【ビタミンとは?】
種類別の働きと目安量、
摂取する際の注意点
ビタミンは私たちのからだに欠かせない栄養素のひとつです。ビタミンは種類によって担っている働きが異なります。種類別の働きと1日に必要とされている目安量、摂取する際の注意点についてわかりやすく解説します。
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ビタミンとは?
主な種類と働きについて
ビタミンとは、私たちの生命活動を維持するために生体内で重要な働きをする有機化合物です1)。私たちのからだをつくるもとになるのは、3大栄養素である糖質・脂質・たんぱく質ですが、ビタミンは、それらの代謝を助ける“潤滑油”のような働きをします2)。ビタミンは、体内でほとんど合成されないか、合成されても微量なため、食べものから摂取する必要のある“必須栄養素”とよばれています1)3)。
ビタミンは、13種類存在することがわかっており、大きく水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分類されます2)。水溶性ビタミンはその名の通り、水に溶ける性質を持ち、脂溶性ビタミンは、脂(あぶら)に溶ける性質を持っています1)。
水溶性ビタミンとは?
水溶性ビタミンとは、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、葉酸)やビタミンCのことを指します1)。
水溶性ビタミンは、その種類によって働きや含まれている食材が異なります。
種類 | 主な働き4) | 含まれている食材 |
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ビタミンB1 | ・疲労回復 ・食欲増進 ・神経機能を正常に維持する |
胚芽(米、小麦)、ごま、落花生、のり、酵母、レバーなどの臓器、豚肉など |
ビタミンB2 | ・皮膚・髪を健康に保つ ・成長促進 ・過酸化脂質の分解 |
レバー、乳、卵、肉、魚、胚芽、アーモンド、酵母、のり、乾椎茸、果物など |
ナイアシン | ・3大栄養素の代謝を助ける ・アルコールの分解 |
かつお節、魚、乾椎茸、レバー、肉、酵母など |
ビタミンB6 | ・皮膚・髪を健康に保つ ・神経伝達物質の合成 |
ひらめ、いわしなどの魚、レバー、肉、クルミなど |
ビタミンB12 | ・造血作用 ・神経機能の維持 |
にしん、さばなどの魚、レバー、肉、かきなど |
葉酸 | ・造血作用 ・胎児の先天異常の予防 |
レバー、新鮮な緑黄色野菜、豆類など |
パントテン酸 | ・ストレスの緩和 ・HDL(善玉)コレステロールの生成 |
レバー、そら豆、落花生、さけ、卵など |
ビオチン | ・皮膚・髪を健康に保つ | レバー、卵黄、えんどう、かき、にしん、ひらめなど |
ビタミンC | ・抗酸化作用 ・コラーゲンの合成に関与 ・鉄の吸収促進 |
新鮮な野菜や果物など |
脂溶性ビタミンとは?
脂溶性ビタミンとは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKを指します。脂に溶ける性質を持っており、肝臓や脂肪組織に蓄えられることも知られています1)。脂溶性ビタミンも、種類によってその働きや含まれている食品が異なります。
種類 | 主な効果4) | 含まれている食材 |
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ビタミンA | ・目の健康維持 ・皮膚・粘膜を健康に保つ |
うなぎ、レバー、卵黄、バター、緑黄色野菜(βカロテンとして) |
ビタミンD | ・カルシウムの吸収促進 ・骨の強化 |
魚、きのこ類、酵母など |
ビタミンE | ・抗酸化作用 ・老化予防 ・赤血球の溶血予防 |
緑黄色野菜、小麦胚芽、大豆油、糠油、綿実油など |
ビタミンK | ・骨の形成、再石灰化 ・血液凝固作用 ・たんぱく質の生成 |
カリフラワー、ほうれん草、トマト、イチゴ、納豆、海藻など |
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ビタミンの摂取目安量は?
摂りすぎや不足するとどうなる?
ビタミンの摂取目安量や推奨量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によって、性別や年齢ごとに定められています5)。偏った食事になっていないか、日々の食生活を振り返ることが大切です。
種類 | 18歳~29歳 | 30歳~49歳 | 50~64歳 | 65歳~74歳 | 75歳以上 | |||||
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男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
ビタミンB1 (推奨量) |
1.4mg | 1.1mg | 1.4mg | 1.1mg | 1.3mg | 1.1mg | 1.3mg | 1.1mg | 1.2mg | 0.9mg |
ビタミンB2 (推奨量) |
1.6mg | 1.2mg | 1.6mg | 1.2mg | 1.5mg | 1.2mg | 1.5mg | 1.2mg | 1.3mg | 1.0mg |
ビタミンB12 (推奨量) |
1.4mg | 1.1mg | 1.4mg | 1.1mg | 1.4mg | 1.1mg | 1.4mg | 1.1mg | 1.4mg | 1.1mg |
ビタミンB6 (推奨量) |
2.4µg | 2.4µg | 2.4µg | 2.4µg | 2.4µg | 2.4µg | 2.4µg | 2.4µg | 2.4µg | 2.4µg |
ナイアシン (推奨量) |
15mg | 11mg | 15mg | 12mg | 14mg | 11mg | 14mg | 11mg | 13mg | 10mg |
葉酸 (推奨量) |
240µg | 240µg | 240µg | 240µg | 240µg | 240µg | 240µg | 240µg | 240µg | 240µg |
パントテン酸 (推奨量) |
5mg | 5mg | 5mg | 5mg | 6mg | 5mg | 6mg | 5mg | 6mg | 5mg |
ビタミンC (推奨量) |
100mg | 100mg | 100mg | 100mg | 100mg | 100mg | 100mg | 100mg | 100mg | 100mg |
ビタミンA (推奨量) |
850µg | 650µg | 900µg | 700µg | 900µg | 700µg | 850µg | 700µg | 800µg | 650µg |
ビタミンD (推奨量) |
8.5µg | 8.5µg | 8.5µg | 8.5µg | 8.5µg | 8.5µg | 8.5µg | 8.5µg | 8.5µg | 8.5µg |
ビタミンE (推奨量) |
6.0mg | 5.0mg | 6.0mg | 5.5mg | 7.0mg | 6.0mg | 7.0mg | 6.5mg | 6.5mg | 6.5mg |
ビタミンK (推奨量) |
150µg | 150µg | 150µg | 150µg | 150µg | 150µg | 150µg | 150µg | 150µg | 150µg |
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ビタミンを摂取する際に
気を付けたいこと
異なる性質を持つ水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンは、それぞれに、摂取するときに気をつけるべきポイントがあります。特に、特定の食品ばかり食べたり、サプリメントなどの栄養補助食品を利用したりすると、その組み合わせによって、思いもよらずビタミンを過剰に摂ってしまうことがあるため、摂取量には注意しましょう。
水溶性ビタミンは、水に溶ける性質を持つことから、余分なものは尿として排泄されます。そのため、体内で過剰になることはほとんどないと考えられています1)。一方で、摂取量が少ないと欠乏症を引き起こすことがあるため、こまめに摂取することが大切です。
脂溶性ビタミンは、体内に蓄積されることから、欠乏症だけでなく過剰症にも注意が必要です1)。からだにとって必要不可欠な栄養素であるからといって、一度にたくさん摂取することは避けましょう。