【簡単】
高齢者が食欲不振で
食べないときに
試したい3つの改善策
管理栄養士が教える高齢者の食べる量が減った、食事を摂ってくれないときに活用したい改善方法をご紹介します。高齢者の中には、食欲不振になると健康維持が難しくなる人もいます。食欲不振の原因を理解し、少しずつ食欲が戻るように改善をしましょう。
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「少しだけでもいいから
食べて」はNG
高齢者の食が細くなると、からだが弱ってしまうのではないかと心配になるかもしれませんが、もっと食べるように繰り返し促したり、食べきれなかったときに「残しちゃったの?」というような声かけをしたりすることは、大きな負担となり、ますます食欲の減退につながります。負担を感じさせないように配慮したいものです。
高齢者のプレッシャーにならないような食欲回復の工夫をご紹介します。
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食欲不振なときに試したい
3つの改善法
- 調理に一手間加えて食欲を高める
- 少量を盛り付ける
- 食欲がないときにたくさんの料理が目の前に並ぶのは、食事に義務感が出てプレッシャーになりやすいものです。少なめに盛り付け、食べきれるよう品数も少なくします。もっと食べられるようなら、次の料理を追加するようにします。
- 手でつまめるメニューをプラス
- 食具を使うのもおっくうになりがちです。ひと口大の小さなおにぎりや、海苔巻き、小さめのカステラやサンドイッチなど、手でつまめる料理を試してみるのもよいでしょう。
- 水分摂取を促す
- 食欲がないときは、脱水になりがちです1)。また脱水が原因で食欲が落ちることもあります2)。
味噌汁や野菜スープなどでも水分摂取は可能ですので、食事の際に促すようにしましょう。
- 環境を少し変えて食欲を高める
- 食事をする環境をいつもと変えてみましょう。
例えば家族や介護する方と、仲の良い人を招いて、楽しい雰囲気で一緒に食卓を囲むと食欲が高まることがあります。外食をするなど場所を変えてみるのもよいでしょう。
食事の際に音楽をかけてみる、盛り付けや味見など食事の準備を手伝ってもらい料理の音や香りを感じてもらう、ランチョンマットを暖色系や黄色など食欲を刺激する色に変えてみるなど、五感から食欲を刺激する工夫もおすすめです。 - 食べられそうなものを予め準備する
- 食欲がないときは、喉越しが良く消化の良いもの、冷たくてさっぱりしたものなどが好まれます。おかゆ、雑炊、お茶づけ、うどんやそうめん、茶碗蒸し、プリン、ヨーグルト、ゼリー、柑橘系以外の果物、などは消化が良くておすすめです。
食べたいときにすぐ食べられるよう、作り置きや冷凍保存などで常備しておくとよいでしょう。 - 食欲がないときは食べることを考えることさえ負担になります。ご本人にヒアリングする際には、「何か食べたいものはある?」というような広い質問でなく、「プリンとうどんならどっちが食べられそう?」など、答えやすいように質問を絞るとよいでしょう。カタログやチラシなどの絵や写真を見せながら「コレなら食べられそう?」と聞いてみるのもおすすめです。
>少量で栄養価の高い食べ物とは?
一人暮らしの
高齢者向けの工夫
一人暮らしをしている高齢者が食欲不振になった場合、遠方に住んでいる家族にできる工夫としては次のようなことが挙げられます。
まめに連絡することが可能であれば、なるべくビデオ通話で顔を合わせるようにしましょう。無理のない範囲でからだを動かしたり、趣味を楽しんで活動量を増やしたりすると、気分が変わって食欲がわくこともあります。
ご本人の食べられそうなものを送りたい場合は、保存の利く調理済み食材を選びましょう。例えば、肉・魚・フルーツ・ポタージュスープなどの缶詰、一人分の惣菜のレトルトパックや冷凍食品、肉そぼろや鮭フレークなどご飯に合うたんぱく質の摂れる食品、野菜ジュースなど手軽に栄養が摂れる飲みものなどが考えられます。見守りつきの宅配弁当サービスなどを利用するのもよいでしょう。
ご本人の状態によって、デイサービスや訪問看護などの利用も検討しましょう。
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高齢者が
食欲不振になる原因
高齢者が食欲不振になりがちなのは、加齢、環境、精神的要因など複数の原因が考えられます。
高齢になると消化や吸収の機能も低下し、噛む力や飲み込む力も弱くなります3)4)。運動不足になりがちで筋肉が減り消費するエネルギーも少なくなり、おなかがすかなかったり、味やにおいを感じにくくなったりするため、食欲が落ちやすくなります5)。
また、一人暮らしになって食事がつまらない、介護する方に好みをうまく伝えられないなど、精神的なストレスが背景にある場合もあります3)6)。
このように食欲不振にはさまざまな原因が考えられるため、どうすればご本人の食欲を引き出すことができるのか、周囲の方が協力して考え、対応することが大切です3)。
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食欲不振が
続いた場合のリスク
長期的に食欲不振が続いて食事量が減り、体重減少がみられる場合は、健康的に生きるために必要な量の栄養素が十分摂れていない「低栄養」の状態になっているかもしれません。低栄養が進むと健康維持が難しくなるリスクが高まるため、早めに気づいて栄養状態を改善することが大切です4)。
>低栄養が引き起こすリスクとは?
高齢者の食が進まないときは、食べることがストレスにならないようゆったりとした雰囲気づくりを心がけ、周囲の方で協力しながら、少しずつ食べるなどの食事の工夫や食事する環境を変えるなどの方法を試してみましょう。低栄養にならないよう気をつけ、少量で不足しがちな栄養を補える栄養補助食品などを上手に活用するのもよいでしょう7)。