【図解】
介護食の区分とは?
4つの種類と選び方を
ケース別に解説

介護食は噛む力、飲み込む力が弱い人のために作られた4つの区分があります。区分1~区分4までの違いや特徴、どの介護食を選ぶのが適切なのか、選び方についてもわかりやすく解説します。ユニバーサルデザインフード®とスマイルケア食の両方についてご紹介します。

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介護食の区分とは?

噛む力、飲み込む力が弱い人のための介護食の基準として、複数の食品メーカーによって設立された日本介護食品協議会が名付けた「ユニバーサルデザインフード®」という自主規格が知られています。ユニバーサルデザインフード®には噛む力、飲み込む力の状態を目安に形態を「区分1:容易にかめる」「区分2:歯ぐきでつぶせる」「区分3:舌でつぶせる」「区分4:かまなくてよい」の4つの区分に分け、それぞれ適合する商品にはユニバーサルデザインフード®のロゴマークがつけられています。区分の表示から噛む力、飲み込む力に合ったやわらかさの食品を選ぶことができます1)2)3)

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区分 区分1
容易にかめる
区分2
歯ぐきでつぶせる
区分3
舌でつぶせる
区分4
かまなくてよい
かむ力
の目安
かたいものや
大きいものは
やや食べづらい
かたいものや
大きいものは
食べづらい
細かくて
やわらかければ
食べられる
固形物は
小さくても
食べづらい
飲み込む力
の目安
普通に
飲み込める
ものによっては
飲み込みづらい
ことがある
水やお茶が
飲み込みづらい
ことがある
水やお茶が
飲み込みづらい
かたさの目安 ごはん ごはん~
やわらかごはん
やわらかごはん
~全がゆ
全がゆ ペーストがゆ
さかな 焼き魚 煮魚 魚のほぐし煮
(とろみあんかけ)
白身魚の
うらごし
たまご 厚焼き卵 だし巻き卵 スクランブル
エッグ
やわらかい
茶わん蒸し
(具なし)

区分1:容易にかめる(軟菜食など)1)2)3)

  • かたいものや大きいものはやや食べづらいが、普通に飲み込める人向けの介護食です。
  • 具材は大きめで通常の食事と見た目の差はありません。
  • 普通の食事に最も近い形状とかたさです。
    例)ごはん~やわらかごはん、焼き魚、厚焼き卵、やわらか肉じゃが、白桃の缶詰など1)3)4)

区分2:歯ぐきでつぶせる(ソフト食など)1)2)3)

  • かたいものや大きいものは食べづらい、ものによっては飲み込みづらいことがある人向けの介護食です。
  • 具材は少しやわらかくなっていますが、ある程度の大きさがあり、見た目のおいしさにも配慮しています。
    例)やわらかごはん~全がゆ、煮魚、だし巻き卵、やわらか肉じゃが(具材小さめ)、完熟バナナ、煮込みハンバーグ

区分3:舌でつぶせる(ミキサー食など)1)2)3)

  • 細かくまたはやわらかければ食べられる、水やお茶が飲み込みづらいことがある人向けの介護食です。
  • 具材をさらに小さくカットしてあり、区分2よりもやわらかく、口の中でまとまりやすいように粘りにも配慮が必要です。具材のある不均質な形態や、食材を一度つぶして再成型したムース状やゼリー状の形態があります。固形物の具材を含む場合は、舌でつぶせる程度のやわらかさです。
    例)全がゆ、魚のほぐし煮(とろみあんかけ)、スクランブルエッグ、さらにやわらか肉じゃが(具材小さめ)、絹ごし豆腐

区分4:かまなくてよい(流動食など)1)2)3)

  • 固形物は小さくても食べづらく、水やお茶が飲み込みづらい人向けの介護食です。
  • ペースト状やゼリー状など、具材など固形物を含まない均質でなめらかな状態であることとされています。
    例)ペーストがゆ、白身魚のうらごし、やわらかい茶わん蒸し(具なし)、ペースト肉じゃが、やわらかいプリン

