【基礎】
特別養護老人ホーム
とは?入居条件や
月々の費用を
すべて解説
特別養護老人ホーム(特養)とは、自宅での生活・介護が困難になった要介護の方が入居し、スタッフにサポートしてもらいながら生活を送る施設です。主に地方自治体や社会福祉法人が運営しています。ここでは特別養護老人ホームの基本的な情報をわかりやすく解説します。
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特別養護老人ホームとは?
特別養護老人ホームは、常に介護が必要で自宅での生活が難しい方が入居し、専門スタッフによる介護や機能訓練、療養上のケアなどが受けられる施設です1) 2)。介護付き有料老人ホームなどの多くは民間企業が運営しているのに対して、特別養護老人ホームは地方自治体や社会福祉法人などが運営している公的施設です1)。
養護老人ホームとの違い1)3)
名称が似ている施設として「養護老人ホーム」があります。養護老人ホームは経済的な理由などにより自宅での生活が難しい高齢者が入居する施設で、自立のための指導や訓練、食事の提供や健康管理などが行われます。特別養護老人ホームと違い、常に介護が必要な人を対象としている施設ではないため、基本的に介護サービスは提供されていません。
介護老人保健施設(老健)
との違い4)
介護老人保健施設(老健)も、専門スタッフによる介護が受けられる施設ですが、自宅での生活に復帰することを目的としていて、医療的なケアやリハビリテーションなどが重視されます。そのため、介護老人保健施設は3ヶ月ごとに退所が検討されますが、特別養護老人ホームは基本的に終身まで入居することが可能です。
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特別養護老人ホームの
サービス内容は?
特別養護老人ホームでは、主に次のようなサービスを提供しています。
食事
栄養バランスのとれた朝食、昼食、夕食が提供されます。メニューはご本人の嗜好や口腔機能、アレルギーなどによって調整することも可能です。食事の動作が難しい方はスタッフが介助します。
入浴
ご本人の状態に合わせた介助を受けながら、週に2回以上入浴することができます5)。入浴できない場合はスタッフが蒸しタオルなどで身体を拭きます。寝たきりの方でも機械を用いて入浴することができたり、大浴場を使用できたりと、施設によって設備が異なるので、見学のときなどに確認しましょう。
排せつ介助
ご本人の状態に合った排せつの介助を受けることができます。例えば、尿意や便意を感じにくい方には排せつを促してトイレに誘導したり、寝たきりの方にはベッドで排せつできるよう介助を行ったりします。
機能訓練
ご本人の状態に応じて、日常生活に必要な運動機能や口腔機能などの訓練を受けることができます5)。施設によっては理学療法士や作業療法士などの資格を持ったスタッフが指導します。
掃除・洗濯などの生活支援
居室やリビングスペースなどは、スタッフや外部の委託業者が定期的に清掃します。通常の洗濯は基本料金に含まれていますが、クリーニングが必要な場合は別料金がかかります。掃除や洗濯などは、スタッフのサポートを受けながら、入居者が行うこともできます。
レクリエーションやイベント
施設で楽しい時間を過ごせるように、さまざまなレクリエーションを行っています。心身の健康のために、頭を使ったり、身体を動かしたりするようなゲームを行うなど、施設によって工夫されています。また、季節の行事や入居者の誕生日などにイベントを行っている施設もあります。レクリエーションやイベントの内容や頻度は施設によって異なりますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
買い物代行
ご本人に代わってスタッフが買い物へ行くサービスです。移動販売を依頼し、衣服や食品、日用雑貨などの買い物を入居者が楽しめるようにしている施設もあります。
施設によっては
「看取り」まで対応
住み慣れた施設で最期を迎えたいと希望される方には、看取りを行っている施設もあります。
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特別養護老人ホームの種類
特別養護老人ホームは、介護保険法上で「介護老人福祉施設」および「地域密着型介護老人福祉施設」と呼ばれる施設に分けられます2)。
前者は定員が30人以上で、どこに住んでいる方でも入居できます。後者は定員が29人以下で、その自治体にお住まいの方でなければ利用できません。
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特別養護老人ホームの
居室タイプ一覧
特別養護老人ホームには、ユニット型個室、ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室)、従来型個室、多床室の4つの居室タイプがあります。
ユニット型個室5)
共用のリビングスペースと10部屋程度の個室により構成される「ユニット」ごとにサービスが提供されます。全室個室で、ユニットごとに専門スタッフが配置されるので、利用者の個性や生活リズムに寄り添ったサービスを受けたい方におすすめです。リビングスペースでは、ほかの入居者と交流することもできます。
ユニット型個室的多床室
(ユニット型準個室)
ユニット型個室と同様に、10部屋程度の個室と共用のリビングスペースを1つのユニットとしてサービスが提供されます。ただし、個室を区切る壁と天井の間にはすき間があり、完全な個室ではありません。
従来型個室
ユニット型のような共用のリビングスペースはありませんが、個室で生活できます。
多床室
1部屋で複数人が生活する相部屋の居室タイプです。プライバシーに配慮されて個室のような形になっていたり、12人のユニットごとにリビングスペースや専門スタッフが配置されていたりする場合もあります。
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特別養護老人ホームの入居条件
特別養護老人ホームに入居できるのは、介護保険で要介護3~5の認定を受けた方と、要介護1~2の認定を受けた方のうち以下のような、やむを得ない理由により自宅での生活が難しい場合です6)7)。
- 認知症もしくは知的障害・精神障害などを伴っていて、日常生活に支障をきたす症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられる。
- 家族による深刻な虐待などによって、心身の安全・安心の確保が困難である。
- 単身世帯であったり、同居家族が高齢や病弱であったりして、家族などによる支援が期待できず、さらに地域での介護サービスや生活支援が不十分である。
もしまだ介護保険の認定を受けていない場合は、お住まいの地域の役所や地域包括支援センターの窓口で申請をしましょう。
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特別養護老人ホームの
費用は?月々いくら?
