【図解】
おいしい介護食
おかゆと分粥の
作り方・作るときの
5つのポイント
おかゆは、米を多めの水で柔らかく煮込んだ料理です。ここでは介護に適したおかゆの作り方とポイントをわかりやすく説明します。また、米と水の割合で変わる分粥の作り方、おかゆの冷凍保存の方法も詳しくご紹介します。
1
介護食のおかゆ(全粥)作り方
おかゆは口の中でご飯の粒がまとまるため、普通に炊いたご飯が食べにくくなった高齢の方でも、食べやすくなっています1)。一方、粘りの強いおかゆは、飲み込みづらい場合もあります。炊いたご飯から作る場合は粘りが出やすいので、注意が必要です。高齢の方が食べやすい、粘りが少なく、おいしいおかゆの作り方をご紹介します。
全粥
- 材料(1人分)
-
-
- 米
- 50g(1/3合)
-
- 水
- 250cc
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 171kcal
-
- たんぱく質
- 3.1g
-
- 脂質
- 0.5g
-
- 炭水化物
- 38.8g
-
- 食塩相当量
- 0g
-
- 作り方
-
- 米を洗い30分程度水につけておく
- 鍋に1と水を入れ強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、箸で全体を混ぜ、蓋を少しずらしてかけ20分加熱する
- 火をとめ、蓋をして10分程度蒸らす
炊いたご飯から作る場合
- 材料(1人分)
-
-
- ご飯
- 100g
-
- 水
- 200cc
-
- 作り方
-
- 鍋にほぐしたご飯と水を入れ強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、10分程度加熱する
ワンポイントメモ
- 火にかける前にご飯をしっかりとほぐしておき、加熱中はあまりかきまぜないようにすると、粘りが少なくなります。
介護食おかゆのおすすめトッピング
加齢により味覚が低下するため、薄味だと食欲が落ちてしまうこともあります。トッピングで好みの味や香りをプラスして、風味に変化をつけると、おいしく食べられるようになるでしょう2)。また、たんぱく質を含む食材をトッピングすることは、低栄養対策にもなります。特に、しらすは高齢者に不足しがちなカルシウムとたんぱく質を一緒に摂取できるおすすめのトッピングです1)。
トッピング例
2
介護食の分粥の作り方
おかゆは、全粥と重湯(おかゆの上澄み)の割合によって呼び方が変わります。全粥と重湯の割合が半々(5:5)の場合は五分粥、7:3の場合は七分粥、3:7の場合は三分粥と呼ばれます3)。
それぞれの分粥の作り方とレシピ、おかゆに含まれる栄養価をご紹介します。好みや食べやすさに合わせてください。
七分粥
- 材料(1人分)
-
-
- 米
- 35g(大さじ3弱)
-
- 水
- 250cc
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 120kcal
-
- たんぱく質
- 2.1g
-
- 脂質
- 0.3g
-
- 炭水化物
- 27.2g
-
- 食塩相当量
- 0g
-
- 作り方
-
- 米を洗い30分程度水につけておく
- 鍋に1と水を入れ強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、箸で全体を混ぜ、蓋を少しずらしてかけ20分加熱する
- 火をとめ、蓋をして10分程度蒸らす
五分粥
- 材料(1人分)
-
-
- 米
- 25g(大さじ2弱)
-
- 水
- 250cc
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 86kcal
-
- たんぱく質
- 1.5g
-
- 脂質
- 0.2g
-
- 炭水化物
- 19.4g
-
- 食塩相当量
- 0g
-
- 作り方
-
- 米を洗い30分程度水につけておく
- 鍋に1と水を入れ強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、箸で全体を混ぜ、蓋を少しずらしてかけ20分加熱する
- 火をとめ、蓋をして10分程度蒸らす
三分粥
- 材料(1人分)
-
-
- 米
- 13g(大さじ1弱)
-
- 水
- 250cc
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 44kcal
-
- たんぱく質
- 0.8g
-
- 脂質
- 0.1g
-
- 炭水化物
- 10.1g
-
- 食塩相当量
- 0g
-
- 作り方
-
- 米を洗い30分程度水につけておく