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噛む力、飲み込む力は一人ひとり違うため、その方に応じて、用意する食事のやわらかさも変わってきます。市販の介護食品を選ぶ際の、わかりやすく客観的な指標として、農林水産省が創設し、2016年から運用されているのがスマイルケア食です。
スマイルケア食の対象となるのは、在宅の高齢者などで、噛むこと、飲み込むことに問題がある人向けの食品以外に、低栄養の対策に向けた栄養補給のための食品が加わっています3)5)

スマイルケア食の区分一覧表
自己適合宣言健康維持上栄養補給を必要とする方向けの食品 噛むこと、飲み込むことには問題はないものの、健康維持上栄養補給を必要とする方向けの食品 スマイルケア食
噛むことに問題がある人向けの食品
(そしゃく配慮食品JAS規格)
容易にかめる食品 そのかたさが、容易に噛み切り、噛みくだき、またはすりつぶせる程度のもの(適度な噛み応えを有するものに限る)をいう スマイルケア食5
歯ぐきでつぶせる食品 そのかたさが、容易に噛める食品と舌でつぶせる食品の中間程度のものをいう スマイルケア食4
舌でつぶせる食品 そのかたさが、舌と口蓋の間で押しつぶせる程度のものをいう スマイルケア食3
かまなくてよい食品 そのかたさが、噛まずに飲み込める程度のものをいう スマイルケア食2
飲み込むことに問題が
ある方向けの食品
嚥下困難者用食品許可基準Ⅲ 少しそしゃくして飲み込める性状のもの(不均質なものを含む、まとまりの良いおかゆ状) スマイルケア食2
嚥下困難者用食品許可基準Ⅱ 口の中で少しつぶして飲み込める性状のもの(均質なゼリー・プリン・ムース状) スマイルケア食1
嚥下困難者用食品許可基準Ⅰ そのまま飲み込める性状のもの(均質なゼリー状) スマイルケア食0

青マーク:噛む・飲むことが問題ない人向け3)5)

低栄養対策などの栄養補助食品です。

黄マーク:噛むことに問題がある人向け3)5)

  • スマイルケア食区分5:容易に噛める食品です。
    容易に噛み切り、噛みくだきまたはすりつぶせる程度のものになります。
  • スマイルケア食区分4:歯ぐきでつぶせる食品です。
    かたさは、容易に噛める食品と舌でつぶせる食品の中間程度です。
  • スマイルケア食区分3:舌と口蓋の間でつぶせる程度のかたさの食品です。
  • スマイルケア食区分2:噛まなくても飲み込める食品です。

赤マーク:飲み込むことに問題がある人向け3)5)

  • スマイルケア食区分2:少しそしゃくして飲み込める性状のもの
    (不均質なものを含む、まとまりの良いおかゆ状)
  • スマイルケア食区分1:口の中で少しつぶして飲み込める性状のもの
    (均質なゼリー・プリン・ムース状)
  • スマイルケア食区分0:そのまま飲み込めるもの(均質なゼリー状)

>嚥下が難しかったり、誤嚥の可能性がある場合はこちら

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介護食選び方

介護食は、食材のかたさや形態を、その人の噛む力、飲み込む力に合ったものに合わせて選びます。弱い力であっても噛めるのか、歯ぐきや舌でつぶせるのかなど、ふだんの食事の様子をよく観察し、その人に合った形態の食事を用意しましょう3)

専門家などに相談して介護食を選ぶ3)

その人の噛む力、飲み込む力に合った介護食選びに不安があるときは、医師や管理栄養士など専門家に相談するようにしましょう。

ユニバーサルデザインフード®の選び方2)

ユニバーサルデザインフードの選び方については以下のチャート図を参考に、不明な点は医師や専門家に相談するようにしましょう。

あなたにあった
「ユニバーサルデザインフード」を探そう!

