低栄養に
ならないための
食事アレンジ法3選。
高齢者が摂りたい
栄養素とは?

低栄養にならないためには、何をどれくらい食べる必要があるのでしょうか?いつものメニューで十分に栄養が摂れているのかどうか、知りたいですよね。ここでは1日に必要な摂取量を満たす食事メニューと、普段の食事に不足しがちな栄養素を追加するアレンジ方法をご紹介します。

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低栄養にならないためには
「たんぱく質」「エネルギー」が不可欠

たんぱく質とエネルギーが不足すると、低栄養状態を招きやすくなります
「歳をとったらたんぱく質は少なくてもよい」と思われがちですが、そんなことはありません。たんぱく質は高齢者どしっかり摂ることが大切です。
1日に必要なエネルギー量は身体活動レベルによって異なりますので、不足しないよう注意しましょう1)

1日に必要なエネルギーと
たんぱく質量2)
65〜74
身体活動レベル Ⅰ(低い) Ⅱ(ふつう) Ⅲ(高い)
座っていることが
ほとんど
座っていることが多いが、
立ち作業や通勤、買い物、
軽い運動もする
移動や立ち仕事が多い、
活発な運動習慣がある
男性 エネルギー(kcal) 2050 2400 2750
たんぱく質(g) 60
女性 エネルギー(kcal) 1550 1850 2100
たんぱく質(g) 50
75歳以上
身体活動レベル Ⅰ(低い)
自宅にいて
ほとんど外出しない
Ⅱ(ふつう)
自立している
男性 エネルギー(kcal) 2050 2400
たんぱく質(g) 60
女性 エネルギー(kcal) 1550 1850
たんぱく質(g) 50
65〜74
身体活動
レベル
男性 女性
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
Ⅰ(低い)
座っていることがほとんど
2050 60 1550 50
Ⅱ(ふつう)
座っていることが多いが、立ち作業や通勤、買い物、軽い運動もする
2050 1550
Ⅲ(高い)
移動や立ち仕事が多い、活発な運動習慣がある
2750 2100
75歳以上
身体活動
レベル
男性 女性
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
Ⅰ(低い)
自宅にいてほとんど外出しない
2050 60 1550 50
Ⅱ(ふつう)
自立している
2400 1850

例えば1日2000kcal程度の食事とは、以下のような分量のイメージです。

エネルギーとたんぱく質が
適量の食事の例3)

  1. 朝食
    • ロールパン
      2個

    • きのこの
      バター炒め

    • 目玉焼き

    • ヨーグルト
      1パック

    • りんご
      半分

  2. 昼食
    • スパゲッティ
      1皿

    • 野菜サラダ

    • チーズ
      1かけ

    • みかん
      1個

  3. 夕食
    • ごはん
      普通盛り
      1杯

    • 具だくさん
      味噌汁

    • ひじきの
      煮物

    • まぐろと
      イカの刺身

2

低栄養にならないための
食事メニュー
アレンジ方法3選

食事のメニューを考えるときは、以下の6つの食品群からまんべんなく取り入れるようにすると、バランスよく栄養を摂ることができます1)。普段の食事に少しアレンジを加えれば、不足しがちなエネルギーやたんぱく質の摂取量を上げることができます。

  • 第1類
    魚、肉、卵、大豆
  • 第2類
    牛乳・乳製品、骨ごと食べられる魚
体をつくる
もとになる
  • 第3類
    緑黄色野菜
  • 第4類
    その他の野菜、果物
体の調子を
整える
もとになる
  • 第5類
    米、パン、めん類、いも
  • 第6類
    油脂類
エネルギー
のもとになる

アレンジ1
普段の食事メニューに
ちょい足しアレンジ

粗食になりがちな朝食や昼食に、たんぱく質の多い食材を加えましょう。例えば、食パンにスライスチーズを乗せる、野菜サラダにゆで卵を加える、コーヒーを牛乳に変える、といった工夫で、エネルギー、たんぱく質を多く摂ることができます1)4)

朝食メニューのアレンジ例1)4)

  • 食パン
  • サラダ
  • コーヒー
  • 食パン
    +
    スライス
    チーズ
  • サラダ
    +
    ゆで卵
  • 牛乳
エネルギー
  • +61kcal
  • +75kcal
  • +134kcal
たんぱく質
  • +6.5g
  • +4g
  • +6.6g

アレンジ2
食事の回数を増やして
栄養の摂取回数を増やす

1回の食事でたくさん食べられないという方は、1日3食にこだわらず、昼食の回数を2回に増やしたり、午前や午後に間食を摂ったりするとよいでしょう。

朝食から夕食までの食事例

  1. 朝食
    • ごはん小盛り

    • ジャガイモの
      みそ汁

    • 目玉焼き

    • リンゴ半分

  2. 昼食
    • ざるそば

    • 春菊のごまあえ

    • 冷奴

    • ヨーグルト

  3. 間食
    • カフェオレ
      (牛乳1/2使用)

  4. 夜食
    • ごはん小盛り

    • 冷やしトマト

    • 切り干し大根の
      煮物

    • 魚の照り焼き

    • ミカン1個

    • お茶

おやつを入れて不足している栄養素を補う

間食には、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などたんぱく質を多く含む食材を使った軽食やお菓子を選ぶとよいでしょう5)。例えば、ヨーグルトやチーズ、カフェオレ、卵が入ったカステラなどはたんぱく質やエネルギーを手軽に摂れるのでおすすめです1)

アレンジ3
栄養補助食品
を加えて栄養素を増やす

食欲がない場合は、市販の栄養補助食品を活用するのもよいでしょう。
量が多いと一度に飲みきれなかったり食べきれなかったりしますので、少量で高カロリー高たんぱく、必要なビタミン・ミネラル、食物繊維なども摂れるものがおすすめです。
ドリンクタイプの栄養補助食品はさまざまな味のものがあり、料理やデザートにも応用できます。

3

低栄養にならないために
気をつけること

栄養バランスのとれた食べやすい食事をおいしく楽しく食べることが、低栄養を防ぐことにつながります。高齢者は食事時間が不規則になりがちなので、朝決まった時間に起き、朝食を食べるようにすることはとても大事です。また、噛んだり飲み込んだりする力が衰えることも、食事を摂れなくなる原因となるので、口から食べる機能を低下させないようにすることも大切です1)

4

栄養バランスと運動で
低栄養対策

低栄養が進むと筋肉量や筋力が低下し、立ったり歩いたりする機能が衰え、外出する元気もなくなってさらに食欲が落ちるという悪循環に陥りやすくなります1)
筋肉をつけるポイントは、朝、昼、夕の3食で均等にたんぱく質を摂ることや、運動後1時間以内にたんぱく質を摂ることです。運動は、足腰に筋力をつけるスクワットや、バランス筋力をつける片脚立ちなどを組み合わせて行うのがおすすめです6)

以上のように、低栄養にならないためには、不足しがちなたんぱく質やエネルギーを、毎日のメニューをアレンジするなどの工夫をしながら十分に摂ることが大切です。筋力をつける運動とともに、栄養バランスのよい食事をおいしく摂って健康を維持したいですね。