- 鍋に1と水を入れ強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、箸で全体を混ぜ、蓋を少しずらしてかけ20分加熱する
- 火をとめ、蓋をして10分程度蒸らす
重湯
- 材料(1人分)
-
-
- 米
- 25g(大さじ2弱)
-
- 水
- 300cc
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 38kcal
-
- たんぱく質
- 0.6g
-
- 脂質
- 0.0g
-
- 炭水化物
- 9.4g
-
- 食塩相当量
- 0g
-
- 作り方
-
- 米を洗い30分程度水につけておく
- 鍋に1と水を入れ強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、箸で全体を混ぜ、蓋を少しずらしてかけ20分加熱する
- 火をとめ、蓋をして10分程度蒸らす
3
レンジで簡単に
介護食向けおかゆの作り方
電子レンジでもおかゆが作れます。大きめのボウルを使うと吹きこぼれにくいのでおすすめです。電子レンジ専用のおかゆクッカーも市販されています
レンジ粥
- 材料(1人分)
-
-
- 米
- 100g
-
- 水
- 200cc
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 156kcal
-
- たんぱく質
- 2.5g
-
- 脂質
- 0.3g
-
- 炭水化物
- 37.1g
-
- 食塩相当量
- 0g
-
- 作り方
-
- 耐熱ボウルにご飯と水を入れ、ご飯粒をほぐしておく
- ふんわりとラップをかけ、両はしをあけ電子レンジに入れ600Wで5分加熱する
- 電子レンジから取り出し、ラップをぴったりとし10分程度蒸らす
ワンポイントメモ
- 吹きこぼれる恐れがあるので、深いボウルやタッパーを使用してください
4
ミキサーを使った
介護食のおかゆの作り方
嚥下機能が低下している方には、ミキサー粥がおすすめです4)。とろみ調整剤やゲル化剤を使って、食べやすいとろみに調整することができます2)4)。
ミキサー粥
- 材料(1人分)
-
-
- 米
- 50g(1/3合)
-
- 水
- 250cc
-
- 栄養価(1人分)
-
-
- エネルギー
- 171kcal
-
- たんぱく質
- 3.1g
-
- 脂質
- 0.5g
-
- 炭水化物
- 38.8g
-
- 食塩相当量
- 0g
-
- 作り方
-
- 米を洗い30分程度水につけておく
- 鍋に1と水を入れ強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、箸で全体を混ぜ、蓋を少しずらしてかけ20分加熱する
- 火をとめ、粗熱を取ったらミキサーに入れ米粒がなくなるまで混ぜる
ワンポイントメモ
- 加熱後に蒸らさず、おかゆの水分が少なくなる前にミキサーで攪拌するようにしてください
- 水分が少ない場合は少量ずつ水をたしてミキサーにかけてください
5
介護食でおかゆを作るときの
5つのポイント
- デンプンが多く含まれるおかゆは、時間がたつと固くなります4)。すぐに食べられる分だけ作るか、食べきれない分は冷凍保存するようにしましょう。
- デンプンが多く含まれるおかゆは、冷えると固くなります4)。適温での提供がおすすめです。
- 水分の多いサラサラの状態はむせる原因になります。必要に応じて、とろみ調整剤でとろみをつけましょう4)。べたつかないおかゆゼリーが作れる、デンプン分解酵素入りのゲル化剤の使用もおすすめです2)。適切なとろみの強さに関しては、医師や歯科医師、管理栄養士などに相談しましょう2)。
- ミキサー粥の場合は、ミキサーにかけてからしばらくたつと、デンプンが糊化し、粘度が高くなります4)。おかゆを蒸らす前の水分がある程度残っている状態でミキサーにかけるようにしましょう。デンプン分解酵素入りのゲル化剤を使用するのもおすすめです4)。
- 食べる方の食べやすさに合わせた形態、食べたい味に合わせた味付けで、食欲を支えましょう2)。
6
介護食で作った
おかゆの冷凍保存方法
おかゆは時間のあるときにまとめて調理して冷凍すると、毎回調理する手間が減り、食事の用意が楽になります2)。
- 冷凍方法
- 1食分ずつ小分けにして冷凍します。冷凍する容器は蓋をしたまま加熱できるものがおすすめです。炊いたご飯のようにラップに包んで保存する方法は、加熱する際におかゆがあふれ出てしまうため、保存容器を利用しましょう。
食中毒を防ぐため、粗熱が取れたらすぐに冷凍するようにします2)。 - 解凍方法
- 耐熱容器に入れてラップをして電子レンジで加熱します。中心まで温まれば大丈夫です。加熱する際は、吹きこぼれやすいので注意します。電子レンジから取り出す際は、熱いのでやけどに気をつけてください。