					1つでもあてはまることがありますか?/固いものがかみきれなくなった/むせやすくなった(時々むせることがある)/口が乾きやすくなった/歯の治療中である/
					1つもあてはまらない→ご家族と一緒の食事をお召し上がりください/
					かむことに重度の障がいがある。または、水やお茶が飲み込みにくい。→医師や専門家にご相談ください/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられる・大きい物が食べられる・食べ物が普通に飲み込める→「容易にかめるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられる・大きい物が食べられる・食べ物が普通に飲み込めない→「歯ぐきでつぶせるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられる・一口大のものが食べられる→「歯ぐきでつぶせるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられる・一口大のものが食べられない・細かいものなら食べられる→「舌でつぶせるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられる・一口大のものが食べられない・細かいものも食べられない→「かまなくてよいユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられない→「かまなくてよいユニバーサルデザインフード」 1つでもあてはまることがありますか?/固いものがかみきれなくなった/むせやすくなった(時々むせることがある)/口が乾きやすくなった/歯の治療中である/
					1つもあてはまらない→ご家族と一緒の食事をお召し上がりください/
					かむことに重度の障がいがある。または、水やお茶が飲み込みにくい。→医師や専門家にご相談ください/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられる・大きい物が食べられる・食べ物が普通に飲み込める→「容易にかめるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられる・大きい物が食べられる・食べ物が普通に飲み込めない→「歯ぐきでつぶせるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられる・一口大のものが食べられる→「歯ぐきでつぶせるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられる・一口大のものが食べられない・細かいものなら食べられる→「舌でつぶせるユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられる・一口大のものが食べられない・細かいものも食べられない→「かまなくてよいユニバーサルデザインフード」/
					普通〜やわらかめのごはんが食べられない・おかゆが食べられない→「かまなくてよいユニバーサルデザインフード」

スマイルケア食の選び方5)

スマイルケア食の選び方については以下のチャート図を参考にしてください。
不明な点は医師や専門家に相談するようにしましょう。

スタイルケア食の選び方

					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がない・最近食べる量が少なくなった、または、体重が減った→相談の上「スマイルケア食」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・容易にかめる食品(例:焼き豆腐)→「スマイルケア食5」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・歯ぐきでつぶせる食品(例:もめん豆腐)→「スマイルケア食4」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・舌でつぶせる食品(例:きぬごし豆腐)→「スマイルケア食3」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・かまなくてよい食品(例:つぶのあるペースト食)→「スマイルケア食2」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある→相談の上・少しそしゃくして飲み込める性状のもの→「スマイルケア食2」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある→相談の上・口の中で少しつぶして飲み込める性状のもの→「スマイルケア食1」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある→相談の上・そのまま飲み込める性状のもの→「スマイルケア食0」
					
					食事に関する悩みがない・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がない・最近食べる量が少なくなった、または、体重が減った→相談の上「スマイルケア食」
					食事に関する悩みがない・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・容易にかめる食品(例:焼き豆腐)→「スマイルケア食5」
					食事に関する悩みがない・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・歯ぐきでつぶせる食品(例:もめん豆腐)→「スマイルケア食4」
					食事に関する悩みがない・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・舌でつぶせる食品(例:きぬごし豆腐)→「スマイルケア食3」
					食事に関する悩みがない・飲み込みに問題がある・噛むことに問題がある・かまなくてよい食品(例:つぶのあるペースト食)→「スマイルケア食2」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある→相談の上・少しそしゃくして飲み込める性状のもの→「スマイルケア食2」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある→相談の上・口の中で少しつぶして飲み込める性状のもの→「スマイルケア食1」
					食事に関する悩みがある・飲み込みに問題がある→相談の上・そのまま飲み込める性状のもの→「スマイルケア食0」
相談
この選び方にかかわらず、食べることについて気になることがあれば、まずは専門職(医師、歯科医師、管理栄養士等)に御相談ください。 医師等の指導に従い選択してください。歯科治療、 口やのどの動きの訓練などにより、飲み込みに問題のある方等でも、他の分類の食事が食べられるようになる場合もあります。

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市販の介護食はどこで売ってる?

市販の介護食品は、噛みやすさ、飲み込みやすさだけでなく、栄養面やおいしさにも配慮され、最近はレトルト、ゼリーなどの常温食品、冷凍食品、チルド食品など種類も豊富になっています。インターネットなどの通信販売や、スーパー、ドラッグストア、介護用品店などさまざまなお店で販売されています1)

毎日の介護食に手軽に利用できるさまざまな介護食品をご紹介しました。ユニバーサルフードやスマイルケア食などの市販の介護食品を積極的に利用して、介護食づくりの負担を少しでも軽減し、おいしく安心な食事を楽しみたいですね。