 100mg - 85mg 100mg -
65~74歳 80mg 100mg - 80mg 100mg -
75歳以上 80mg 100mg - 80mg 100mg -
妊婦 +10mg +10mg
授乳婦 +40mg +45mg
男性
推定平均
必要量
推奨量 目安量
0~5月 - - 40mg
6~11月 - - 40mg
1~2歳 35mg 40mg -
3~5歳 40mg 50mg -
6~7歳 50mg 60mg -
8~9歳 60mg 70mg -
10~11歳 70mg 85mg -
12~14歳 85mg 100mg -
15~17歳 85mg 100mg -
18~29歳 85mg 100mg -
30~49歳 85mg 100mg -
50~64歳 85mg 100mg -
65~74歳 80mg 100mg -
75歳以上 80mg 100mg -
女性
推定平均
必要量
推奨量 目安量
0~5月 - - 40mg
6~11月 - - 40mg
1~2歳 35mg 40mg -
3~5歳 40mg 50mg -
6~7歳 50mg 60mg -
8~9歳 60mg 70mg -
10~11歳 70mg 85mg -
12~14歳 85mg 100mg -
15~17歳 85mg 100mg -
18~29歳 85mg 100mg -
30~49歳 85mg 100mg -
50~64歳 85mg 100mg -
65~74歳 80mg 100mg -
75歳以上 80mg 100mg -
妊婦 +10mg +10mg
授乳婦 +40mg +45mg

※推定平均必要量は、ビタミンCの欠乏症である壊血病を予防するにための最小量からではなく、心臓血管系の疾病予防効果及び抗酸化作用の観点から設定されています。

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ビタミンCを
多く含む食べ物

ビタミンCは、緑黄色野菜や果物などに多く含まれています2)。ただし、これらの食べ物に含まれるビタミンCの量は、保存期間や調理方法によって変化します6)。特に加熱調理でより多くのビタミンCが失われることが知られています7)。加熱調理の中では、ゆでるよりも蒸したり電子レンジで調理したりするほうが、ビタミンCが食品中に比較的残りやすいとされています7)。効率的にビタミンCを摂取するためには、調理方法を工夫するとよいでしょう。

ビタミンCを多く含む野菜8)

ビタミンCを多く含む野菜には、ピーマン(パプリカ)、ブロッコリー、カリフラワーなどがあります。

ビタミンCを多く含む野菜8)
食品 ビタミンC含有量mg
(可食部100gあたり)
赤ピーマン(生) 170
黄ピーマン(生) 150
オレンジピーマン(生) 150
ブロッコリー(生) 140
カリフラワー(生) 81
にがうり(生) 76
青ピーマン(生) 76
レッドキャベツ(生) 68
ルッコラ(生) 66
モロヘイヤ(生) 65
ブロッコリースプラウト(生) 64
さやえんどう(生) 60
ほうれんそう(冬摂り)(生) 60
ししとう(生) 57

※ほうれんそうは収穫時期によりビタミンC含有量が大きく異なり、夏摂りの場合は20mg、通年の平均値は35mgになります。

ビタミンCを多く含む果物8)

ビタミンCを多く含む果物には、アセロラ、グァバ、ゆず、キウイフルーツなどがあります。

ビタミンCを多く含む果物8)
食品 ビタミンC含有量mg
(可食部100gあたり)
アセロラ(酸味種、生) 1700
アセロラ(甘味種、生) 800
グァバ(白肉種、赤肉種、生) 220
ゆず(果皮、生) 160
キウイフルーツ(黄肉種、生) 140
すだち(果皮、生) 110
レモン(全果、生) 100
かき(甘がき、生) 70
マンゴー(ドライマンゴー) 69
キウイフルーツ(緑肉種、生) 69

ビタミンCを多く含む飲み物

ビタミンCは、青汁やお茶(玉露)などにも含まれています。アセロラやグレープフルーツ、オレンジなどビタミンCを含む果物のジュースから摂取するのもおすすめです8)。ただし、果物のジュースには果糖が多く含まれており、過剰摂取により中性脂肪が増加したり、肥満の原因となったりすることもあります。1日1回コップ1杯までと決めるなど、摂取しすぎないように注意しましょう。

ビタミンCを多く含む飲み物8)
食品 ビタミンC含有量mg
(可食部100gあたり)
青汁(ケール) 1100
アセロラ(10%果汁入り飲料) 120
グレープフルーツ(濃縮還元ジュース) 53
バレンシアオレンジ(濃縮還元ジュース) 42
グレープフルーツ(ストレートジュース) 38
うんしゅうみかん(濃縮還元ジュース) 30
バレンシアオレンジ(ストレートジュース) 22
玉露(浸出液) 19
グァバ(20%果汁入り飲料) 19
グレープフルーツ(50%果汁入り飲料) 19

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ビタミンCが不足・過剰摂取
したらどうなる?

ビタミンCを摂取する量によっては不足や過剰の状態となり、健康に悪い影響を及ぼすことがあります。

ビタミンCが不足すると
どうなる?4)

ビタミンCが不足すると、コラーゲンの合成ができなくなり、血管がもろくなります。その結果、出血しやすくなり、疲労や倦怠感、歯茎からの出血、貧血などにつながることがあります。

ビタミンCを過剰摂取すると
どうなる?

ビタミンCは、過剰に摂取しても健康に影響を及ぼしにくいと考えられています。そのため、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では耐容上限量は設定されていません4)。ただし、サプリメントなどからビタミンCを大量に摂取すると、吐き気や下痢、腹痛などが起こることがあるため、通常の食品以外のものから1日に1000mg以上の量を摂取することは推奨されていません3)4)

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ビタミンCの
摂り方とタイミング

ビタミンCは、1日あたり200mg程度までの摂取の場合、吸収率が90%と高いですが、1日あたり1000mg以上摂取した場合、吸収率が50%以下になることが知られています7)。そのため、1日にまとめて大量に摂取するのではなく、適切な量をこまめに摂取することが大切です。
また、加熱調理でより多くのビタミンCが失われることから、できれば生の状態で摂取するのがおすすめです。ビタミンCには水に溶ける性質もありますので、加熱する場合は、スープにしたり、ゆで汁・煮汁も摂取できる方法で調理したりするとよいでしょう。