【基礎】
グループホーム
とは?入居条件を解説
グループホームとは、認知症の方が介護保険を使って入居できる施設の一つです。スタッフによる支援を受けながら、ほかの利用者の方々と一緒に家庭的な雰囲気の中で生活することができます。ここではグループホームの特徴や入居条件などについて解説します。
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グループホームとは?
グループホームは、介護保険上では「認知症対応型共同生活介護」と呼ばれ、少人数(5~9人)の利用者と共同生活する住居にて、専門スタッフによる介護や機能訓練を受けるサービスをいいます1)2)3)。
認知症になったからといって、ご本人は何もできなくなるわけではありません。食事の支度、掃除や洗濯など、過去に体験してきたことなら誰かの助けがあればご自身でできるという方も多いものです。グループホームでは、そのようなご本人の能力を大切にし、家庭的な環境で他の利用者やスタッフと一緒に家事をしたり、ご近所の方々と交流したりしながら、その方らしく自立した日常生活を営むことができるよう支援しています2)3)。
入居できるのは、介護保険で要支援2~要介護5の認定を受けており、認知症と診断されていて、他の利用者との共同生活が可能な方です2)3)。
老人ホームとの違い
認知症の方が入居できる施設として老人ホーム(有料老人ホームや特別養護老人ホームなど)もあります1)4)。主な違いとして、グループホームは少人数でアットホームなのに対し老人ホームは大規模な施設もあること、グループホームは家事を利用者の方々も担当するのに対し老人ホームではスタッフが行うこと、グループホームは認知症に特化しているのに対し老人ホームは認知症以外の方も受け入れていることなどが挙げられます。
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グループホームの
特徴・サービス内容
グループホームには、リビング、ダイニング、台所、浴室、そしてお一人ずつの居室があり、認知症の方にとって過ごしやすい環境が整えられています2)3)。スタッフは一方的に介助サービスを提供するのではなく、利用者の方々がそれぞれの能力を発揮しながら生活できるよう、できることを尊重しながらサポートするという点が特徴です5)。
認知症に特化したケア
他の利用者やスタッフとなじみの関係をつくり、役割を持って生活するというグループホームでの過ごし方は、認知症の方の心身の状態を穏やかに保つことにつながります。
認知機能の低下を予防したり症状を緩和したりすると考えられている脳トレや音楽療法、運動療法など6)のアクティビティも行われています。
入浴、排せつ、食事などの介護
生活の中でお一人では難しい動作についてはスタッフが介助します2)3)。
食事を通じた認知症ケア
グループホームでは、認知症ケアの一環として食事の支度から利用者がかかわるようにしています。スタッフや他の利用者の方々と一緒に料理をし、食卓を一緒に囲むことで、コミュニケーションも生まれます。栄養バランスの良い食事を取ることは認知症の進行を予防するためにも役立ちます6)。
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グループホームの入居条件
グループホームに入居するためには以下の条件に該当する必要があります1)2)3)。
- 要支援2~要介護5の認定を受けていること。
- 医師から認知症と診断されていること。
- 他の利用者の方々と共同生活を営むことに支障がないこと。
- 施設のある市区町村に住んでいること。
もしまだ介護保険の認定を受けていない場合は、お住まいの地域の役所や地域包括支援センターの窓口で申請をしましょう。また、グループホームは介護保険の制度上、お住まいの市区町村がその住民を対象に行う「地域密着型サービス」の一つであるため、施設のある地域に住民票のある方でなければ利用できません1)。
生活保護受給者でも入居可能
グループホームは、生活保護を受給している方でも利用可能です。生活保護の介護扶助という制度により金額の自己負担なく入居できます7)。ただし生活保護法による指定を受けた施設である必要があります。施設を選ぶ際には担当のケースワーカーに相談するとよいでしょう。
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グループホームの
入居期間・
いつまで入居できる?
グループホームの入居期間に特に定めはありません。
入居を断られることや
退去になることもある?
介護認定を受けていない方、認知症の診断がついていない方、施設のある市区町村の住民でない方など、入居条件に満たない方は入居ができません1)2)3)。
また入居した方でも、入院治療が必要になるなどグループホームでの生活が難しい状態になった場合は、病院や介護保険施設などより適切な施設を紹介されることがあります2)3)。退去の条件について、契約時にもらう契約書、重要事項説明書をよく確認しておきましょう。
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グループホームを利用する
メリット・デメリット
グループホームを
利用するメリット
- 専門スタッフによる認知症に特化したケアが行われています。
- ご本人が慣れ親しんだ地域から離れることなく過ごすことができます。
- 少人数でアットホームな雰囲気の中でなじみの関係をつくることができます。
グループホームを
利用するデメリット
- 看護師が必ずしも常駐していないため、施設によって希望する医療的なケアが受け られない場合があります。事前によく確認しましょう。
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グループホームの1日の流れ
グループホームでの1日の過ごし方の例です。
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グループホームの選び方
見学、ショートステイなどで
雰囲気を確認する
ご本人が慣れ親しむことのできる雰囲気でなければ、認知症ケアも効果的に進みません。一緒に見学へ行ってみて、ご本人がなじめそうかどうか確認しましょう。
体験入居やショートステイができる施設もあるので試してみるのもよいでしょう。
費用を確認する
施設によって初期費用や毎月の費用は異なります。施設の担当者に確認し、入居を無理なく継続していける金額かどうか検討しましょう。
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グループホームへ
入居時の注意点
- 入居条件に満たない場合は入居できません2)3)。介護保険の認定、認知症の診断が受けられておらずどうすればよいかわからない場合は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターに相談してみましょう。
- ご本人の住民票がある市区町村の施設でなければ入居できません1)。候補を選ぶ際には注意しましょう。