特別養護老人ホームに入居すると、施設サービス費のほか、居住費、食費、日常生活費などがかかります。
月々の費用例とその内訳
特別養護老人ホームに入居した場合の1ヶ月の費用の例をご紹介します。要介護度、収入などのご本人の状況や、居室タイプ、提供されるサービスの内容など施設によって費用は異なりますので、実際に検討される際は施設に確認しましょう。
また生活保護や非課税世帯の方は負担が軽減される制度があります。お住まいの自治体に確認しましょう。
(要介護4、自己負担1割の方がユニット型個室に
入居した場合)
施設サービス費 | 25,000円前後 |
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居住費 | 60,000円前後 |
食費 | 43,000円前後 |
日常生活費 | 10,000円前後 |
合計 | 138,000円前後 |
- 施設サービス費
- 施設サービス費は、特別養護老人ホームで受けるサービスに対する費用です。居室タイプや要介護度などによって金額は異なります。費用の1~3割が自己負担となります。
- 居住費(賃料)
- 居住費の標準的な費用額(基準費用額)に基づいて施設ごとに設定されており、居室タイプによって金額は異なります。
ユニット型個室 | 60,000円前後 |
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ユニット型個室的多床室 | 50,000円前後 |
従来型個室 | 35,000円前後 |
多床室 | 25,000円前後 |
- 食費
- 施設によって異なりますが、1ヶ月分の食費のめやすは43,000円前後です。
- 日常生活費
- 日用品や嗜好品の代金、医療費、理美容代などの日常生活費は実費での負担となります。
- そのほかの費用がかかる場合も
- 施設によっては、個別の機能訓練や認知症に対する専門的ケア、医療職を配置した看取りなど手厚いサービスを受けられる場合があります。そのサービスの内容に応じて追加で費用がかかることがあるので、施設に確認しましょう。
特定入所者介護サービス費で
出費を軽減する6)
居住費と食費について、所得や資産などが一定以下の方(生活保護や非課税世帯の方など)には負担限度額が定められており、負担限度額を超えた費用は介護保険から特定入所者介護サービス費として支給されます。特定入所者介護サービス費を利用するには、お住まいの自治体に事前に申請して、負担限度額認定を受ける必要があります。
年金や生活保護だけで
利用できる
特別養護老人ホームもある
特別養護老人ホームに入居してかかる費用は、月々数万円~十数万円程度なので、年金でまかなえる場合や住宅扶助・生活扶助の限度額の範囲内であれば生活保護受給者でも入居できる場合があります。
ほかの施設と比べて
特養が安い理由
介護付き有料老人ホームなどの多くは民間企業が運営しているのに対して、特別養護老人ホームは公的施設であり、社会福祉法人などの事業主は国からの支援を受けられるため、比較的安い価格で利用できます。
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特別養護老人ホームを利用する
メリット・デメリット
特別養護老人ホームを
利用するメリット
- 初期費用がかからず、月々の費用も比較的低額です。
- 24時間体制で介護を受けることができます。
- 終身利用ができ、看取りを行っている施設もあります。
特別養護老人ホームを
利用するデメリット
- 原則として要介護3以上の方しか入居できないため6)、事前に要介護認定を受ける必要があります。
- 入居希望者が多い場合は、入居するまで時間がかかることがありますので、事前に確認しましょう。
- 医師が必ずしも常駐していないため、緊急時や常時の医療的なケアは受けられない場合があります。支援内容についてはよく確認しましょう。
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特別養護老人ホームの
1日の流れ
特別養護老人ホームでの1日の過ごし方の例です。
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特別養護老人ホームの
入居までの流れ
特別養護老人ホームに入居するまでの流れの例をご紹介します。施設に直接申し込むほか、自治体が申し込みを受け付けている場合もあります。施設、お住まいの自治体によって異なりますので、問い合わせの際などに確認しておきましょう。
〈入居までの流れの例(施設に直接申し込む場合)〉
- 入居を希望する施設に電話などで問い合わせする
- 申込書類(入居申込書、介護保険証の写し、直近3ヶ月間分のサービス利用票別表のコピーなど)を郵送や持参により提出する
- 施設側で審査を行い、入居予定者の優先順位が検討される
- 入居できる日が近づけば、ご本人・ご家族と施設で面談をする
- 面談などの結果、入居可能であれば手続きをして入居